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野党の無策がこの異様なイベントに重い意味を持たせている ファクトチェック・ニッポン!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/295027
2021/09/22 日刊ゲンダイ
自民党総裁選候補者ネット討論会(左から河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子)/(C)JMPA
その異様さは、あたかも江戸時代の「踏み絵」のようなものだった。9月17日に行われた自民党総裁選挙の候補者による所見表明だ。候補の4人の前に置かれた「踏み絵」は「リベラル」だろう。
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河野太郎氏は「保守とは度量の広い中庸な温かいもの」と保守を自分なりに定義した上で「踏み絵」を踏んだ。岸田文雄氏も「先人たちの地域の伝統、慣習、秩序を尊重しながらさまざまな意見に耳を傾ける」と保守について語って踏んだ。高市早苗氏は何の躊躇もなく踏んだ。野田聖子氏は踏まなかった。そして野田氏にネット民から「引きずりおろせ」との罵声が……と、なりそうな状況だった。リベラル派の政治家というわけではない野田氏が浮くぐらい異様なイベントだった。
自民党のサイトに表示されるネット民の言葉にも面食らった。高市氏を支持する書き込みが席巻し、他の3候補への批判が続いた。次から次へ同じような言葉が繰り出されるさまも異様としか形容できないものだった。
続いて行われた記者会見をファクトチェックの観点から注視した。候補者は準備を重ねていたからだろう。「誤り」や「虚偽」と判定されるような発言は見られなかった。ただひとつ、男系天皇の議論では、違和感のある発言が見られた。
岸田氏は「例外なく男系天皇が継承してきた歴史、伝統に鑑み、女系天皇には反対だ」と語った。高市氏は「男系の血統は天皇陛下の権威と正当性の源」と発言。「126代続いた男系天皇」が議論の土台となっていた。
私は天皇制に反対する立場ではなく象徴としての天皇制に自然な形で敬意を表しているし、女系天皇に反対するのは自由だ。ただし、「126代続いた男系天皇」には多分に神話の要素が入っている。専門家からも異論が出ている。日本の古代文学を研究してきた大東文化大学の工藤隆名誉教授は、「『古事記』『日本書紀』の初期天皇系譜、文化人類学的資料などから総合的に推定するに、母系(女系)と父系(男系)がない交ぜになった系譜意識だったと思われる」と指摘している。
長い歴史を持つ天皇制が神話をまとって語られることも仕方ないかもしれない。意図的に神話をまとった部分もある。しかし議論の前提とすべきは事実であって、神話ではない。「126代続いた男系天皇」をファクトチェックするならば「根拠不明」だ。
所見表明とそれに続く記者会見を見て、その異様さが印象に残ったが、だから問題とは思わない。しょせんは自民党という一組織のトップを選ぶ手続きだからだ。残念なのは、そのトップがそのまま日本のトップになる今の政治状況だ。
立憲民主党が自民党総裁選を連日報じるテレビ各局を牽制したという。実に情けない。他にやることはないのだろうか? 野党4党の連立政権ができた時のリーダーを誰にするかを決める「選挙」でもやればいいと指摘したが無視された。そうした野党の無策とも言える対応が、この異様なイベントに重い意味を持たせていることに気づいた方がいい。
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tateiwa@infact.press
立岩陽一郎 ジャーナリスト
ジャーナリスト。1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て、2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」出演中。
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