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党内改革できぬのなら自民党には投票するな!
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 26, 2021
田中均元外務審議官が怒りの「政権交代論」
倉重篤郎のニュース最前線 サンデー毎日 pic.twitter.com/PAzkuUywJz
※サンデー毎日、紙面文字起こし
党内改革できぬのなら自民党には投票するな! 田中均・元外務審議官が怒りの「政権交代論」
安倍・菅政治とは何だったのか?
説明せず、説得せず、責任取らず 3S政治が日本を亡ぼす
権力チェック機能不全の独り善がり政権運営
権力行使の快感に溺れた首相は、権力構造の無情の只中で力を奪われた。安倍・菅政治にはひとまずピリオドが打たれたが、次期首相に選ばれるのは誰か?「外交」という、外部からの視座で日本のありようを見極めてきた田中均元外務審議官が、権力の現在を斬る。
不思議な因縁があるものだ。ほぼ1年前の8月28日、安倍晋三首相退陣表明の一報が流れた時、私は衆院第2議員会館515号室の石破茂事務所で安倍政治の問題点について取材中だった。石破氏の携帯に番記者からその連絡が届くと同時に氏の顔が引き締まり、ただちに戦闘モードに入っていくのを眼前で目撃した。
菅義偉首相の場合も同じ場所にいた。11時40分ごろ(9月3日)、同じように石破氏の携帯が振動し、菅不出馬情報が入った。「(菅氏でも)心が折れるんですね」と石破氏。と同時に氏の携帯にあちこちから電話が殺到した。今回の取材は、気候変動危機に関するものだった。自民総裁選、衆院選という二つの選択の場を迎えるに際し、人類存亡の岐路ともいえるこの世界史的課題に日本の政治がどう向き合うか、論じてもらう企画であった。対談相手は『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』(集英社新書)でこの問題に警鐘を鳴らす若きマルクス学徒・斎藤幸平氏だ(次号当欄に詳報掲載予定)。
官僚もメディアも官邸に支配された
それにしても、権力の扱い方を間違えるとこうなるのか、という尾羽打ち枯らす惨めな退陣劇になった。まずは、伝家の宝刀たる解散権をもてあそんだ。観測気球を上げながら一夜(8月31日〜9月1日)で取り消した。最後は人事権を封じられた。政権のイメチェンを図ろうと、打診した人事が悉(ことごと)く拒絶された。人事権の行使でのし上がってきた人が逆襲を受けた。政局は「殿ご乱心」から「打つ手なし」の詰みとなった。お膝元の横浜市長選惨敗(8月22日)から与党を挙げた菅降ろしが始まっていることに気付くのが遅れた。
「コップの中の嵐」第一幕は終わった。週明けからその二幕目が始まる。総裁選は賑(にぎ)やかな顔ぶれになるだろう。国民の支持を失い土俵際に追い込まれていた自民党が、局面転換と人材誇示のために行う蘇生・生命維持行為だからである。
我々は「コップの外の嵐」もまた直視すべきである。コロナ対応は依然として人の命が軽視されている。東京都では2万人を超える陽性者が自宅療養を余儀なくされている。入院できないまま死に至る悲劇も相当例出ている。現行感染症法に基づいたコロナ病床確保要請(8月23日)はあまりに遅すぎた。上昌広(かみまさひろ)・医療ガバナンス研究所理事長が本誌で提言した地域医療機能推進機構(尾身茂理事長)の丸ごとコロナ専門病院化については、機構傘下の東京城東病院(東京都江東区)が約50床の専用病床の提供を名乗り出たのみである。
アフガンでも嵐が吹き荒れている。米国の撤退戦略の失敗が尾を引いている。日本も自衛隊機3機を派遣したものの、初動の遅さから邦人1人の退避しか実現できず、アフガン人協力者数百人をまだ現地に取り残したままだ。オペレーションの是非、検証、今後の取り組みもまた、お祭り総裁選に先立って議論されるべきではないか。気候危機という大嵐も然(しか)りであろう。
コップの外からその内側を厳しくウオッチしている人がいる。田中均(ひとし)・元外務審議官(日本総研国際戦略研究所理事長)だ。安倍晋三首相から菅首相に至るこの9年の政権について、権力の集中と傲(おご)りで統治体制が著しく劣化したと批判、政治刷新の必要性を訴えている。その真意を聞いた。
「アフガンとコロナと二つの危機が同時進行だ。国民の生命、財産を守るという、国家として最も重要な責務を展開中だ。ただ、今の日本は統治体制が劣化、十分な対応ができていないと危惧している。その中で二つの選挙がある。この統治体制を修復する極めて重要な機会だと思っている」
「アフガンについては、バイデン政権の8月末撤退はいかにも拙速だった。和平交渉を見届け、関係各国とも綿密に準備を重ねたうえで実施されるべきだった。その結果、外国人や協力者の退避が順調に進んでいない。象徴的なのが日本の退避オペレーションだ。カブール市内での移動手段の担保がなく相当無理な計画だった。プロフェッショナルとしての準備と国民への説明が十分ではなかった」
「コロナ対策と通底する面がある。首相の発するメッセージに一貫性がない。言動に矛盾があり、説明がない。人流規制と言いながら『Go To』キャンペーンはやる、オリパラはやる、小学生は見学させる。重症以下の入院規制をいきなり打ち出す。一方で、この期に及んで、ようやく病床増の要請だ。国民の生命と財産をどう守るのか、国のトップから骨太な全体像が全く伝わってこない」
統治能力の劣化だと。
「その根っこは深い。安倍・菅長期政権による権力の集中と傲りだ。説明せず、説得せず、責任取らず、という民主主義の基本を無視する『3S政治』だと僕は指摘している。安倍政権時代、森友問題で公文書改竄(かいざん)を命じられた職員が自殺した。『桜を見る会』では招待者名簿の廃棄、前夜祭費用の問題を巡り、十分な説明が行われなかった。国会での118回の虚偽答弁も問題になった。いずれも責任を取ることもなく、結局はうやむやに終わっている。菅首相にも説明と説得がない。3S政治が常態化し、民主主義の統治原則が崩れ、政府への国民の信頼感はどんどん薄れている」
そこで総裁選だ。
「既得権益を握る派閥ボスが、都合のよい総裁を望み、配下の議員は、政治哲学が優れているとも思えないボスに追随している。自民党に問われているのは、権力集中の二つの弊害、つまり、3S政治と長老支配から脱却できるかどうかだ。1人の長老を切り、2人の長老の支持を得るというのは長老政治そのものだ」
なぜ3Sまかり通る?
「小選挙区制への変更で、これまで派閥領袖(りょうしゅう)にシェアされていた人事、公認、資金権限を総裁、幹事長に一極集中させた。日銀総裁や法制局長官に政権に忠実な人物を据え、いわゆる『官邸官僚』と言われる特別職の補佐官や秘書官などに事実上の政策調整権を与え、内閣人事局を使い審議官以上の人事を差配、官邸1強体制を作りあげた。自民党内で、他派閥からの対案、批判が出なくなった。公明党は与党としてチェックするというより権力に残ることが自己目的化した。官僚もまた、首相に忠実な者が登用され、そうでない者ははじかれ、官邸の意向に忠実たろうとして忖度(そんたく)がまかり通る。メディアも萎縮気味で、反権力、オピニオンリーダー機能を劣化させた」
「強い権力が問題だと言っているわけではない。かつてのように首相が1年で交代するのも困る。他方、強い権力ほど私物化され、乱用される危険があり、権力をチェックし、バランスさせることが必要だ。内政も外交もそうだ。政策を追求していくプロセスにおいて異論、競争を排し、独り善がりな政策になった。官僚の持つ力を最大限活用する方途ではない。これは早く変えないといけない」
仲の悪い国との関係はさらに悪化
安倍・菅外交は?
「功罪半ばだ。功で言えば、1強政権として、政治的に機微なことや世論との関係で難しい問題を動かす力があった。集団的自衛権行使を一部容認した2015年9月の新安保法制制定と、16年2月のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の署名だ。新安保法制については賛否あるが、僕は正しい方向性だと思っている。日本がある程度安全保障で責任を持たねばならないと考えるとあれくらいしかない。TPPも、並の政権では無理だ。対米関係も強化、難しいトランプとの関係をうまくマネージした」
罪で言えば?
「米豪印欧など好きな国とは付き合うが、もともと仲の悪い国々とは一層関係を悪化させた。典型が韓国、北朝鮮、ロシア、中国だ。外交とは、敵対国相手に日本の国益を守ることだ。難しい国との関係を改善し、懸案を解決するとの観点からは、結果を出せてない。と同時に、この国の基本的な外交指針をナショナリスティックに右旋回させた。これは菅政権でも同様だ」
「最も顕著なのはインド太平洋戦略だ。4月の菅・バイデンによる日米首脳会談の共同声明の中に『インド太平洋』という言葉が十数回出てくるが、冷戦崩壊後の日本の基本構想だった『アジア太平洋』という言葉は一回も出てこない」
アジア太平洋構想?
「日本がアジアに向き合う時は、安全保障を依存している米国を隣に置き、米国をアジアと一体化させる、という構想だった。大平正芳政権の大来佐武郎(おおきたさぶろう)外相以来のものだ。だからこそ、APEC(アジア太平洋経済協力会議=太平洋を取り囲む21の国と地域の経済協力枠組み)や東アジアサミット(東南アジア諸国連合10カ国に日米中韓などを加えた18カ国が参加する首脳会議)といった枠組みを作ってきた。米国をしっかりアジアにつなぎ留め、日本が能動的に北朝鮮や中国と向き合っていくものだった」
「インド太平洋構想は、中国の一帯一路構想の対抗策として、自由で開かれた法の支配に基づく経済協力の概念として、安倍政権が打ち出した。米国がそれに乗り、中国を疎外し封じ込める戦略的概念に変質させた。そのコアがクアッド(日米豪印戦略対話)で、4カ国首脳・外相のみによる安全保障や経済を協議する枠組みだ。ナショナリスティックな安倍・菅政治とも相性がいい。中国のみならず韓国も入れないとの意識だろう。日本の外交軸をかなり変えたことになる」
対北朝鮮外交は?
「評価できない。自分の政権のうちに拉致問題を解決すると言い続けたが、具体的な戦術、算段がなかった。実際に物事を動かすための外交がやられていない。外交とは結果を出すものだ。そのためには、北朝鮮側も自分たちの利益にもなると思わせる大きな絵が必要だ。拉致問題だけでなく北朝鮮の核・ミサイル問題の解決、あるいはより安定的な土台を作るための国交正常化というテーマを並行的に扱う大きな土俵で物事を解決することだ。02年の平壌(ピョンヤン)宣言では、そういうシナリオを作ったつもりだ」
「安倍氏は、拉致問題の進展を日朝会談の条件にしてきたが、19年5月からは無条件で首脳会談をやりますと切り替えた。こんな恥ずかしい路線変更もない。従来対応の行き詰まりを自ら認めただけではない。対韓外交との整合性も取れない。北朝鮮のような国とは無条件で首脳会談をやるが、友好国・韓国とは、まずあなた方が譲歩案を持ってこい、と条件を付け、それがないと嫌だと言う。私には考えられない対応だ」
「アジア太平洋」の中で米中関係緩和を
対中外交は?
「3倍の国力を持ち覇権を誇示する中国が日本にとって脅威であることは間違いない。だが、同時に中国は日本経済にとってはなくてはならない存在でもある。日本の消費需要を支えたのはインバウンドだった。日本は巧みな外交を迫られているはずだが、日本の外相は世界を飛び歩き、『インド太平洋』のコンセプトを売ることに専念したようにみえる。先に中国に行って話をされたらと思うほどだ。日本の国益は何か、と吟味せず、やりやすいところからやっている印象だ」
今後どうすればいい?
「チェックなき1強政治を変える。競争的に政策を作っていく。与党内でも官僚にも自由にものを言わせる。もう一つは対中戦略を包括的に見直す。『インド太平洋』もいいが、『アジア太平洋』というより大きな土俵が重要で、その中で米中対立を緩和する方法を模索する。米国の対中政策は3分法だ。安全保障は完璧に抑止、ハイテクは競争して排除、通常の貿易・投資、地球温暖化対策では協力しようと。北朝鮮の非核化も米中双方の利益だ。日本は協力できる部分で、能動的に先導することだ」
政権交代ということだ。
「これから選挙が二つある。いずれも日本の浮沈がかかった選挙になるのだろう。総裁選では、選ばれるリーダーが使命感、危機感、ビジョンを持っているかに注目したい。この10年間で日本の国力がどこまで落ちたか。成長率、生産性、少子化、財政赤字。本来、政策的に直せることを全部放置してきた。アベノミクスが見かけだけを作ってきた。それをきちんと認める勇気と危機意識を持ち、世襲・老人支配という今の自民党を変える人物が欲しい」
その次の衆院選では?
「そうでなければ自民党に投票しないようにしましょうと言いたい。我々は選挙権を行使し、『ノー』というのが責務だと思う。民主主義を守る最後の砦(とりで)は選挙だ。前回衆院選の投票率は53%だった。民主主義を守るために選挙に行き、行動しなければならない」
冒頭に戻る。菅氏の延命策は弓折れ矢尽きた。では自民党の延命策はどうなるか。次期総裁をめぐり連日華やかな報道となるだろう。それをすべて否定するものではないが、コップの外から冷めた目で見続ける姿勢が肝要だ。蚊帳の外に置かれる野党にとっても試練だ。裏番組で視聴率を引っ繰り返すような芸が欲しい。
たなか・ひとし
1947年生まれ。鞄本総合研究所国際戦略研究所理事長。元外務審議官。著書に『見えない戦争 インビジブルウォー』など多数ある
くらしげ・あつろう
1953年、東京都生まれ。78年東京大教育学部卒、毎日新聞入社、水戸、青森支局、整理、政治、経済部。2004年政治部長、11年論説委員長、13年専門編集委員
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