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菅首相の置き土産 ついに長官に上り詰めた「官邸の守護神」 “逮捕状を握り潰した”警察庁の中村格氏
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/09131045/
2021年9月13日 デイリー新潮
“続けさせてほしい”と土下座せんばかりに
ついに長官に上り詰めた中村格
菅義偉首相の総裁選への電撃不出馬表明が、霞が関の官僚人事に少なからぬ影響を与えている。中でも首相の大のお気に入りで懐刀と言われた警察庁の中村格次長の長官への昇格が内定した。かつて「逮捕状を握り潰した男」としても名が知れ渡った人物である。
【写真】安倍前首相の長く仕えた警察官僚は?
社会部デスクによると、
「9月10日に内示された警察庁の最高幹部人事で、松本光弘長官が辞職して中村格次長が昇格することになりました。14日の閣議で決定される流れです」
中村次長の昇格は既定路線だったとはいえ、
「今年末くらいではと言われていたので少し早まった印象ですね。“自分が在任中に中村長官を実現させたい”と菅さんが考えていたとしても不思議ではないですね」
菅首相の強い思い入れが見え隠れするが、どういうことなのか?
中村氏は1986年に警察庁入庁。警察庁刑事部捜査2課長などを経て、民主党政権時代の2009年に官房長官秘書官に。首相と共にコロコロと代わる官房長官に仕える中で迎えた2012年、自民党が政権を奪取した際に目の前に現れたのが菅氏だった。
「政権が交代すれば秘書官は交代するのが基本で、中村さんもそうなりそうだったのですが、菅さんに“続けさせてほしい”と土下座せんばかりに訴えて、菅さんもそこまで言うならと応じたということです」
それからの中村氏の仕事ぶりと、菅氏の寵愛ぶりは霞が関ではよく知られている。
「逮捕状の握り潰し」案件とは
中村新長官を懐刀としてきた
デスクが続ける。
「中村さんは持ち前の情報収集力と分析力で菅さんの信頼を勝ち取り、菅さんはなかなか手放そうとしませんでした。結局、警察に戻ったのは2015年3月、警視庁刑事部長としてでした。官房長官秘書官になる前は、長官レースで同期の露木康浩氏の後塵を拝していると見るムキは少なくなかったのですが、このタイミングですでに逆転し、その後も露木氏の一歩先のポストを歩んでいきました。菅さんとは毎日のようにやりとりしていて、たとえば菅さんと財界人との会合をセットするなど、“菅さんの個人秘書みたいだね”と言う人もいるくらいです」
その刑事部長時代に、「逮捕状の握り潰し」案件は起こった。
民放キー局の海外支局長にレイプされたと主張する女性が被害届を提出。捜査の結果、准強姦容疑で逮捕状が出て、支局長が成田空港に帰国したタイミングで身柄を確保する流れが固まっていた。しかし、その捜査中止を命じたのが、他ならぬ中村氏だった。
これとは逆に、当時の安倍晋三首相の秘書の子息が関与したゲームセンターでのケンカに捜査1課を投入して加害者をスピード逮捕させたのも、中村氏だった。
「安倍さんの秘書の子息は被害者でしたが、子供のケンカに捜査1課の、しかもエース級のベテラン捜査員を投入して加害者を逮捕までするというのは驚きました。安倍さんへの忖度捜査と言われても仕方ないかもしれません」(同)
安倍前首相の秘書官も
新警視総監の大石吉彦氏(第3次安倍改造内閣発足の2017年8月3日)
こんな実績から、事情通の間では「官邸の番犬」とも評されることになった中村氏はこの時すでに、菅氏が「将来の警察庁長官間違いなし」と周囲に漏らすほどの存在となっていた。事実、警察庁の組織犯罪対策部長、総括審議官、官房長、そして次長と順調に出世の階段を上っていく。
「中村くん、そしてその後に長官になることが確定的な同期の露木くんは共に、本部長として東京から地方へ一歩も出ないままトップに上がることになります。東京に留まり続けたのは政治家からの要請とはいえ、とても異例のことで、本人たちには気の毒な気もしますね」
と、ある警察キャリアOBは話す。
政治との距離の近さで言うなら、少し前に内示された警視庁の最高幹部人事も見ておこう。
「こちらは、東京五輪・パラリンピック終了後と見られていた通りのタイミングでした。斉藤実警視総監が辞職し、大石吉彦警察庁警備局長が後継となります。大石さんは中村さんたちと同期の1986年入庁組。安倍首相時代の秘書官を長く務めたことで知られています」(先のデスク)
自民党が政権を奪取した2012年12月から19年1月までと6年強も安倍政権下で首相秘書官の職にあった。
「安倍さんの秘書官経験者は省庁に戻ったら厚遇されるのが常です。たとえば、財務省の田中一穂氏は同期で3人目となる次官になりましたが、安倍さんがゲタをはかせてあげたというのがもっぱらの評ですね。大石さんはもともととても優秀で実力で総監にたどり着いたとも言えます。でも安倍さんが大石さんの処遇を大切にしてほしいと願っているというのは、霞が関や永田町の住人なら誰でも知っている話です」(政治部デスク)
霞が関のキャリア人事は政治に翻弄されるのが常だが、これらもまた、戦後最長政権の副産物と言えるだろうか。
デイリー新潮取材班
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