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※2021年9月8日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年9月8日 日刊ゲンダイ2面
【株式市場でそれは「ゲーム化」】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 8, 2021
自民党総裁選 さながら鉄火場
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/XVgtbVSDrj
※文字起こし
野党の再びの臨時国会召集要求をガン無視して、自民党が“お祭り騒ぎ”をエスカレートさせている。
総裁選(17日告示、29日投開票)は立候補者の対決構図が依然固まらず、党内は誰を推すかで派閥の統制が崩れて大揺れ。安倍前首相の支援を受ける高市前総務相は8日出馬会見。河野行革担当相は正式表明「未定」。石破元幹事長は出馬するのか、しないのか、「白紙」状態が続く。
テレビもそれらを逐一報じ、大狂乱なのだが、総裁選をめぐって異様な沸騰状態は株式市場も同じ。さながら鉄火場の様相を呈してきた。
8日、日経平均株価は一時、4月9日以来約5カ月ぶりに3万円の大台を回復。終値も約5カ月ぶりの高値となる前日比256円25銭高の2万9916円14銭を付けた。
株価は7日連続で続伸。菅首相が退陣の意向を表明した今月3日以降は、3営業日続けて大幅高となり、上げ幅は実に1400円近くに達している。東証1部全体の株価の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も、バブル以来約31年ぶりの高値を2日連続して付けるという沸きっぷりである。
市場関係者は株価急騰の背景について、「菅さんという重しがとれたのが大きい」「次期政権の経済政策への期待感」などと解説。連想ゲームで、総裁選への出馬が取り沙汰されている候補者絡みの銘柄までもが急騰するほどだ。
「河野氏が政界入り前に勤務していたのが『富士ゼロックス』だということで、6日は富士フイルムHDが上場来高値まで買われ、7日はさらに高値を更新した」(大手証券関係者)
東京のコロナの新規感染者数が前週比を下回る傾向が顕著になったことも好材料とされ、欧米株に比べ出遅れ感のあった日本株に火がつき、イケイケドンドンなのである。
コロナ禍からの経済回復とセットで「年内3万6000円」とのアナリスト予測も出てきている。
ヘッジファンドが大喜びで買い増し
牽引役は外国人投資家らしい。市場では「投機的な売買を繰り返すヘッジファンドなどが、高速コンピューター取引で資金を大量投入している」との情勢分析も出ている。
菅首相のまま衆院選に突入すれば、自民単独過半数割れどころか自公過半数にも黄信号がともるとの予想すらあった。それが菅の退陣表明で、マーケットの受け止めは一変。「自公連立政権が維持される可能性が高まり、外国人投資家が戻ってきた」「衆院選では自民党の最悪60議席減もあると予想されていたが、これで30〜40減程度で済みそう」といった“安堵”の声が上がっている。
総裁選の国民だましが奏功し、総選挙で自民の負けが少なくなることが“買い”だというのである。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「実際は、海外のヘッジファンドに自民党総裁選の現実など見えていません。彼らは、ただ儲かりそうな市場へ資金を投入しているだけです。中国株で儲けようとしていたところに、中国政府がIT系の成長産業に規制をかけたため、やけどしてしまった。やむなく日本株に振り替えたところ、ちょうど日本の選挙相場に乗っかった。菅首相の退陣表明と重なり、さらに相場は上昇。味をしめたヘッジファンドは大喜びで買い増している、というわけです」
まともな民主主義を阻害する外国人投資家の鉄火場遊びの倒錯。たとえ戦争だって、株価にとって好材料だと歓迎する拝金主義者たちにとっては、日本の総裁選も「ゲーム」でしかないのだろう。
景気底這いなのに、「選挙」だけで株価が急騰する異様 |
マーケットは「次期政権の経済政策への期待感」なんて言うが、名前の挙がっている候補者たちが、果たして日本経済を上昇気流に乗せられるのだろうか。
すでに出馬表明した岸田前政調会長は、総裁選向けの政策を発表しているが、「少なくとも数十兆円単位と申し上げている」と、国債発行を想定した巨額の経済対策に言及した。
要は自民党お得意のバラマキだ。
河野ならデジタル化の推進や再生可能エネルギーの普及拡大、高市なら安倍継承の「ニュー・アベノミクス」をアピールすることになるのだろうが、こんなのにだまされちゃいけない。「アベノミクス」がインチキだったことを思い出した方がいい。
アベノミクスでも確かに株価は上昇したが、それで日本経済が良くなったのか。国民生活が豊かになったのか。
「大胆な金融政策」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」という「3本の矢」を掲げたが、実際にやったのは1本目の金融政策頼み。それでも、黒田日銀総裁肝いりの「異次元緩和」は9年目に突入しても、「デフレ脱却」のための2%の物価上昇目標を一度も達成できていない。
黒田は「必要なら躊躇なく追加緩和」と繰り返し言ってきたが、禁じ手政策はもはや手詰まり。行き過ぎた緩和の副作用で、金利の引き上げも、追加資産の買い入れも難しい状況に追いやられている。
出口戦略が描けず、泥沼化の日本に対し、米国は、テーパリング(資産購入縮小)が視野に入る。FRB(米連邦準備制度理事会)は、コロナ禍で導入したゼロ金利を2023年中に解除し、2回利上げする見通しを示している。
「黒田日銀は、『躊躇なく』といつでも追加緩和するようなことを言いながら、実はこのところ国債やETF(上場投資信託)をなるべく買わないようにするなど、目に見えない形でこっそり金融緩和を縮小しています。そういう意味でも、日本の金融政策は破綻しているのですが、一方で世界的な原油高や資源価格の上昇により、日本でも物価がジワジワ上昇している。そんな金融政策の成果ではないインフレに日銀はシメシメという状況。しかし、国民にとっては全くうれしくないインフレです。コロナ感染の不安が抑えられず、インフレに対応できるような所得補填や支援金がない中で、個人消費が回復するわけがありません。景気が底這い状態の日本で、ただ選挙があるからと、株価が根拠なく急騰するなんて、普通じゃありません」(斎藤満氏=前出)
誰が首相でも自民党では変わらない
アベノミクスでトリクルダウンが起きなかったように、実態のともなわない株高は、庶民にとってはむしろ不幸だ。安倍・菅政権期間に賃金はダダ下がり。2015年を100とした実質賃金指数は、昨年は98・6にまで低下している。世界と比べても、日本の平均給与は、OECD35カ国中20位(2019年)。ちなみに1997年には3位だった。
経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子氏が言う。
「米国は物価上昇と人手不足により賃金が上がっており、まともな経済力学が働いています。しかし日本は賃金が全く上昇しない。企業が内部留保をため込み、労働分配率を上げないからです。アホノミクスの出発点は『日本を企業が一番活動しやすい国にする』でした。自民党の論理で動く人が総理総裁であるかぎり、誰であっても日本経済は良くなりません。今の日本経済の本質的な問題がどこにあるのか、自民党は誰も分かっていないからです。メスを入れなければならないのは、分配問題であり、豊かさの中の貧困、富の偏在の問題。そこに焦点をあてて経済対策を転換しない限り、日本経済の閉塞した状況は全く変わりません」
自民党総裁選なんて、しょせん、サル山のボス争い。「菅退陣相場」の沸騰には冷静な目が必要だ。自民党を退場させ、膿を出さない限り、この国は決して良くならない。
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