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自民党議員も予測不能…総裁選が混沌の極み、引っかき回す安倍前首相、二階派に瓦解の兆候も
https://biz-journal.jp/2021/09/post_249582.html
2021.09.07 14:25 文=編集部 Business Journal
安倍晋三氏公式Twitterアカウントより
候補者乱立の気配が濃厚となりつつある自民党総裁選(17日告示、29日投開票)。党内各派閥の領袖の統制が効いているようには見えず、“キングメーカー”らがそれぞれの思惑で次の衆院選を見据えた“勝ち馬”選びに奔走し始めている。
安倍晋三前首相は先週、自身の出身派閥であり、党内最大勢力を誇る清和政策研究会(細田派)幹部に対し、「靖国神社参拝」「夫婦別姓反対」など思想信条の近い高市早苗前総務相の推薦人確保への協力を要請。しかし、この動きに対し細田博之会長は態度を明らかにしていない。
こうした安倍前首相の動きに関して、時事通信は7日、記事『安倍氏「森友」再燃を警戒 高市氏支援、岸田氏けん制か―自民総裁選』を配信。同記事では「岸田文雄前政調会長をけん制する狙いもあるとみられる。岸田氏が、安倍政権で強い批判を浴びた森友学園問題などについて説明の必要性を訴え、安倍氏は再燃を警戒しているためだ」と背景を分析。「安倍氏は以前、初当選同期の岸田氏を『ポスト安倍』の有力候補とみていた。このため、高市氏支持で細田派の一部をまとめ、岸田氏が『勝ち馬』と見れば支援に転じる可能性もある」との見方を伝えた。
宏池会(岸田派)関係者は安倍前首相の一連の動向に関して次のように話す。
「安倍さんがなぜ、そういう方針を示しているのか。党に対する国民の信頼をどのように取り戻そうとしているのか。最後までわかり合うことはできないのだろうと思いました。いずれにしても議論を尽くして決まったことには一丸となって取り組むという、党としてのあり方を貫くだけです」
一方、麻生太郎財務相率いる志公会(麻生派)からは、河野太郎規制改革担当相が立候補の意向を示した。しかし、同派閥の領袖である麻生氏は微妙な態度を取り続けている。
自民党内の各派閥が候補者と票をまとめきれず乱戦となれば、党員票が大きく結果を左右する可能性もある。一部報道では「より民意の反映につながる」とされているが実態はどうなのか。
■地方の党員もまた“勝ち馬”に乗らなければいけない
自民党総裁選の総投票数は766票。党所属の衆参国会議員分383票だが、残り半数の383票は約113万人の党員票をドント方式で比例配分する。
最大得票者が過半数以上を獲得した上で勝利すれば当選。過半数に届かない場合は得票上位者2人による決戦投票が行われる。この場合の総投票数は430票で、国会議員票383票と都道府県連票47票の計430票で得票数の多い候補が当選する。党員票に関しては決選投票になれば、各都道府県連内の意思統一が必須になる。
候補者が乱立し、かつ各派閥の統制が効いていない状況では1回目の投票で票が分散し、決選投票となる可能性も低くないだろう。
「つまり、どれほど各党員がそれぞれの意見を示し、内部で意見が割れていても、決選投票に至れば各都道府県連として意志統一を図らなければならないということです。では、次の衆院選に向けて党公認争いが起こっている県連はその時、どうするのか。国会議員票をしっかり読み、次の党幹事長に誰がなるのかを見据えた上で、“勝ち馬”に乗らなければ自分たちの推している候補者が次の衆院選で党公認を得られないという事態に陥ることになります」(自民党衆議院議員秘書)
昨年から、二階俊博幹事長が率いる志帥会(二階派)と他派閥の現職の党公認争いは激化している。前出の議員秘書は次のように語る。
「菅義偉首相の総裁選不出馬の一連のゴタゴタを見てご存知の通り、二階派は不協和音が出始めている。そして二階さんが幹事長でなくなり、その神通力を失えば、二階派議員が党公認を得ることは厳しい。総裁選と公認争いは無縁ではなく、所属議員やそれを支持する党員は生き残りをかけた戦いとなるのは明白です」
二階派と他派閥の党公認争いといえば、衆議院静岡5区が記憶に新しい。前回衆院選で勝利し、無所属として二階派入りした細野豪志氏と、比例復活した岸田派の吉川赳氏の間で党公認をめぐり摩擦が生じている。
自民党本部関係者によると、静岡県連は今年8月、吉川氏の公認を二階俊博幹事長に要請したが、二階幹事長からの明確な回答はなかったのだという。
同様の事例は群馬県でも起きていた。上毛新聞インターネット版は今月5日、記事『自民党総裁選 情勢注視し衆院選準備 1区公認争う2氏』を公開。同党の現職同士で公認を競う尾身朝子氏(細田派)、中曽根康隆氏(二階派)の摩擦の現状と困惑する同県県連幹部の模様を伝えている。
群馬県内の自民党市議は語る。
「(政局は)中央、党本部の流れがすべてです。領袖の明確な意志が示されていなくても、地方の人間はそれを読むしかない。我々個人の意志は関係ない」
(文=編集部)
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