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「安倍―麻生支配」の終焉か。乱戦必至「自民総裁選」の舞台裏
https://www.mag2.com/p/news/510449
2021.09.06 『石川ともひろの永田町早読み!』 まぐまぐニュース
誰もが驚いた、菅首相の総裁選不出馬という決断。これにより事実上「菅vs岸田」の一騎打ちと見られていた局面が一変、女性2人を含む5人以上の立候補が取り沙汰される乱戦の様相を呈しています。そんな総裁選を読み解くのは、小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さん。石川さんは自身のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』で今回、複雑に絡んだ各政治家や派閥の思惑を解説するとともに、野党が狙い定めていた「次期総選挙での政権交代」が難しいものになったとの見立てを記しています。
約10年間続いた「安倍―麻生支配」の終わりか/乱戦・自民党総裁選
「菅総理 総裁選不出馬」
この一報を聞いて、苦労人の菅義偉総理は最後まで粘るかと思っていたので、驚いた。総裁選前の党人事断行や総裁選の先送りを模索したことで党内から猛反発を受けても突き進むと思われていたが、「撃ち方止め」となってしまった。
理由は以下の2つだろう。
総裁選を前に人事を行うとしても、総裁選で敗れれば1ヶ月だけの幹事長・政調会長となってしまうので、誰が受けるのだろうかと思っていたが、やはり引き受け手がいないことが退陣へのダメ押しとなったと推測する。
また、総裁選を行った場合も、党員票で岸田文雄氏に大差で負けることを恐れたのだろう。昨年の総裁選は各派閥が雪崩を打って菅氏を応援した。しかし、今回は各派とも派閥をまとめ切れていない現状だ。党員票で負けて議員票で挽回するということも難しい状況だった。
さて、次の自民党総裁選挙の構図はどうなるのか。一言でいえば乱戦だ。
2012年から続いていた安倍―麻生体制が崩れるかもしれない。安倍─麻生の関係は、戦国時代でいえば織田─徳川、昭和でいえば田中派─大平派のようにお互いが一致結束することで権力を維持してきた。二階俊博幹事長以上に歴代最長の財務大臣を続ける麻生太郎氏はその象徴だ。
安倍─麻生は何としても自分たちの権力基盤を維持したい。麻生氏は昨年の総裁選で二階氏が主導したことに反発していたので、今回は自分たちが主導権を持つ形で安倍晋三氏と協力し、「麻生派─細田派―岸田派」連合で岸田総理誕生を目指したいと考えていると思う。
しかし、ここで河野太郎ワクチン担当相(麻生派)が立候補の意向を表明した。麻生氏の理解を得たという報道もあるが、別の報道では「賛成も反対もしない」という表現で、麻生氏の意中ではないことは確かだ。そうなると麻生派は岸田と河野両氏で割れるだろう。
一方、安倍─麻生の仇敵である二階幹事長が誰を推すのか。
二階氏が岸田氏を推すことは考えにくい。岸田氏も二階氏から応援をもらうようでは党員票が離れてしまう。二階氏が石破茂氏を担いで「二階─石破連合」で石破総理を目指すことが予想される。竹下派参議院は前々回、元官房長官の青木幹雄氏の指示で石破氏を応援した経緯がある。「二階─石破─竹下連合」まで広がる可能性もある。
元総務大臣の高市早苗氏も推薦人を確保したとされている。岸田氏を勝たせるためには乱戦の方が良いと安倍氏が判断すれば、細田派も自主投票にして政調会長の下村博文氏も立候補させるかもしれない。
連日目まぐるしく変わる政局なのでまだまだ波乱要因はあるだろう。
さて、自民党にとっては総選挙前にイメージアップを図れるチャンスが訪れた。逆に野党にとっては、「菅攻撃で一気に政権交代まで」と夢を見ていたが、これで厳しくなったと言える。
だが、総理の顔を変えたとしても、新型コロナの感染状況が総選挙を左右することになるだろう。
image by: yu_photo / Shutterstock.com
石川ともひろ この著者の記事一覧
1973年北海道足寄町生まれ。函館ラサール高校、早稲田大商学部卒。96年2月から2005年7月まで小沢一郎秘書。同年衆院選で北海道11区から民主党公認で立候補して中川昭一氏らを相手に落選、07年3月に繰り上げ初当選。09年再選。10年1月、政治資金規正法違反容疑で逮捕、同年2月に起訴。12年12月、三選。同年5月、議員辞職。2017年10月、妻・香織が衆院議員に初当選。同月、公民権が回復。政界復帰に向け、コツコツと活動中!!! 著書『悪党』は5万部を超える大ヒット作に。そのほか、『雑巾がけ』など著書多数。
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