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※2021年8月30日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年8月30日 日刊ゲンダイ2面
【憎悪の連鎖でもう泥沼】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 30, 2021
バイデンの報復をなぜ批判しないのか
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/TLyvlIBCqr
※文字起こし
タリバン復権を許し、20年戦争に敗れたのに、米国は、まだ憎悪と報復の連鎖を続けるつもりなのか。
26日に起きたアフガニスタンのカブール国際空港付近での自爆テロは、米軍兵士13人とアフガン人170人以上の犠牲者が出る悲劇となった。バイデン米大統領はすぐさま報復攻撃を表明。米軍は27日、アフガン東部ナンガルハル州で、過激派組織「イスラム国(IS)」系勢力の「ISホラサン州」を無人機(ドローン)で空爆、「重要メンバー2人を殺害。1人を負傷させた」と明らかにした。
だが、バイデンは「ISへの攻撃はこれが最後ではない」としている。28日には「今後24〜36時間のうちに新たなテロ攻撃が起きる可能性が高い」として、最高度の警戒態勢を米軍に指示。翌29日、首都カブールで、米軍は再び無人機による空爆を実行し、空港を狙った車両による自爆テロを阻止したと米国防総省が発表した。
やられたら、やり返す。その先に何があるのか。
展望ゼロのまま報復に踏み込んだ結果、「戦争を完全終結させる」はずが、振り出しに戻って対テロ作戦が実質的に継続するという未曽有の混乱を招いてしまった。ISにとって敵は米国だけではなく、タリバンとも敵対関係にある。自爆テロは両者に打撃を与え、ISはさらに過激化しかねない。
米軍の撤収開始から、わずか10日でタリバンが全土を掌握し、ガニ大統領が率いたアフガン政権が崩壊。それから11日で再びのテロ攻撃、そして報復という泥沼化なのである。
強烈な「怒り」に見た「焦り」
トランプ前大統領が去年2月に、タリバン側と「米軍完全撤退による和平合意」を結んだ延長線上にあるとはいえ、バイデンによる性急な米軍撤退計画が裏目に出たのは間違いない。米兵から一度に死者が13人も出たのは、2011年に米軍ヘリが撃墜されて30人が死亡して以来で、トランプ政権時代より多いのだ。
米軍撤退の理由を、「これ以上米軍の若者に犠牲者を出さないためだ」と説明してきたバイデンにとって、その途上の自爆テロで多数の米兵が死傷したという事実は、屈辱的でしかない。
米国内では、野党・共和党から「壮大な失敗」と断じられ、辞任を求める声まで飛び出し、与党からも批判を浴びる始末。ISへの報復宣言は、そうした批判をそらす目的もあるのだろう。
テロ攻撃を受けた直後の緊急会見でバイデンは、「We will not forgive.We will not forget.(我々は許さない。我々は忘れない)」と正面を向いて睨みつけた。「このテロ攻撃を実行した者、アメリカに危害を加えようと考える者よ。どこまでも追い詰めて代償を払わせる」という強烈な表現には、むしろ追い詰められた大統領が何としても「強い米国」を示さなければならないという、焦りのようなものが見て取れた。
アフガン情勢の判断を誤り、軌道修正できぬまま、カブール陥落を許し、テロをも許してしまったのだから、当然ではある。
上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)は言う。
「まさに焦り、そのものでしょう。会見でのバイデン大統領は目が血走って、ひどく疲れていました。ただ、怒りの拳を振り上げても、撤退期限が31日に迫る中で、現実にやれることはドローンによる攻撃ぐらいです。今回の判断ミスの背景にはいくつか理由がありますが、ひとつはアフガンでのパートナーだったガニ政権からマトモな情報が上がってきていないことすら分からなかったインテリジェンスの失態。次に、早期撤退を求める米国世論の呪縛。そして、バイデン大統領自身の長年の持論が、『アフガン戦争の目的はテロとの戦いであり、国家建設や民主主義体制の構築ではない』だったということ。だから、バイデン政権は『米国内では大きなテロはない。テロ戦争には勝利した』という前提で撤退を急いだわけです」
米国と行動を共にした戦争に正当性はあったのか |
しかし、である。どうも、バイデンの判断ミスと報復宣言に対し、日本は距離を置いているというか、無批判なのだ。カブールの空港付近での自爆テロの発生や、邦人や大使館などで働く現地スタッフを退避させるための自衛隊機による「救出作戦」がうまくいっていないことなどが報道される程度で、まるでアフガン問題は他人事かのごとく。
だが、2001年の9・11同時多発テロの報復として、当時のブッシュ大統領に要求されるがまま、米国と足並みを揃えてアフガン戦争に加担してきた日本は、自衛隊がインド洋で米軍への給油活動を行うなど、まさに当事者だ。
米国はテロ首謀者のビンラディンとアルカイダをかくまっているとして、ロクに証拠も出さぬまま当時のタリバン政権を攻撃、崩壊させ、傀儡政権を樹立した。日本政府がこの20年間にアフガンへ拠出した支援金は実に総額70億ドル(約7700億円)に上る。
それなのに、ここまでアフガン情勢が悪化しても、菅政権は目前に立ちはだかる自民党総裁選にかまけて、ただただ米国に追随し、それをメディアも容認。毎度のことではあるが、日本政府は主体性のなさを露呈している。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「救出作戦として、日本人だけでなく外国人も乗せるのですから、本来は自衛隊機を出すことを、相当に真剣に議論をしなければいけなかった。自由主義陣営のメンバーとして人道問題として協力するという考え方はあるとは思いますが、一方で、米国の要請の一環としての行動なのですから議論が必要でした。日本は、アフガン情勢に深入りしない形をとっているものの、実際は米国に協力している。20年間、日本は同じ状態で来た」
「百害あって一利なし」
2019年12月に、アフガンで武装勢力に銃撃され命を落とした中村哲医師は、今ごろ草葉の陰で泣いているのではないか。アフガンで人道支援活動に取り組む「ペシャワール会」の現地代表として、井戸を掘り、用水路を引いて、干ばつで失われた農地をよみがえらせた。
その中村医師は、国会に何度も参考人として呼ばれ、戦争に前のめりな政府を批判。「自衛隊派遣は有害無益」「百害あって一利なし」と訴え続けたのだ。
中村医師は、外国からの支援者が受け入れられるカギについて、こう話していた。
「その地の習慣や文化に偏見なく接すること」「自分の物差しを一時捨てること」
さらには、「アフガニスタンにいると『軍事力があればわが身が守れる』というのが迷信だと分かる、敵をつくらず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる」とも語っていたという。
前出の孫崎享氏は言う。
「アフガン問題は20年の歳月を費やして、結局、元に戻った。つまりその間の行動は何の意味もなかったということです。米国と行動を共にし、巨額の支援金を出して、アフガン政権を支えてきました。しかし、そこに正当性があったのかどうか、問われなければなりません。私はアフガンという地はアフガンの人々に委ねるという考え方で臨むべきだと思っています。20年前からアフガン問題の肝は明確。タリバンにとっては、外部勢力が自分たちの勢力圏で攻撃してきたから戦っているのです。『テロとの戦い』では、相手側が何を理由として戦っているのかの見極めが必要なのです」
米国がアフガンとの戦争に負けた一方で、中国とロシアは中東での影響力を拡大し、タリバン政権との距離を縮めている。対中、対ロも念頭に、バイデンが地に落ちた米国の“威信”のために、新たな戦争を続けても、さらなる悲劇を招くだけだ。
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