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※週刊朝日 2021年9月3日号 各紙面、クリック拡大
コロナに打つ手はある! 夜間ロックダウンで「感染者9割減」の試算
https://dot.asahi.com/wa/2021082400051.html
2021.8.25 08:00 西岡千史 週刊朝日 2021年9月3日号
効果的な感染対策が打ち出せない菅首相(左)と政府の対策分科会の尾身茂会長 (c)朝日新聞社
(週刊朝日2021年9月3日号より)
新型コロナウイルスの感染拡大に打つ手なしの菅義偉首相。限定的でもロックダウンを視野に入れてよさそうだが、二つの選挙を見据えた菅首相にはその選択は無理なようだ。
「30代、40代の患者に『最悪のケースを覚悟してください』と言うのは本当につらい」
こう話すのは、首都圏を中心に在宅医療クリニックを運営する悠翔会の佐々木淳医師だ。
従来株に比べて感染力が強いデルタ株は、若い世代でも重症化するケースが増えている。佐々木医師が続ける。
「自宅療養をしている人の診療に行くと、酸素飽和度が90%を切っている人がいる。本来なら即入院ですが、ベッドに空きがない。酸素を吸入し、炎症を防ぐためのステロイド剤を投入しても病状が悪化する人がいる」
9万6709人。これは厚生労働省が8月20日に発表した新型コロナウイルス感染で自宅療養をしている人の数だ(18日午前0時時点)。前週から2万2646人の増加で、10万人を突破するのは時間の問題だ。
「今の東京は、表向きは平和に見えます。しかし、実態は新型コロナで適切な医療を受けられない人がたくさんいる。感染爆発という“がれき”の下に、何万人もの人が埋もれている状態です」(佐々木医師)
千葉県柏市では、新型コロナに感染した30代の妊婦が、体調が急変したため入院先を探したが、計9カ所の医療機関に満床などを理由に断られ、入院先がみつからないまま自宅で出産し、新生児が亡くなった。
20日には全国知事会がオンライン会議を開き、「緊急事態宣言で効果を見いだせないことが明白」と指摘。増え続ける感染者を抑えるため、ロックダウン(都市封鎖)のような人流を減らす対策の実施を政府に求めることで一致した。
だが、菅義偉首相はロックダウンに否定的だ。官邸関係者はこう話す。
「ロックダウンは経済への影響が大きいわりに、感染者数を抑える効果は少ない。菅首相はそう考えている。選挙を前に、私権制限に慎重な公明党への配慮もある。ロックダウンは副作用が大きく、補償金が莫大(ばくだい)になることも消極的な理由でしょう」
そのことを象徴するような場面もあった。菅首相は感染抑制のためのロックダウンについて記者から聞かれると、右手の拳を握って「世界でロックダウンをする、外出禁止に罰金かけてもなかなか守ることができなかったじゃないですか」と語気を強めた。ニュージーランドなど、ロックダウンで感染を抑えた国はたくさんある。しかし、そのことには触れることはなかった。
24日には東京パラリンピックが開幕。大会関係者はこう話す。
「オリンピックが閉幕しても、その約2週間後に始まるパラリンピックでは感染者が急増するのは最初からわかっていた。なのに政府は抜本的な対策を何もしていない。最悪の状況での大会になってしまった」
だが、感染爆発が現実のものになった今の状況でも、やれることはまだある。そんな可能性を示す研究もある。
筑波大の倉橋節也教授(社会シミュレーション学)は、限定的なロックダウンをした場合、東京都の15歳以上の感染者数と重症者数の推移について、AI(人工知能)を使って予測した。
試算では、8月13日19時時点の東京都内の主要繁華街の滞留人口を基準にして、人出がどの程度減ったら感染者数が抑制されるかをシミュレーションした。
その結果は驚くべきものだ。滞留人口が減らない場合、東京都の新規感染者は10月1日に約1万5千人になり、ピークとなる12月1日の2万8636人まで増え続ける。一方、滞留人口を4割減らすと10月1日には1500人以下まで減少。その後は同程度の水準で推移していく。10月1日時点で約10倍の差が出ることになる。倉橋教授は言う。
「過去のデータを見ても、昼間の滞留人口は感染者数の増減に大きな影響を与えません。会社内では、マスクや消毒などの感染対策が徹底されているからだと思われます。一方、19時時点の滞留人口を少し減らすだけで、感染者数の増減に大きな変化があることがわかりました」
このように、地域や時間を限定したロックダウンは世界で実施されている。倉橋教授は続ける。
「感染抑制に成功している台湾でも、感染が確認された地域や業種にピンポイントで厳格な警戒措置を実施して成果をあげています。日本でも副作用の少ない形でのロックダウンは可能でしょう」
問題は、実際にどのようにして人の移動を減らすかだ。これまで繰り返されてきた緊急事態宣言で、国民に「自粛」を促しても効果が薄れているからだ。
感染症法や新型インフルエンザ等対策特別措置法では、個人に罰則付きの行動制限を課すことはできない。だからといって、何もできないわけではない。災害時の法律運用に詳しい津久井進弁護士は言う。
「台風上陸が予想されると、鉄道会社は計画運休をします。それと同様に、新型コロナを災害ととらえ、電車を3日程度運休すれば人の動きを抑えることは可能です」
津久井氏は、短期集中型のロックダウンを主張する。
「今の緊急事態宣言は、終わりが見えず、ダラダラと続けている。それよりも短期集中でピンポイントで実施したほうが負の影響は抑えられる。政府は、今の状況が災害であると認識して、即効性のある対策をしていくべきです」
与党内には、ロックダウンには憲法改正をして緊急事態条項を入れる必要があるという意見もある。国民民主党の会派に所属する高井崇志衆院議員は、それに対してこう反論する。
「東京電力福島第一原発事故では、原子力災害対策特別措置法によって、周辺の住民は今でも帰宅が許されていません。現行憲法でも、生命の安全に関わることは一定程度の私権制限は認められています。ロックダウンも現行憲法で可能で、補償と罰則をセットにした法律を与野党が協力してすぐにつくるべきです」
だが、菅首相は野党が求めている臨時国会の開会を拒否し続けている。そこには、コロナ対策の相次ぐ失敗で八方ふさがりになり、政治的に窮地に立たされてしまった菅首相の苦境がある。
9月5日にパラリンピックが閉会した後、菅首相は9月末に自民党総裁としての任期満了を迎える。それまでに党総裁選を実施し、11月までに総選挙もしなければならない。総裁選をめぐっては、下村博文政調会長や高市早苗前総務相らが出馬の意向を表明し、政局含みだ。自民党関係者は「このまま菅首相を衆院選の『顔』にするのか。いつ菅おろしが始まってもおかしくない」と話す。
一方、石破茂元幹事長や小泉進次郎環境相が早々と菅続投支持を表明するなど、総裁選を無投票で乗り切ろうとする動きも見え隠れする。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「デルタ株は子供も発症し、家庭内感染を防ぐことは難しい。にもかかわらず、小中学生らにパラリンピックを観戦させようとしている。菅首相の政治的判断の失敗のために子供たちを犠牲にしていいのか。国民に約束した『安全・安心』の大会開催は失敗しました」
(本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2021年9月3日号より抜粋
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