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※2021年8月19日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年8月19日 日刊ゲンダイ2面
【あまりに無能、一気に政局】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 19, 2021
「一刻も早く辞めてくれ」が国民の総意
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/Yr0gW9o79p
※文字起こし
8月31日が期限だった緊急事態宣言が9月12日まで延長されたことで、菅首相が描いてきた「解散戦略」が崩れ、一気に“菅降ろし”の政局が動き出した。
9月末の自民党総裁任期満了に伴う、菅の「再選・続投シナリオ」は、東京五輪・パラリンピックの熱狂のまま、9月5日のパラ閉幕直後に衆院を解散、総選挙に勝って、総裁選を無風で乗り切る、というものだった。しかし、緊急宣言発令中に解散なんてできるわけがない。加えて、内閣支持率が30%を割り込む「危険水域」に突入した不人気首相である。9月上旬の解散がないのならばと、自民党内が「衆院選の前に総裁選を実施すべし」でガタガタしてきたのである。
既に11日には、党新潟県連が衆院選前の総裁選実施を党執行部に申し入れている。「内閣支持率の低迷は総選挙に少なからず影響を及ぼすことは想像に難くない」として、全国の党員・党友による投票を含むフルスペックで予定通り総裁選を実施するよう求めた。17日には党長野県連所属の有志議員も、同様の要望書を党本部に提出した。
「ポスト菅」についても、高市前総務相が「総裁選出馬」を宣言したのに続き、18日は下村政調会長が総裁選への立候補を目指す考えを、安倍前首相や麻生財務相に伝えたという。
昨秋に健康問題を理由に政権をブン投げた安倍の後釜として、密室談合と派閥の論理で菅を選んでおきながら、「選挙の顔にならない」から右往左往とはフザけた話だが、菅の後ろ盾の二階幹事長や安倍・麻生の顔色をうかがって“沈黙”していた自民党内に「菅降ろし」の機運が高まってきたのは間違いない。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。
「衆院選前の総裁選を最初に要望したのは自民党青年局でした。菅首相の不人気は選挙基盤の弱い若手を直撃する。自民党議員が地元を回って聞かされるのは、『菅首相の批判』『飲食店の泣き言』『ワクチン接種が受けられない』という苦情だそうです。通常の陳情とは違い、いずれも菅首相しか対応できないことばかり。これではとても選挙になりません。若手は、選挙の応援なら菅首相より、まだ石破氏を呼んだ方がいいとすら思っていますよ。たとえ3A(安倍・麻生・甘利)が嫌っていても人気がありますから」
だが、厚顔無恥な菅は総裁選に出る気満々。安倍の残り任期のピンチヒッター程度で十分だったのに、18日の会見で総裁再選を目指すかと問われると、「時期が来れば、それは当然のことだろうと思う」と改めて意欲を示した。
多くの国民は唖然だったろう。「一刻も早く辞めてくれ」が国民の総意だからだ。
国民に謝罪して、内閣総辞職すべし |
それは、共同通信が14〜16日に実施した世論調査でハッキリしている。菅の総裁再選と続投を望むか聞いたところ、「続けてほしくない」が65・1%にも上ったのだ。国民の6割以上が、就任1年未満の現職首相に「もう辞めてくれ」とは異常事態だが、新型コロナのこの感染爆発では仕方ない。自宅療養中に死亡する事例が相次ぎ、「明日はわが身」の恐怖に、「このままでは菅首相に殺される」と考えるのは自然。就任してから、やったことと言えば、飲食店への休業要請とワクチン一本足打法。それも順調とは言えず、コロナ無策と無能をさらけ出してきたことに国民は怒り心頭なのだ。
8月31日までの宣言延長を決めた7月末の会見時に菅は、「今回の宣言が最後となる覚悟で対策を講じる」と言ったのに、結局また延長した。だが、その責任を感じることなく「要因は感染力が極めて強いとされるデルタ株だ」とウイルスに転嫁するのだから度し難い。
デルタ株(インド株)がアルファ株(英国株)の1・5倍の感染力だということは、五輪開催よりずっと前の6月には分かっていて、政府分科会の尾身会長は「1〜2カ月でインド株に置き換わる」という見通しを示していた。7月中旬に大半がインド株に置き換わり、感染爆発するという専門家の試算もあった。「ワクチンでなんとかなる」という甘い考えだったから、対策を誤ったのである。
この期に及んで「楽観論」は犯罪的
今後についても期待できない。1年以上前から求められていた「医療体制の確保」を柱にするのも呆れるうえ、菅が18日の会見で口にしたのは「7月以降、全国で約1400床を新たに確保した」「軽症者のホテル療養についても、7月以降、全国で1700室を追加した」という“やってる感”。18日の全国の1日当たりの新規感染者は初めて2万3000人を超え、入院治療を要する患者が1日で4000人近く増えているのに、菅の言う増床数はケタが違いすぎる。
「速やかに各地に構築」と意気込んだ「酸素ステーション」にしても、感染状況が最も深刻な東京都には現状、50人分程度しかなく、来週にも新規開設されるのは、130人規模の施設にすぎない。18日時点で東京の自宅療養者は2万2000人以上なのに、遅すぎる酸素投与体制について滔々と語る菅は、驚くべきトンチンカン。これでは、兵站がないまま玉砕した陸軍と同じ道をたどることになる。
ところが、18日の朝日新聞によれば、ポンコツ首相は感染状況について最近も、「8月末になれば雰囲気は変わる」と周辺に話しているという。この期に及んで、まだ「楽観論」とは無能を通り越して、犯罪的ですらある。
政治評論家の森田実氏がこう言う。
「もはや菅首相は、国民に謝罪して、内閣総辞職すべきですよ。官僚の作る文章を読むだけで、まともな質疑応答をする能力のない人物だと、多くの国民はもう分かっている。国会を開かず、独り善がりで全てやってしまおうとしているが、信頼できないリーダーに国民はついていきません。選手交代しなければ、政治が機能しないところにまで来てしまいました」
目玉の「デジタル庁」もミソがついた
それでも菅は「続投」に懸けている。緊急宣言の延長を9月12日までとしたのは、同17日告示・29日投開票の日程が有力視されている自民党総裁選前の“空白期間”をつくって、13〜16日の4日間に衆院を解散できる可能性を残そうとしたからだ。1週間長い19日まで延長の選択肢もあったのに、菅は12日にこだわった。
緊急宣言を解除する基準に、ワクチン接種の効果や治療薬の普及の指標を反映させるなどの見直しに着手したのも、是が非でも12日に解除するための布石ではないのか。
だが、その一方で、12日に解除できると見る向きは政権内でも少数派だ。東京の解除の目安は、過去の例では新規感染者500人未満だが、18日はその10倍の5386人だった。厚労省のアドバイザリーボードは18日、「感染拡大の歯止めがかからない」と危機感をあらわにしている。ピークアウトの兆しが全く見えないのに、宣言解除も、衆院解散もとても無理だ。政界では、パラ閉幕後の9月6日や7日に菅退陣説も語られ始めた。
「菅首相が自ら戦うのを諦める可能性も出てきました。『総合的に考えた結果、次の総裁選には出馬しません』と会見し、体裁を保つ。コロナ無策はもちろんですが、目玉の『デジタル庁』も、9月1日発足を目前にして事務方トップの人事でミソがついた。『デジタル監』になるはずだった伊藤穣一氏が、過去の資金援助問題で起用見送りです。政権運営に暗雲がかかってきました」(角谷浩一氏=前出)
いよいよポンコツの悶絶死が見えてきた。
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