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強敵デルタ株に世界は3回目接種に動き出した 日本とは本気度が違う どうする、どうなる「日本の医」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/293391
2021/08/17 日刊ゲンダイ
イスラエルはデルタ株対策でワクチン3回接種を始めた(C)共同通信社
7月30日、米疾病対策センター(CDC)は、デルタ株の感染力が水ぼうそう並みに強いと発表した。水痘の感染力は麻疹よりは弱いが、おたふく風邪や風疹よりは強く、家庭内接触での発症率は90%だ。
世界の関心は、デルタ株にワクチンが効くかだ。7月3〜17日に米マサチューセッツ州で開催されたイベントで469人の集団感染が発生したが、このうち346人(74%)はワクチン接種を済ませていた。133人でウイルスゲノムをシークエンスしたところ、119人(89%)はデルタ株だった。さらに、ワクチン接種済みの感染者と未接種の感染者のウイルス量を比較したところ、大きな差はなかった。残念ながら、ワクチンはデルタ株に効きにくいようだ。
このことはイスラエルでも確認されている。7月22日、イスラエル政府は、6月20日から7月17日のファイザー製ワクチンの効果は、入院や重症化は、それぞれ88%、91%予防したものの、感染自体の予防効果は39%まで低下していたと発表した。
どうすればいいのか。まずは、ワクチンの追加接種だ。デルタ株が出現し、ワクチンの限界が明らかとなった。ただ、それでも頼りになるのはワクチンだ。米「ニューヨーク・タイムズ」は7月30日に「CDCは、ワクチンを接種した人でも感染を拡大することがあるが、多くはないと主張する」という記事を掲載した。
イスラエルは8月1日から60歳以上に3回目の追加接種を開始したし、英国は9月から高齢者を対象に追加接種をする方向で調整を進めている。米国についても、7月23日、「ニューヨーク・タイムズ」が「バイデン政権は、免疫力が低下した米国人には追加接種を検討している」と報じた。
ファイザーによれば、2回目の接種から6カ月後に3回目の追加接種を受けた場合、抗体価は5〜10倍程度増加するらしい。同社は7月8日に3回目の追加接種の承認を米食品医薬品局(FDA)に申請する方針を明かした。
世界ではワクチン接種の義務化も進んでいる。リードするのは米国だ。米ニューヨーク市とカリフォルニア州は、7月26日、職員にワクチン接種、あるいは検査を毎週受けることを義務付けると発表したし、米退役軍人省は、連邦政府機関として初めて、同省で働く医療関係者のワクチン接種を義務化した。
接種の義務化は公務員だけではない。米「サイエンス」誌は、9月からの新年度の開始を控え、7月23日号に「大学はワクチン接種の義務化が必要」という巻頭言を掲載し、FDAはファイザーとモデルナに、5〜11歳を対象とした治験の実施を求めている。
これが世界の現状だ。日本のコロナ対策とは本気度が違う。日本はもっと真面目にワクチンを議論しなければならない。
上昌広 医療ガバナンス研究所 理事長
1968年兵庫県生まれ。内科医。東京大学医学部卒。虎の門病院や国立がん研究センター中央病院で臨床研究に従事。2005年から16年まで東京大学医科学研究所で、先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究。16年から現職。
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