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運動競技開催で自己陶酔にふける暴君、為政者…古代ローマと現代日本の共通項 三枝成彰の中高年革命
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/293029
2021/08/07 日刊ゲンダイ
安倍前総理は“コンパクト五輪”をうたっていたが…(C)日刊ゲンダイ
国民1人あたりが東京オリンピックのために支払う金額について「週刊ポスト」(8月13日号)が試算を公開した。それによると都民1人あたりの負担は何と10万3929円! 都民を含む国民1人あたりの負担は1万408円だという。
当然、この「1人」には生まれたばかりの赤ちゃんも100歳の高齢者も含まれるわけで、家族が多ければ負担も増えることになる。4人家族で41万円超は痛すぎる金額だ。
2013年の招致委員会の想定では7340億円だった開催費用はどんどんふくらみ、現在の試算では3兆円を超えるという。確か安倍前総理をはじめとするお歴々は“コンパクトなオリンピック”をうたっていた気がするが、私の記憶違いだろうか? コロナ禍での大会延期があり、組織委員長の交代や演出スタッフの辞任や解任など、あまりにゴタゴタがありすぎて、もう忘れかけてしまっている。いつの間にか高邁(こうまい)なコンセプトは時のかなたに吹き飛び、今年の夏、史上最高額のオリンピックのお目見えとなった。
「オリンピックにはカネがかかる」は世界の常識ではある。しかし、ドイツのハンブルクのように住民投票で2024年のオリンピックの招致をあきらめた例もあるのだ。当時はヨーロッパでテロが相次いでいた時期でもあったし、必ずしもカネだけが理由ではないだろう。
しかし、オリンピックだけが都市を盛り上げる手段ではないし、違う方法で文化やスポーツの振興を図る道はあるということだ。
それにオリンピックを開催した都市が、大会後に不況に見舞われた例は多い。ましてや東京オリンピックは史上最高額の経費に加え、コロナで思うに任せない世情を背景に強行された。そのツケを払わされる都民と国民は、たまったものではない。
古代、オリンピックの原形となったオリュンピア大祭はギリシャの4つの大祭のひとつで、オリュンピア、ネメアー、イストモス、デルポイの4つの地で、ゼウスやポセイドンらの神々に捧げるために開催された。なかでもデルポイは芸術の神アポロンに捧げる大祭で、音楽や詩歌、演劇や絵画や舞踊の創作と発表を国民がこぞって行っていたという。のちには運動競技や戦車による競争も加わった。
ギリシャ文化に憧れていた皇帝ネロは独自に大会を主催し、みずからも出場して歌を披露し、国民の喝采をもって迎えられたという。もっとも、ネロの熱演に飽き飽きした市民が競技場の塀をよじ登って逃げることもあったともいわれる。ギリシャの神々に捧げられた古代オリンピックはキリスト教がローマの国教になったことで途絶えるが、国民をないがしろにして自己陶酔にふける暴君や為政者は、はるか昔のローマにも現代の日本にもいるということか。
そんななか、オリンピックのトップスポンサーであるトヨタの豊田章男社長が、オリンピック関連の国内での広告を出さないことを決めて話題になった。この決断は素晴らしいと思った。いまからでも遅くない。決裁権を持つお歴々には、かつて自分たちが掲げた“コンパクトなオリンピック”に戻すべく、赤字を国民に押しつけることのないよう打開策を考えていただきたい。できることなら私たちも古代ローマの市民のように塀をよじ登ってこの場から逃げ出したいところだが、そうするわけにもいかないのだから。
三枝成彰 作曲家
1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。
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