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「卓球・伊藤美誠に妨害ライト」は韓国でなく『スッキリ』のクルーだった! ネトウヨや夕刊フジがヘイトデマ拡散も日テレは事実隠し
https://lite-ra.com/2021/08/post-5977.html
2021.08.05 伊藤美誠に妨害ライトは韓国でなく『スッキリ』!ネトウヨや夕刊フジがデマ リテラ
日本テレビ『スッキリ』番組公式ページより
東京五輪の開幕によって、案の定、ネトウヨが連日のようにレイシズムをあらわにしている。とくに標的になっているのが韓国で、やれ「わざわざ給食センターをつくって原発事故の風評被害を広めようとしている」だの「選手村に反日横断幕を掲げている」だのと数々の言い掛かりをつけているのだが、そんななか、とりわけネトウヨが「反日行為!」「絶対に許すまじ!」といきり立っていたあの問題について、とんでもない事実が判明した。
それは、日本の伊藤美誠選手と韓国の田志希選手が対戦した、7月28日の卓球女子シングルス準々決勝でのこと。ネトウヨはこの試合で「韓国メディアがカメラのライトで伊藤選手を妨害した!」と噴き上がっていたのだが、じつは試合中にカメラの照明をつけていたのは日本メディア、日本テレビ『スッキリ』のクルーだったことがわかったのだ。
まずは経緯を振り返ろう。アクシデントが起こったのは第4ゲームの序盤、伊藤選手が審判に指差しながら何かを訴える場面があった。その際、実況者は「いま映っていたライトが眩しいということで……」と説明。中継映像では照明がついたテレビカメラを構えたクルーが映し出されたのだが、伊藤選手はどうやらその照明について審判に訴えたようだった。
この試合に伊藤選手は4−0で圧勝したが、ところがSNS上では、中継映像に映し出されたカメラクルーが韓国メディアだと示す証拠は何ひとつないにもかかわらず、対戦相手が韓国選手だったことから“韓国メディアの仕業”だとして、問題のテレビクルーが写った動画や画像とともにすぐさま拡散。翌日7月29日にはネトウヨまとめサイトの「保守速報」も飛びつき、さらには同日、夕刊フジが一面にデカデカと「卓球韓国戦で 美誠に妨害光線」と見出しを掲載。記事で〈ツイッター上では、特定の国のテレビクルーが伊藤を妨害した、とする説明書きが付けられて動画が拡散している〉と伝えた。
Twitter上での指摘だと断ったり「特定の国」などとぼかしているとはいえ、見出しで「韓国戦」「妨害光線」と掲げていたことからも、夕刊フジはあきらかに韓国メディアによる妨害であるかのように誘導したのだ。
結果、この問題はさらに拡散され、ネトウヨは大騒ぎ。証拠は何ひとつないというのに、韓国メディアが伊藤選手を妨害するためにしでかしたと声高に叫びはじめたのだ。
〈特亜的な妨害工作はこれからも激化しそう。大声で抗議しなくては!〉
〈姑息な人たちだね 韓国ってさ〉
〈韓国メディアのカメラライトで伊藤美誠選手の目を狙う行為は許せません!!〉
〈自衛隊機にレーダー照射ロックオンした国がまた何かやった、と〉
〈報道してくれたのは夕刊フジだけ〉
〈これ、ガンガン拡散な〉
■新潮の取材に日本テレビが「当該クルーが日本テレビの取材班だったことは事実」と認めた
さらに、時事通信出身の極右政治評論家・加藤清隆氏も7月31日に以下のように投稿。その投稿には3000件を超えるリツイート、1万件もの「いいね」がついた。
〈卓球女子シングルス準々決勝で伊藤美誠選手に韓国のクルーと見られるカメラのライトが当てられた問題で、同選手への妨害である可能性が出て来た。あれはELGライトと言って、通常は接写する時などに使用される。そもそもスポーツの試合でライトを付けることはない。よく調べた上で、厳重な処分が必要。〉
また、「証拠映像」として投稿した動画が著作権の問題で削除されると〈著作権を証拠隠滅のために使う姑息なNHKと韓国テレビ局〉だのという陰謀論まで巻き起こる事態となっていた。
ところが、これらが「完全なデマ」であることが、本日5日になって判明。本日、「デイリー新潮」が「伊藤美誠に“妨害”ライト、韓国メディア犯人説が流布するも、ようやくわかった真相」と題した記事を配信したのだが、記事内では、日本テレビの関係者が「あれは『スッキリ!』のクルー」だと指摘し、「ネットで出回っているNHK中継の画像を見ましたが、右端に森圭介アナ(42)が映っていますし、他にも知った顔が映っています。もちろん彼らに伊藤選手を妨害する意図なんてないでしょう」「スポーツ取材の勝手がわからず、ライトを点けてしまっただけなのではと思います」と証言。
しかも、この記事が決定的なのは、「デイリー新潮」の取材に対する日本テレビの返答だ。記事では、日本テレビ側も「当該クルーが日本テレビの取材班だったことは事実」と認めているのである。
じつは、昨日4日の夜、この記事で現場にいたと指摘されている森アナウンサーは自身のTwitterに、〈悔やんでも悔やみきれないことをしてしまった時は、そのこと自体を忘れたくなってしまうけど、もう二度とそんなことをしないように紙に書く。書かずとも胸に刻めばいいと言えるほど、自分を信用してない。書く。忘れないように、書く〉と投稿。これは、「デイリー新潮」に自分たちが問題となっている取材クルーだった事実が出ることを知り、投稿したものなのだろう。
■「韓国の仕業」なるデマが拡散されても『スッキリ』日本テレビは新潮の取材を受けるまで知らんぷり
さんざんネトウヨや極右論客は“韓国メディアの仕業だ!”と証拠もなく決めつけ、息巻いていたものの、じつのところその“真犯人”は、新型コロナ感染拡大の問題をも放り出し、局をあげて五輪礼賛報道に明け暮れている日本テレビ、しかも「また日本が金メダル!」と朝から大はしゃぎしつづけている『スッキリ』のクルーだったとは──。ようするに、夕刊フジが「妨害光線」としたのは日テレ取材クルーのたんなる不手際であり、ネトウヨや加藤清隆氏が言いふらした「韓国のクルー」というのは根も葉もないデマだったのである。
証拠もなく「韓国の仕業」「韓国の捏造」「反日韓国」などというデマが平然と垂れ流される状況、そして五輪を“ヘイトを喧伝する格好の舞台”として利用するネトウヨや極右メディアの害悪……。だが、責任は日テレにもある。ネット上でこれだけデマが拡散されていることを日テレや『スッキリ』スタッフが知らなかったはずがない。にもかかわらず、熱狂的な五輪報道でナショナリズムを煽りつづける一方、取材時に不手際があったことには一言も触れず、取材を受けるまでデマを放置してきたからだ。
いや、問題は日テレだけではない。東京五輪の開会式では選手入場行進に、性的マイノリティへの差別同調や歴史修正主義発言を繰り返している“現役レイシスト”の作曲家・すぎやまこういち氏のゲーム音楽が使用されたが、その問題をしっかり真正面から指摘した国内大手メディアは皆無だった。メディアがレイシズムに対して厳しい姿勢を持たず、それどころか「韓国は反日」などというヘイトを煽るようなニュースに明け暮れる結果、このようにネトウヨによるデマの跋扈を許す一因になっているのである。
(編集部)
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