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※2021年7月20日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年7月20日 日刊ゲンダイ2面
【まだまだ下がる菅支持率】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) July 20, 2021
それ見たことか 「五輪強行」すべてが裏目
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/uw9tNb302o
※文字起こし
世論の大半が反対する東京五輪の開催まで、あと3日。都内はすっかり五輪モードに突入だ。大会期間中の交通混雑の緩和などを目的に、政府が官民挙げた協力を呼びかける「テレワーク・デイズ」(9月5日まで)が19日スタートし、大規模な交通規制も始まった。「ロードプライシング」が導入された首都高速道路は午前6時〜午後10時はマイカーの通行料金が1000円上乗せされ、一部入り口も閉鎖。この影響で都心の高速道路や一般道で渋滞が発生している。
4回目の緊急事態宣言下にある都内の生活が大きな制約を受け続けている中、「そこのけそこのけ五輪が通る」。平民には多大な我慢と犠牲を強いながら、貴族による貴族のための祭典が始まろうとしている。
五輪好きと言われてきた日本人も、さすがに嫌悪を通り越して怒り沸騰だ。コロナ禍を歯牙にもかけずに突き進む菅内閣の支持率がまた一段、下落。30%を割り込み、「危険水域」入りである。ANNの世論調査(17〜18日実施)で支持率は前回調査から2・8ポイント減の29・6%。不支持率は3・4ポイント増の46・1%で、政権発足以来最低だ。個別面接方式で信頼性が高いとされる時事通信の調査(9〜12日実施)でもヒドイ数字が並び、支持率29・3%に不支持率49・8%。毎日新聞の調査(17日実施)では支持率30%に対して不支持率62%で、不支持が支持のダブルスコアとなるありさま。内閣支持率と与党第1党の支持率の合計が50%を割ると、その内閣は倒れるという「青木の法則」によれば、菅政権は崩壊寸前。“参院のドン”と呼ばれた自民党の青木幹雄元官房長官が唱えたもので、毎日の調査は58%。時事の調査では合計50・7%、首の皮一枚である。
感染者数は半年前水準に
どの調査も不支持が支持を圧倒する政権末期の様相だが、まだ3割も支持があることも驚きである。政治評論家の本澤二郎氏は言う。
「世論調査の数字に官邸は震え上がるものですが、いまや自民党もブルブルと震えている。かといって、何をどうしていいかもわからない。自民党結党以来の深刻な事態です。菅政権は最悪の状態で五輪に突っ込んでいくことになる。菅首相は五輪が生む熱狂を利用した政権浮揚をいまだに期待しているようですが、どれほどの国民がのんびりとテレビ観戦できるのでしょうか。新型コロナウイルスの感染再拡大への不安、コロナ禍による経済的問題を抱え、日々の生活に汲々の国民は決して少なくない。テレビがどんちゃんお祭り騒ぎをするほど、なぜこんなに浮かれているんだろうと、引いてしまうのではないか。菅首相はこのところカメラに向けて殊勝な態度を見せていますが、それが本心であればとっくに総辞職していますよ。仏作って魂入れず、とはこのことです」
9月末の任期切れに伴う党総裁選をめぐり、菅はテレビ番組で「総裁として出馬するというのは、時期が来ればそれは当然のことだろう」と再選への意欲を隠さなかったが、各社の世論調査では「任期を超えてできるだけ長く続けてほしい」との声は1割ほどしかない。そりゃそうだ。都内は感染拡大の第5波にのみ込まれ、19日までの1週間平均の新規感染者数は1100・4人に上昇。1100人超えは1月25日以来で、前週比は145・4%に増加した。変異株を調べるスクリーニング検査で、従来株より1・9倍感染力が強いとされるデルタ株(インド株)が占める割合は過去最多の34・5%となった。
それなのに、「最後の切り札」のはずのワクチンは枯渇が続く。3回目の宣言を見切り発車で解除したことでリバウンドを招き、有観客で盛り上げるもくろみもパー。国民の大半が9月の任期で辞めろと言い、五輪にも何の高揚感もなく、コロナ対応や逃げの政治姿勢に怒り心頭。それ見たことか、五輪強行はすべてが裏目。菅内閣の支持率はまだまだ下がるだろう。
バブル崩壊に「想定より少ない」「予測不可能」 |
世論の反感を強めている五輪の特別扱いもさることながら、IOC(国際オリンピック委員会)やぼったくり男爵への厚遇は格別だ。週末には大会組織委員会主催で、国賓級のゲストをもてなす迎賓館でバッハ会長をはじめとするIOC関係者の歓迎会を開催。橋本聖子、森喜朗の新旧会長、菅、小池都知事ら40人ほどが出席し、世界的ピアニスト辻井伸行氏の演奏を堪能したという。加藤官房長官は「サロンコンサートとして、音楽を鑑賞するという形で行われた」と言っていたが、笑止千万だ。巷ではコンサート開催に高いハードルがあり、関係者が二の足を踏んでいる現実は無視か。
バッハはわずか3日間の隔離期間を終えると、我が物顔で列島を闊歩。ノーベル平和賞欲しさに地元の反対を押しのけて、広島へ弾丸ツアー。19日はIOCが提唱する「五輪停戦」を訴える壁を選手村に設置するセレモニーに出席し、「平和」への取り組みをアピールした。開会式前日には皇居で天皇に面会し、28日には福島県入りして野球の日本―ドミニカ共和国の開幕戦始球式で登板する予定だという。
その一方、バブル方式はやはり破綻に向かっている。選手村では選手ら3人の陽性が判明し、組織委管理下にある大会関係者の感染者数は1日以降、計58人に上る(19日現在)。バッハが「東京大会に参加するアスリートの85%、IOC関係者はほぼ100%、メディア関係者も70〜80%がコロナワクチンの接種を終えている」「われわれが日本国内にリスクを持ち込むことは絶対にない」などと豪語していたのは一体何だったのか。IOC独立専門家パネル座長のマクロスキー博士は「想定より少ない」と言い放ち、大会後の感染状況について「予測は不可能だ」と無責任極まりない。日本のことなど、どうでもいいのだろう。
次々逃げ出すスポンサー
当初から懸念されていた猛暑リスクも顕在化している。
先週末に梅雨明けした都内は、蒸し風呂状態。CNNは「東京五輪、五輪史上最大級の猛暑に警戒」の見出しで、〈1984年の米ロサンゼルス大会までさかのぼってこれまでの全大会を振り返ると、期間中の2週間の平均気温は東京が最高で、湿度も最も高い。加えて東京に台風が接近する恐れもある〉などと警鐘を鳴らしている。バブル崩壊、熱中症続出、さらに不測の事態が重なれば、医療体制の逼迫まであっという間だ。こんな状況下で国民に不便を強いるおバカな祭典を強行すれば、支持率1ケタは時間の問題である。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「開会式の楽曲制作担当だった小山田圭吾氏が19日になって引責辞任に追い込まれたのは、支持率と外圧を気にした官邸の意向でしょう。学生時代のいじめ問題が再燃して猛批判を浴びていたにもかかわらず、組織委は続投で押し切ろうとしてさらに波紋を広げ、人権問題に敏感な海外メディアにまで広く報じられてしまった。ただ、支持率が1ケタ台に落ち込んだ森政権の例もある。菅首相もまだまだいけるとタカをくくっているのではないか。メダルラッシュで神風が吹く、これ以上ひどいことは起きないという根拠のない楽観論に取りつかれているのでしょう」
最高位スポンサー「ワールドワイドオリンピックパートナー」のトヨタ自動車は五輪関連のテレビCMの国内放送、豊田章男社長らの開会式出席を見送り。その下の「JOCゴールドパートナー」のNTTやNECなども出席しない意向だ。“3ケタから4ケタ”の億単位巨費を投じたにもかかわらず、不祥事続きで問題だらけの五輪から次々に逃げ出している。呪われた五輪ともいわれるが、すべて人災。後悔しても後の祭りだ。
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