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NHKが開会式前日に放送『いだてん』が突きつける東京五輪への疑問!「いまの日本は世界に見せたい日本か」の台詞が甦る
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2021.07.18 NHKが開会式前日に放送『いだてん』が突きつける東京五輪への疑問 リテラ
NHKアーカイブスHPより
デルタ株の感染拡大に加え、バブル方式破綻やデタラメな感染対策が次々露見し、地獄絵図になる可能性がますます高まってきた東京五輪。
しかし、マスコミ、特にテレビはひと頃の批判姿勢はどこへやら。各局とも五輪を無理やり盛り上げようと、本番直前のオリンピック特番を次々放送し始めた。莫大な金を使って放映権を買った以上、どうしても五輪を盛り上げる必要がある上、民放にとっては、特番をやれば、五輪スポンサーが提供について金が入ってくる、ということだろう。
もちろん、この特番ラッシュはNHKも例外ではなく、『スポーツ酒場“語り亭”東京2020オリンピック 開幕直前スペシャル』といったバラエティ特番はもちろん、『東京リボーン スペクタクルシーンを凝縮 首都大改造の3年間』『オリンピックの群像“不敗の勇者 山下泰裕” 』など、政権や組織委ヨイショのような特番まで、さまざまな特番の放送予定が組まれている。
政権に忖度してコロナ感染をめぐる報道まで圧力がかかっているといわれるNHKらしいラインナップだが、しかし、そんななかで、放送されることが、空疎な盛り上げとは逆に、東京五輪強行への疑問を喚起するかもしれない特別番組がある。
それは、五輪開会式前日の7月22日にアンコール放送されることが発表された『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)総集編だ。
周知のように、同作は宮藤官九郎が脚本を担当し、当初、東京五輪が予定されていた2020年の前年2019年に放送された。
だが、この『いだてん』については、NHKがアンコール放送を発表する少し前、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』などで知られる脚本家の野木亜紀子氏が、五輪開催強行に疑問を投げかける文脈で、こんなツイートをしていた。
〈オリンピックとは何であるか。今こそ『いだてん』の再放送が必要なんじゃないか。と思うけれどもオリンピックはすでに二週間後なので放送しても間に合わない。つか、マジでオリンピックやるの?その引き換えに飲食店や酒類販売業者を悪者にするの無理がない?感染の原因は本当にそこだけなの?〉
たしかに、野木氏がこの状況で『いだてん』の再放送を口にした理由はとてもよく理解できる。
なぜなら、この『いだてん』にはまさにいま、東京五輪を強行しようとしている人たちに突きつけるべきメッセージが含まれているからだ。
それを象徴するのが、37話、そして最終話に登場する「いまの日本は、あなたが世界に見せたい日本ですか?」というセリフだ。
■1940年の幻の東京五輪を止める言葉「いまの日本は世界に見せたい日本か?」がよみがえる
『いだてん』は、日本人初のオリンピック選手であるマラソン選手・金栗四三(中村勘九郎)と五輪招致に尽力した田畑政治(阿部サダヲ)を主人公に、1912年のストックホルム大会から1964年東京大会までの間、オリンピックに関わった人々を描いた群像劇だが、途中、1940年の幻の東京大会をめぐるエピソードが出てくる。
1940年、東京での五輪開催が決まっていながら、日本の中国侵略に国際社会が反発。最終的に東京大会は開催されず幻に終わるのだが、37話で描かれているのは、その幻の東京オリンピック開催をめぐる嘉納治五郎(役所広司)と田畑(阿部サダヲ)の対立だ。
日中戦争の勃発で国際世論の日本への批判が厳しくなるなか、日本人初のIOC委員であり五輪招致の中心を担った嘉納は国威発揚に五輪を利用しようとする政府を後ろ盾に、あくまで開催を押し切ろうとする。それに対して、土下座をしてまで開催返上を迫る田坂。
しかし、嘉納は意見を変えず、田畑に対して、国際世論を抑え込むために、カイロで行われるIOC総会についてきてほしいと語る。
すると、田畑はそれを拒否し、激高しながら、スポーツが政治利用されてしまう現状では日本にオリンピックは開く資格はなく、ここはまず返上して、日本は平和になってからまた招致すればいいと主張する。そして、逆に嘉納に対してこう問いかけるのだ。
「いまの日本は、あなたが世界に見せたい日本ですか?」
結局、嘉納はひとりでカイロに向かい、ひとまず開催返上阻止に成功するが、その帰国途中、船上で客死する。一方、日本はさらに戦争にのめり込み、周知のとおり、1940年の東京五輪は開催されることなく、幻に終わる。
それから20年。敗戦を経て、田畑らは再びオリンピック招致に動き、1964年に東京オリンピックが開催される。2019年12月に放送された最終話では、主に開会式から閉会式までの大会期間のドラマが描かれたが、印象的なのは閉会式のシーンだった。
よく知られている通り、1964年の東京オリンピックの閉会式はそれまでの慣例を打ち破って、選手が自由気ままに入場するかたちになった。国籍、人種、性別、宗教、ありとあらゆる壁を乗り越え、選手たちが笑顔で手と手を取り合い入場するさまは、感動を呼び、以降、閉会式では、このかたちが定番となっている。
最終話では、この閉会式の様子がたっぷり描かれたうえ、涙ぐむ田畑が映し出されるのだが、そこに亡き嘉納の幽霊が現れる。そして、田畑にこう問いかけるのだ。
「これが、君が世界に見せたい日本かね?」
これに田畑が「はい」と微笑みながら胸を張って答える。あの幻の東京五輪への批判のことばが、今度はオリンピックの理念を具現化した閉会式への賞賛のことばとして、最終話によみがえるのだ
■戦前の日本の歪なナショナリズム、負の部分に踏み込んでいた『いだてん』
『いだてん』という作品はほかにも、見るべき部分がたくさんある。クドカン流のキャラクター設定や密度の濃いやりとりはもちろん、五輪礼讃とは一線を画し、国威発揚や勝利至上主義とは距離を置いた視点、さらには、歴史修正主義がはびこる現在の日本でコントラバーシャルな日本の近現代史に踏み込み、戦前の日本の歪なナショナリズム、負の部分に踏み込んでいたことも評価すべきだろう。
関東大震災の朝鮮人虐殺を示唆するシーン、朝鮮半島出身であるにも関わらず、日本の植民地支配のため、日本代表として日の丸と君が代をバックにメダルをもらうことになったマラソンの孫基禎選手と南昇竜選手のエピソード、オリンピックの舞台となるはずだった国立競技場から学徒動員で戦地へ向かい死んでいった若者の悲劇、満州における中国人に対する加害行為……。
安倍政権下で右傾化と歴史修正主義的な風潮が進み、史実通りの戦前、戦争描写が難しくなっているなか、NHK大河ドラマというもっともメジャーな場所で、こうした描写に向き合ったというのは、賞賛に値する
しかし、いま、この状況で再び『いだてん』を観たとき、わたしたちの心に刺さるのはやはり37話と最終話に登場する「いまの日本は、あなたが世界に見せたい日本か?」だ。
2つの対照的なシチュエーションで真逆の使い方をされたこの問いかけのことばによって、私たちはオリンピックが本来どうあるべきか、がはっきりとわかるはずだ。
そして、コロナの感染が全く収束しないまま、ワクチンや経済的格差がさらに激化する中で、国民の健康と命を危険にさらして五輪強行へと突き進んでいるいまの日本の姿を思い出して、「あなたが世界に見せたい日本か?」ことばを問いかけたくなるだろう。
NHKの編成は五輪盛り上げのために放送するだけなのだろうが、NHKにどういう意図があっても、変な編集さえされなければ(物語の根幹をなすシーンなのでさすがにカットは難しいだろう)、『いだてん』は間違いなく、東京五輪のあり方に疑問をもち、五輪の本質を考えるきっかけになる。開会式ではなく、その前日に一人でも多くの人がNHKを見てくれることを願いたい。
(本田コッペ)
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