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菅政権が五輪期間中に感染者増えても緊急事態宣言出さない方針! 官邸幹部が「重症化しなければコロナもただの風邪」と放言
https://lite-ra.com/2021/07/post-5942.html
2021.07.06 輪期間中は緊急事態宣言なし 官邸幹部が「重症化しなければただの風邪」 リテラ
東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより
東京五輪がいかに“ぼったくり男爵”をはじめとする五輪貴族やスポンサーのためのものであるかが、あらためてあらわになりそうだ。本日6日、朝日新聞が朝刊で、政府が東京五輪の観客について開会式や大規模会場は「無観客」で開催する方針で最終調整に入ったと伝え、こう報じたからだ。
〈IOC委員などの「五輪ファミリー」や各国の外交関係者、スポンサーらは別枠として観戦を認める方向だ。開会式も入場できるようにする。〉
一般の観客は入れないのに、IOC関係者やスポンサーなどは「別枠」で観戦させる──。しかも五輪大会では、IOC委員らは全競技会場に設置されたVIP用ラウンジ「オリンピックファミリーラウンジ」でワインやシャンパンを片手に観戦するのが慣例で、東京五輪におけるVIP用ラウンジの家具や什器、備品の調達にかんする競争入札は1億413万2116円で落札されている。今回の東京五輪ではアルコールの提供はしないというが、無観客のなか、五輪貴族たちはこのVIP用ラウンジで優雅に観戦をおこなうことになるのだ。
今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、玉川徹氏が「日本でおこなわれているのに日本人は入れなくて、大会関係者だけがみんないて。どこが日本でやっている意味なんだろうと」「一体、誰のためのオリンピック」とコメントしていたが、まったくそのとおりだろう。
しかも、規模の小さな会場では条件付きで「有観客」にする方針だと報じられたが、これも〈「別枠」の観戦を認める以上、一般の観客を完全に認めないのは難しい〉という判断からだという。つまり、五輪貴族やスポンサーらの観戦を認めるためだけに、感染拡大が懸念されているというのに観客を入れようというのだ。
一般市民の健康と安全よりも五輪貴族やスポンサーの利益が優先され、そのためだけに「一部有観客」を実行する……。だが、さらに重大な問題は、菅義偉首相が五輪開催のために緊急事態宣言を出そうとしないことだ。
というのも現在、東京都を含む1都3県ではまん延防止等重点措置が取られているが、政府はこれを最大1カ月程度延長する案で検討をおこなっていると見られているからだ。
■政権幹部が「感染者数より重症病床数」と口をそろえ始めたのは、緊急事態宣言発出しないため
緊急事態宣言を解除し重点措置に移行した結果、東京では感染者数があきらかに増加し、きょう6日の新規感染者数も先週火曜日より117人も増えて593人となった。前週の同じ曜日を上回るのは17日連続であり、7日間平均は602.3人。この数字は前週の121.7%となる。このまま増加比率が120%でつづいていくと、五輪の開会式前には4 月 25 日の緊急事態宣言時とほぼ同レベルの新規陽性者数になる。
さらに、前回の宣言発出時とは違い、東京では感染力の高いデルタ株が拡大中だ。実際、きょう東京でデルタ株感染が確認された人数も過去最高となる94人にもおよんでいる。
つまり、どう考えてもいま取られるべきなのは重点措置の延長ではなく、緊急事態宣言の発出だ。にもかかわらず、効果がまるで出ずに感染拡大を招いている重点措置を最大1カ月も延長しようというのだ。
しかも酷いのが、宣言発出をしないために菅政権が持ち出している主張だ。それは「新規感染者数よりも大事なのは重症病床数」というものだ。
たとえば、田村憲久厚労相は本日、「新規感染者数だけを見るとステージ4だが、病床の状況はステージ4にはなっていない。専門家はいちばん重要なのは病床の状況だと言っている」と発言。
さらに、コロナ担当の西村康稔・経済再生担当相も、こんな発言を繰り返してきた。
「大事なことは重症者の数、(入院の)ベッドがどのぐらい使われているか。この医療提供体制を最も重視をして判断をしていきたい」(6月20日/NHK『日曜討論』での発言)
「ワクチン接種が進むと、かなり重症化を抑えられる。感染者が増えても重症者が増えなければ、新型コロナの入院者は減っていく」(6月22日/会見での発言)
そして、この姿勢は菅官邸の方針だ。朝日新聞は6月30日付記事で官邸幹部のこんな言葉を伝えている。
〈官邸幹部は「重症化しなければ、コロナもただの風邪になる」と強調。東京で新規感染者数が増えても、ほかの指標次第では緊急事態宣言を出さずに済むとの見方を示す。〉
「重症化しなければ、コロナもただの風邪」──こんな認識でコロナ対策を指揮していると考えるとゾッとするが、この方針のもとで菅政権は緊急事態宣言の発出をせずに突き進もうとしているのだ。
■進まないワクチン接種、東京都モニタリング会議では「若年・中年層の中等症患者が増加」指摘
しかし、この判断がいかに危険なものであるかは明白だろう。当たり前の話だが、感染者が増えれば一定数は重症化するのがコロナであり、重症患者の増加を抑えるほどにはワクチン接種が進んでいないからだ。政府のデータでも65歳以上のワクチン2回接種率は全国で35.86%、東京都でも37.13%にすぎない(5日時点)。
その上、現在の東京で入院患者として増えているのはワクチン接種が進んでいない65歳未満の層だ。実際、1日におこなわれた東京都モニタリング会議では、「入院患者の年代別割合は、40代、50代の割合が高く、30代以下は全体の約30%を占めている」「6月以降、若年・中年層の入院患者の割合が増加している」と指摘し、「この傾向が続けば、若年・中年層の中等症患者が増加し、遅れて重症患者が増加する可能性がある。このことを踏まえた入院医療体制の強化が必要である」と警鐘を鳴らしている。
つまり、これまでは若年層から高齢者層へ感染が波及し、それによって高齢者の重症者が増加してきたが、いま懸念されているのは感染者が多い若年・中年層の重症患者の増加なのだ。このまま菅首相が新規感染者数を見ずに病床使用率にだけこだわって対策を見誤れば、一気に医療提供体制は逼迫状態となり、東京は大阪のように医療を受けられないまま亡くなっていく患者が続出することになるのは目に見えている。
その上、東京五輪がはじまれば、たとえ無観客であっても、お祭り騒ぎが繰り広げられるなかで人出を抑えようなど無理な話。田村厚労相は本日の会見で「夜間を中心にリスクの高い行動を減らせなければ感染は抑えられない」と述べたが、そのためには東京五輪を中止するしかない。
だが、菅首相は中止どころか、是が非でも少なくとも開会式までは緊急事態宣言を発出することはないだろう。そして、それは「緊急事態宣言下の開会式」というディアストピア小説も真っ青な異常事態を避けるためだけの判断だ。そこには国内だけではなく世界の厳しい視線をごまかす目的もある。「緊急事態宣言」だと「State of Emergency」と強い言葉になるが、「まん延防止等重点措置」ならば「Semi-emergency coronavirus measures」(AP通信)や「emergency measures」(ロイター)などと印象を弱められるからだ。
現在の東京の感染状況はいますぐにでも宣言を発出すべき局面であるにもかかわらず、東京五輪の開催のためにそれが見送られる──。言うまでもなく、これは「国民の命と安全を守る」という首相の職責を放棄する行為にほかならない。8日に菅首相が重点措置の延長を表明した場合、それは「国民を見殺しにする」という宣言だということを忘れてはならない。
(水井多賀子)
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