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赤木雅子さんに傍聴席から拍手「疑惑や不信を招く行為をこれ以上続けないで」 森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/291022
2021/06/25 日刊ゲンダイ
口頭弁論の後、取材に応じる赤木雅子さん(C)共同通信社
傍聴席で拍手が沸いた。それを耳にした赤木雅子さん(50)は涙ぐんだ。
「とっちゃん、みんな味方だよ。見ててくれるかな?」
雅子さんの夫、赤木俊夫さん(とっちゃん)は森友学園への国有地値引きを巡り公文書を改ざんさせられ命を絶った。雅子さんは国などに裁判を起こし、夫が改ざんの詳細を記録した文書「赤木ファイル」の開示を求めた。裁判前日の22日、518ページに及ぶ赤木ファイルが開示されると、新事実が次々に読み取れた。
「佐川氏の名挙げ指示」「改ざん指示に抵抗の痕跡」
報道各社が大きく伝えた。待望の赤木ファイルを見て雅子さんは法廷で何と発言するのか? それがこの日の注目点で、33席の傍聴席に214人もの希望者が詰めかけた。証言台で雅子さんが訴えたことは……。
「赤木ファイルを見て、手書きの文字が夫の字だとすぐに分かりました。夫が苦しい立場に追い込まれながら、赤木ファイルを作ってメモを残してくれたのだと思うと、涙が出そうになりました」
実際、涙で声が詰まりそうだった。
「赤木ファイルには、私の知らない事実がたくさん記載されていました。夫が反対をしても一方的に改ざんを指示されて苦しんでいたことが分かりました。佐川さんから国会答弁を踏まえた修正を行うように指示があったという記載もありました」
新事実が明らかになっても、麻生財務大臣は「再調査はしない」と言う。
「第三者による再調査を」
「国が夫の代わりに、国民の皆さんに何があったのかすべてを明らかにするべきだと思います。そのためにも、赤木ファイルで明らかになった新事実をもとに、第三者による再調査を実施するべきだと思います」
「財務省の皆さんが改ざんの具体的経緯を明らかにしないことは、国民の疑惑や不信を招くような行為です。疑惑や不信を招くような行為をこれ以上続けないことを、私は心から願っていますし、夫も同じように願っていると思います」
この言葉で締めくくり、またも涙ぐんだ雅子さん。その時、傍聴席から拍手が起きた。一人、また一人と数人が呼応した。数秒して拍手が収まると裁判長が静かに告げた。
「静粛に願います」
そこで雅子さんの胸に去来したのは……。
「超うれしいです。夫への拍手でもあるし、心から応援してくれているんだと、温かい気持ちになりました」
実は前の晩から歯が痛くなって体調は万全ではなかったのだ。それを補って余りある、すてきな拍手だった。
相澤冬樹 大阪日々新聞・元NHK記者
大阪日日新聞(新日本海新聞社)論説委員・記者。1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを経て現職。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。
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