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“業火”に焼かれるべきは誰なのか ついに地獄の扉が開いた! ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/290983
2021/06/24 日刊ゲンダイ
新型コロナウイルスのワクチン接種をするアスリートやスタッフ(C)ロイター
地獄の扉が開かれた。
東京五輪開催が既成事実となったのだ。今や中止などと主張すれば公明党の山口代表から「現実的ではない」と一喝される始末だ。変異株による第5波が来て、再び緊急事態宣言発令の可能性がある中、オリンピックをやることこそ「現実的ではない」とは思わないのか。
しかも分科会が「無観客」を主張したにもかかわらず、最大1万人の観客を入れる、それも他府県から来ても構わないという。「旅行は控えろ」と叫びながら「五輪は見ろ」とはなんというダブルスタンダードか。
派手でうるさい宣伝カーと共に全国を細々走る、ほとんどスポンサーのためだけの聖火リレーは、最終的にチロチロ燃える地獄の火に点火され、燃え上がった業火は日本中を焼き尽くすことになるのではないか。
早くもウガンダ選手団の中から陽性者が出た。隔離されるのか送還されるのか、まだ決まっていない。確固としたマニュアルもルールもないのだ。
しかも他の選手は濃厚接触者かどうかも調べずに、合宿地に着いてしまった。よく聞けば空港検疫には濃厚接触者かどうか調べる権限がないという。しかも空港で行われていたのは抗原抗体検査でPCR検査ではなかった。さらに彼らが乗って来た飛行機の他の一般客については、もう確認のしようもないらしい。
驚くほどのザルである。いや、もうザルの編み目すらない。
そもそも東京五輪Playbookの濃厚接触者の定義に驚く。「15分以上、1メートル以内、マスクなし」とあるのだ。
今や新しいデルタ株は「すれ違ってもうつる」という説もあるくらいなのに、これはなんだ。あらかじめ濃厚接触者を一人も出さない、という考えからひねり出された基準ではないのか。
思えば1年前のPCR検査抑制論から、感染者数が増えればオリンピックができない、という理屈で政府や組織委の動きは一貫していた。すべての愚策は五輪のためにあった。
地獄の鍋の中でかき回された毒は、観客により日本全国に散らばり、関係者によって世界各国に広まる。最悪のケースは、日本で変異した日本株、五輪株なるものが生まれたらいったいどうするのだ。
杞憂だと言う人がいるだろう。しかし最悪の事態を想定するのが危機管理ではないのか。政府はきっと第5波や第6波がきても五輪とは関連付けないで押し切るだろう。いや、オリンピックさえできれば、パラリンピックは中止してもいいとさえ思っているのではないか。
腹が立つのは彼らが皆、自分だけは天国のようなところでフカフカのベッドで寝ていて、選手たちには段ボールのベッドで隔離生活を強い、「蜘蛛の糸」のお釈迦様のように地獄を見下ろしていることだ。彼らこそが地獄の業火に焼かれるべきではないのか。
これでも本当にオリンピックやるんですか。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
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