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オリパラ名誉総裁が五輪中止を示唆
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2021年6月26日 植草一秀の『知られざる真実』
宮内庁長官が「天皇陛下は五輪を懸念している」と発言したことが波紋を広げているが、重要なことは天皇が東京オリパラの名誉総裁の職に就いていること。 天皇がオリパラについて発言するべきでないとするなら、そもそも天皇をオリパラの名誉総裁の職に就任させることがおかしい。 天皇をオリパラの職に就任させているのだから、天皇がコロナ禍の下でのオリパラ開催を懸念しているとの意向を重く受け止める必要がある。 天皇の発言をどのように取り扱うかは憲法上の判断が必要になる。 天皇は政治上の権能を有さないことを踏まえることは必要だ。 その天皇をオリパラの名誉総裁の職に就けていること自体が天皇の政治利用にあたると言える。 政治利用しておきながら、コロナ禍の下でのオリパラ開催に懸念を示すと、その発言を無視するというのは究極の二重基準=ダブルスタンダードだ。 そもそも、天皇をオリパラの名誉総裁に就任させていることがおかしい。 他方、天皇がコロナ禍の下でのオリパラ開催強行に懸念を示すのは順当だ。 菅義偉氏は「国民の命と健康が最優先」と明言した。 国民の命と健康が最優先なら五輪開催強行という判断は生まれる余地がない。 五輪開催は5万人から8万人の外国人を入国させるスポーツ興行。 すでに入国者から複数のコロナ陽性者が確認されている。 水際でウイルスを遮断しなければならないところ、ウイルスを保持する外国人の入国を容認した。 菅内閣のコロナ水際ザル対応は見事というほかない。 ウガンダ選手団は今回のオリパラに伴う外国人入国の2ヵ国目。 この段階で複数のコロナ陽性者が確認されているのだから、今後の展開を容易に想定できる。 入国外国人から相次いでコロナ陽性者が確認されることになるだろう。 その際、確認されるコロナウイルスが変異株である可能性は高い。 世界各地のコロナ変異株が日本に持ち込まれる。 ウイルス有効性を引き下げる新しい変異株が確認されることもあるだろう。 2020年5月にピークを記録した日本の感染第4波はN501Y変異株による感染拡大であったと見られる。 第4波はピークを通過したが、感染再拡大が観測されている。 感染第5波の中核はL452R、E484Q変異株になる可能性が高い。 感染力が強い、重症化率が高い、ウイルス有効性が低い、との特徴を備えていると見られる。 ここにさらに新たな変異株が加わることになる。 新規陽性者数はすでに増加に転じた。 7月から10月にかけて、再び感染爆発の状況が生じる可能性を否定できない。 このような情勢であるから、国民の命と健康を最優先に位置付けるなら、東京オリパラの開催を断念するしかない。 天皇の意向は、こうした当たり前の判断を示すものであると言える。 菅義偉氏が五輪開催を強行しようとしている理由は「自分の利益」。 「国民の命と健康が最優先」と口で言いながら、実態は「自分の利益が最優先」なのだ。 決定的な矛盾。 算命学は不幸の原因が矛盾にあるとする。 菅義偉氏の決定的な矛盾が不幸を生み出す。 しかも、菅義偉氏は有観客開催をゴリ押ししようとしている。 五輪に1万人の集客を認めさせるため、まん延防止等重点措置でのイベント収容上限を1万人にした。 このこと自体に問題がある。 上限を少なくとも5000人にとどめておくべきだった。 単独で1万人の興行が行われるのと、30の会場でそれぞれ1万人の興行が行われるのとではまったく意味が異なる。 30箇所で開催すれば人流は30倍になる。 したがって、集客上限を定める場合には「五輪」というイベントの集客上限を定めるべきだ。 1日の「五輪」観客上限を1万人とするべきだ。 組織委は「利権の祭典」であることを背景に開会式入場者数を2万人弱に設定しようとしている。 菅義偉氏は「自分の利益」のために「国民の命と健康」を踏み台にして五輪開催を強行しようとし、組織委は「カネ」のために開会式に2万人弱の入場者受け入れを強行しようとしている。 これらの愚行で日本は最大危機に見舞われることになるだろう。 |
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