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宣言解除の矢先に激増リバウンド 20代感染爆発が五輪直撃
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290731
2021/06/18 日刊ゲンダイ
五輪を見据え、20日に解除と(会見する菅首相と分科会の尾身会長。東京・新宿、歌舞伎町を行き交う人たち=昨17日)/(C)共同通信社
過去の失敗から何も学びやしない。菅首相は17日、沖縄を除く9都道府県の緊急事態宣言を今月20日に解除すると発表。1カ月後の東京五輪を見据えた判断だが、都内の新規感染者数は既にリバウンドの兆しが見える。3月末の「早すぎた解除」よりも拙速すぎる解除で感染爆発の五輪直撃は必至。再拡大の中心となるのは20代の若者だ。
◇ ◇ ◇
「日本ではしっかり感染対策を講じることができるからであります」
17日の会見で、安全・安心な五輪開催を実現できる根拠を問われると、菅首相はそう強がった。しかし、足元の数字は感染再拡大の兆候を示している。
17日の都内の新規感染者は452人。2日連続で前週の同じ曜日を上回った。感染者数の1週間平均は前週の98.6%に達し、もはやリバウンドに転じたとみるのが妥当な状況だ。
ただでさえ、菅首相は第3波が収まらないうちに宣言解除を急ぎ、第4波を招いたのに、今回は輪をかけてなし崩し。2度目の宣言を全面解除した3月下旬に比べ、今の都内の感染状況はより深刻だ。2度目の宣言を解除した3月21日までの1週間平均が301人だったのに対し、17日までの直近1週間平均は386人に上る。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)がこう言う。
「2度目の宣言は、現在の感染者数よりも少ない状態で解除したのに、リバウンドを招いてしまった。今は当時より深刻な感染状況ですから、解除後は感染拡大に転じるのは明らか。政府は『五輪ありき』で何も反省していないのです。全国民の5割近くが2回のワクチン接種を終えた英国でさえ再び感染爆発に見舞われています。まして宣言解除と五輪開催で人流の増える“ワクチン後進国”なら、感染爆発を避けられるはずがありません」
このところ、目立つのは20代の感染増だ。都内の1日の新規感染者に占める20代の割合は2回目の宣言解除時の21.5%(3月16〜22日)から33.4%(6月8〜14日)に増加。17日の感染者のうち、20代は147人と断トツだった。
同日に開かれた都のモニタリング会議でも、専門家から「20代の新規感染者数はすでに増加し始めている」「リバウンドのリスクが高まっている」などと懸念の声が相次いだ。
小池都知事は「予断を許さない状況で、何としても(リバウンドを)防ぎたい」と意気込んだが、コトと次第によっては“女帝”の判断が若者の感染急増を後押ししかねない。
解放感が湧き、路上飲みも増えそう…(小池百合子都知事=左)/(C)日刊ゲンダイ
小池都知事の“酒類解禁”に注目 |
焦点となるのは「重点措置」への移行に伴い飲食店での酒類提供を“解禁”するかどうか。
具体的な検討案として午後8時までの時短営業を要請の上、@客数を1〜2人に限定A注文は午後5時から7時までB滞在時間は90分以内――との条件が報じられている。
17日の決定は先送りとなったが、18日にも解禁の判断に踏み切れば、宣言解除と相まって若者たちの“解放感”に拍車がかかるに違いない。
「重点措置に移行するといっても、感染拡大への防止効果がないことは、2月末の『早すぎる宣言解除』で3月末に感染が一気に拡大した大阪が証明済み。緩和によって人出がさらに増える上、活発に動き回る若い人のワクチン接種が後手に回っているため、東京も大阪と同じ轍を踏むでしょう。感染力の強いインド株は若年層にクラスターを引き起こしていることを考慮すると、20代の感染爆発が1カ月後に五輪を直撃することも十分考えられます」(中原英臣氏)
今後の感染状況について、京大などの研究グループがインド株の影響が小さくとも、五輪期間中には再宣言に至るとの試算を出したばかり。五輪の開幕まで残り35日。早すぎた宣言解除の答えは、あと1カ月で分かる。
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