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14日隔離は嘘! 五輪組織委が海外メディアに「隔離0日」になる“抜け穴”例文をおしらせ! すでにロイターと新華社がコピペで申請
https://lite-ra.com/2021/06/post-5921.html
2021.06.16 組織委が五輪取材の海外メディアに「隔離0日」になる“抜け穴”例文を提示! リテラ
丸川珠代公式サイトより
なし崩しにも程がある。20日にも東京都などに発出されている緊急事態宣言を解除すると見られている菅義偉首相。しかも、政府はイベント開催要件について「観客上限数は最大1万人」などという方針を打ち出した(緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がつづいた場合は「最大5000人」)。
こうした基準を東京五輪にも適用して有観客開催を強行するのは必至だが、一方、本日おこなわれた厚労省新型コロナ対策アドバイザリーボードの会合では、インドで見つかった変異株(デルタ株)の影響が非常に大きくなった場合、〈早ければ7月前半から中旬にかけて再び緊急事態宣言が必要な状況になる懸念がある〉と指摘(日本経済新聞16日付)。このように中止が検討されるべき状況であるにもかかわらず、それをすっ飛ばして是が非でも観客を入れて開催しようとは……。
だが、懸念が高まっているのは観客の問題だけではない。約8万人にもおよぶ東京五輪のために海外から来日する選手や関係者、報道陣らへの対応でも、信じられないようなザルぶりが明らかになっているからだ。
問題が発覚したのは、6月9日におこなわれた衆院文科委員会でのこと。立憲民主党の斉木武志衆院議員は、東京五輪組織委員会が世界に向けてメールなどで発送した「本邦活動計画書(Activity Plan)」を入手したとし、これをもとに質疑。この「本邦活動計画書」は、選手や大会関係者、マスコミ関係者が来日する4週間前までに必要事項を記入した上で提出を求めているもので、そのなかに隔離期間についての記載もある。
政府は「正当な理由がないかぎり14日間隔離が原則」だとしているが、実際には「14日間隔離」「3日間隔離」「到着の翌日から活動する」の3つの選択肢を用意。つまり、正当な理由があれば隔離期間なしの「0日隔離」も可能になっている。
そして、この「本邦活動計画書」には「活動計画の作成方法」というマニュアルが添えられており、「留意点」という項目では〈隔離のパターンで「3.到着の翌日から活動する」を選択した場合、なぜ3日間の隔離を行えないのか、明確に理由を記入する必要があります。例として下記を参照してください〉と記述。2つ用意された例文のひとつは、以下の通りだ。
〈到着後すぐに競技運営に携わる予定となっている。入国後すぐに活動を始める必要があり、不在の場合、運営に重大な支障をきたす。〉
(The person will be in operation for a competition just before the departure. It is essential for the person to start his/her activities right after entering Japan since his/her absence of the activity affects an operation severely.)
英文バージョンの1文目はそのまま訳すと「出発直前に競技運営に携わる予定」になってしまい誤記なのか意味が取りづらいが、いずれにしてもこれでは組織委が「こう書けばゼロ日隔離でもOK」という回答例を明示しているようなものではないか。
■丸川珠代「コピペはない」は嘘! 新華社とロイターが例文コピペで「0日隔離」申請
しかも、この組織委が送った“抜け穴”アドバイス例文をめぐって、丸川珠代五輪担当相が真っ赤な嘘をついていたことも明らかになった。
前出の斉木議員は、「この例文のようなものが送られてきた場合に、これで良しとして入国を認めるつもりでしょうか」と質問。すると、丸川五輪担当相はこう答えたのだ。
「さすがにこれをそのままコピペするような、この例示のような具体性のないものはまったく認めておりません。もしこのままきたら、当然はじきます」
「実際にはこういうものが、コピペされたものが出回っているという実態はありません」
しかし、12日放送の『報道特集』(TBS)の取材に応じた斉木議員によると、丸川五輪担当相の答弁を聞いた組織委の職員が「丸川さんは何もわかっていない」とし、斉木議員へある文書を送ってきたという。海外メディア2社が組織委に提出した「本邦活動計画書」だ。
そして、その2社が提出した「本邦活動計画書」を見ると、「到着当日から活動する」ことを選択し(3番目の選択肢はなぜか「到着翌日」でなく「到着当日」になっている)、その理由を記入する欄には、前述した誤記と思しき部分も含め例文と一字一句変わらない、つまり「コピペ回答」が記入されていたのだ。
ちなみに斉木議員のツイートによると、この海外メディア2社とは大手通信社であるイギリスのロイター通信と中国の新華社。報道機関なのに隔離を逃れる理由として「到着後すぐに競技運営に携わる予定」「不在の場合、運営に重大な支障をきたす」と挙げている時点で滅茶苦茶なのだが、しかし、それもこれも組織委がコピペを推奨するような例文をわざわざ載せたせいだ。
いや、というよりも、組織委も政府も、東京五輪を目的とした入国者に対する厳格な感染防止対策や管理など、ハナからおこなう気などないのではないか。
実際、9日の衆院文科委員会でおこなわれた斉木議員の質疑によると、東京五輪のテストイベントなどに参加するため4・5月に入国した海外の選手や関係者らは2003人にのぼったが、「0日隔離」で入国した人数は、なんと1105人。全体の55%が隔離期間0日で入国していたのだ。しかも、この「0日隔離」でスリランカから入国したパラアスリート介助者の女性は、入国4日目にコロナ陽性であることが判明したという。
■ホテルは隔離なしで受け入れ、しかも組織委が「4日目以降は従業員が部屋の清掃に」と指示
ザルぶりを裏付ける話はまだある。NHKの報道によると、海外メディア関係者の宿泊先のひとつとなっている東京・日本橋のホテルでは当然ながら「14日間隔離」を終えた人を受け入れるのだとばかり考えていたが、最近になって説明に訪れた組織委の担当者はこんな説明をおこなったというのだ。
「3日間は基本的にホテルの部屋で待機し、4日目以降もホテルと競技会場など認められた場所の往復のみで、14日間が過ぎると自由に行動できるようになる」
「4日目以降はホテルの従業員などが部屋の清掃に入ってほしい」
このケースが「3日間隔離」への対応なのか、それともこの対応で「14日間隔離」としようとしているのかはわからないが(もしこれで「14日間隔離」と言うのなら大問題だ)、ホテル側は「入国後14日間の隔離は別の場所で行われると考えていて、来日直後から宿泊を受け入れるとは思っていなかった」といい、組織委のこの説明には従業員からも不安の声があがっているという。当然だろう、こんな対応では受け入れた海外メディア関係者がコロナに感染していた場合、ホテルの従業員も感染リスクに晒されることになる。組織委も政府も、一体何を考えているのだろう。
このように、「安全安心の大会」「感染防止対策に万全を尽くす」という菅首相の言葉がいかに嘘っぱちであるかは、開催前からすでに明らかだ。にもかかわらず、菅首相の強引な強行開催論を前に、国民のあいだでは「どうせやるんでしょ」という諦めからの五輪開催容認論が広がりつつある。だが、こんな穴だらけの対策しかとれない政府や組織委の言うままに東京五輪が実施され、感染拡大が起こったとき、命の危険に晒されるのはわたしたち市民なのだ。そのことをゆめゆめ忘れてはいけないだろう。
(水井多賀子)
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