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来日8万人を管理できるのか? 検査もなく、行動制限も緩い それでもやるのか?東京五輪最終攻防
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/290187
2021/06/08 日刊ゲンダイ
検査もなく、行動制限も緩い(C)共同通信社
東京2020オリンピック・パラリンピック大会は、選手だけでなく、大会関係者やボランティアの新型コロナウイルス感染対策も不十分だ。
選手の隔離と検査を徹底する「バブル方式」が形骸化していることは既に述べた。群馬県太田市での事前合宿のため1日に訪日した豪ソフトボール選手と接遇する地元関係者は毎日、PCR検査を行うが、これは例外だ。
そして、計20万人に迫る大会関係者やボランティアには、形骸化した「バブル方式」すらない。
大会組織委員会は先月26日、国際オリンピック委員会(IOC)や国際パラリンピック委員会(IPC)、国際競技団体(IF)、各国内オリンピック委員会(NOC)、スポンサー、報道、放送など、大会関係者の来日者数が約7万8000人になると公表した。それまで明らかにしていなかった当初予定約18万人からの“半減”をアピールしてみせた。
だが、大会関係者8万人弱は選手ほどの検査はなく、行動制限も緩い。政府や組織委は大会関係者の行動を監視し、菅義偉首相は「悪質な違反者については国外退去を求めたい」と言うが実効性に欠ける。
組織委が昨年公表した大会警備人員は約5万人。内訳は、警察官2万1000人、民間の警備員1万4000人、ボランティア9000人だ。観客受け入れの有無で人数は増減するとはいえ、多くは競技場や周辺の雑踏警備やテロ対策に割かれる。警備人員を上回る大会関係者8万人弱の監視は不可能だ。
政府が訪日外国人管理の切り札としていた新型アプリは、入国査証や位置情報の確認機能を省くことになったため、役に立たない。
大会関係者の中には、各国の首脳や王族らが含まれる「オリンピックファミリー」と呼ばれる重要人物(VIP)もいる。警護者付きで外出するVIPを国外追放できるだろうか。
また、報道関係者は約7000人、大会中継の中核を担うIOCの関連組織オリンピック放送機構(OBS)は2万人余りにのぼる。
22年冬季北京大会を控える中国は3000人の報道関係者派遣を表明し、既に機材を日本に送り込んだ。大会開催を前に準備のために訪日する彼らの行動を規制しようもない。
もとより日本は民主主義国家であり、中国と異なり、報道の自由を政府が自在に制限できる国柄ではない。組織委や都のボランティアは選手と接する2万人足らずのみワクチン接種し、残りは放置だ。武藤敏郎事務総長は2日、ボランティア1万人の辞退を発表。感染対策を不安視した辞退者の続出は当然といえ、大会の安全性は足元から崩れている。(つづく)
後藤逸郎 ジャーナリスト
1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。
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