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尾身会長“五輪開催普通ない”で反撃 再反乱に慌てる菅首相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/290032
2021/06/03 日刊ゲンダイ
何が何でも五輪開催強行、自身のアドバイザー集団切り捨てに(菅首相と分科会の尾身会長)/(C)JMPA
政府分科会の“反乱”再びか――。
何が何でも東京五輪開催で突っ走る菅首相が、新型コロナ対策における自らのアドバイザー集団の切り捨てに走っている。1日の参院厚労委員会で野党から五輪開催の可否について分科会に諮問すべきとただされると、菅首相は「東京都と大会組織委員会などとの調整会議に感染症の専門家2人が参加し意見を伺っている」と答弁。分科会に諮問せず、“外す”考えを示唆したのだ。先月14日に、やりたくなかった緊急事態宣言の地域拡大を押し切られたことが、よほど腹に据えかねたのか。
「このパンデミックで普通は開催はない」 |
しかし、分科会の尾身会長はすぐに反撃に出た。2日、参考人として呼ばれた参院内閣委員会や参院厚労委で持論を大展開。
東京五輪について「今の状況で普通は(開催は)ない。このパンデミックで」と言い放ち、「そういう状況でやるなら、主催者の責任として開催規模をできるだけ小さくして、管理体制を強化するのが義務だ」と苦言を呈した。さらには「そもそも五輪を、こういう状況の中で何のためにやるのか。それがないと一般の人は協力しようとしない」「(専門家としての評価を)何らかの形で伝えるのがプロフェッショナルの責務だ」とまで言ってのけた。
この発言が報じられると、ツイッターで「尾身会長」がトレンド入り。<1万回いいねを押したい。まさに専門家の鏡たる発言><専門家は100人中100人がそう言っていたが、尾身までもが><尾身さん、責任問題になった時のために備えているようだな>などのコメントで一時沸いた。
「今の状況で普通は(開催は)ない。このパンデミックで」(答弁する尾身会長=参院厚生労働委)/(C)日刊ゲンダイ
警鐘鳴らしメンツを立てたい分科会
一部報道によれば、分科会の有志が、五輪開催のリスク評価をまとめた上で公表することを検討しているという。分科会メンバーのうち、感染症や経済の専門家の多くは、「ステージ4での開催は困難」との意見で一致。ステージ3でも、期間中か終了後に感染拡大する恐れがあると評価し、開催するとしても無観客や規模縮小の工夫が必要との認識だという。まさに、参院での尾身発言と重なる。
世論のムード盛り上げを狙う菅首相とスポンサーの意向を最優先する大会組織委のことだから、「完全な形」に近い有観客を強行しかねない。分科会の専門家としては、警鐘を鳴らした形でメンツを立てたい思惑もあるのだろう。
「菅首相は五輪を止める気はなく、官邸も結論ありきで動いている。開催が縛られるようなことは聞きたくないので分科会に諮問しない。一方で尾身さんは、これまでは政府や厚労省に気を使ってきたものの、五輪についてはどうあがいても止められそうにないため、ならば学者としての筋を通した方が得策と考えたのでしょう。万が一、開催によって感染が拡大した時の責任回避という尾身さんなりの危機管理もある」(ジャーナリスト・山田惠資氏)
尾身氏の反撃に慌てた菅首相は2日夜、官邸ホールで報道陣のぶら下がり取材に応じ、この感染状況でも五輪を開催する意義について、こう答えた。
「五輪はまさに平和の祭典だ。一流のアスリートが東京に集まり、スポーツの力を世界に発信していく」
これで納得する一般の人がどれだけいるだろうか?
6割が「五輪中止」の世論は、菅首相より分科会にエールを送るだろう。それでも菅首相は自爆するのか。
「なぜやるのか説明を…」尾身会長が五輪開催に懸念
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ce10e913d47ce95d139a6b85ec50fc8128caadf
6/2(水) 23:30 ANN
東京オリンピックの開会式まで50日。1日に来日したオーストラリアのソフトボール代表は、毎日、PCR検査を受け、5日から練習を始めるということです。
エレン・ロバーツ選手:「オリンピックは私の人生の全てをかけた夢。オリンピックへの準備もそうだが、安全のためにできる限りのことをしたいと思っている。オリンピックはとても大事なことだけど、日本人の健康はもっと大切なもの」
東京オリンピックの開幕が迫るなか、政府の分科会の尾身会長は、衆議院厚生労働委員会に出席し、懸念を示しました。
新型コロナ分科会・尾身会長:「今の状況でやるというのは、普通はない、このパンデミック(世界的大流行)で。その状況のなかでやるということであれば、開催の規模をできるだけ小さくして、管理の体制をできるだけ強化するのは、私は五輪を主催する人の義務だと」
共産党・宮本議員:「やること自体が結局“第5波”を大きくしてしまう危険性があると思うが、どうか」
新型コロナ分科会・尾身会長:「そもそも今回のオリンピック、こういう状況の中で、一体、何のためにやるのか。目的。そういうことが明らかになってないので、このことを私はしっかりと、はっきりと明言することが、人々の協力を得られるかどうか非常に重要な観点だと思う。なぜやるのか。あるいは五輪委員会の人が、どれだけ汗をかくのか。そういうことが明確になって、初めて、一般の市民は“それならこの特別な状況を乗り越えよう”と。協力しようという気になると思うが、はっきりした、国なのか、オリンピック委員会が“なぜやりたいのか”。これは誰が決めるのかわからないが、関係者が、しっかりとしたビジョンと理由を述べることが、私は極めて重要だと思う」
また、別の委員会では、こう述べました。
新型コロナ分科会・尾身会長:「オリンピック開催にかかわらず、緊急事態宣言を出す『ステージ4』というレベル、これはなるべく避けるように、国、自治体、一般市民も努力する必要がある。地域の感染をどれだけ最小化するか、最大限の努力をするというのは、オーガナイザー(主催者)の当然の責任だと思う」
1日に小池知事が、代々木公園の会場をワクチンの大規模接種会場へ転用するとし、話題となったパブリックビューイングについて、こう述べました。
新型コロナ分科会・尾身会長:「スタジアムの中での感染のリスクより、地域コミュニティ、東京だけではなく、全国、この方がはるかに(感染リスクが)大きいというのが、私どもの専門家の考え。パブリックビューイングでは、当然、応援で声を上げて喜びを表すということもあるだろうし、みんなで一杯飲もうということもあり得る。場所はどこであろうが、わざわざリスクを高めることをやるのが、なかなか一般市民には理解できにくいというのが、我々、専門家の考え」
尾身会長の一連の発言を受け、厚生労働省の専門家会議・アドバイザリーボードでは、初めてオリンピックについて具体的な議論がされました。
厚労省アドバイザリーボード・脇田座長:「大きなイベントが行われることによって、国内の感染状況にどういう影響があるかということに関しては、しっかりリスク評価がされるべきであって、我々がやるかどうか、アドバイザリーボードがやるかということではなくて、オリンピックが国内の感染状況に与えるリスクに関する評価は、しっかりするべきという意見はあったし、私自身もそう思っている」
大会組織委員会は、約8万人の大会ボランティアのうち、これまでに約1万人が辞退したと明らかにしました。小池知事は2日の都議会で、オリンピック開催に向け、こう説明しました。
小池知事:「観客数にかかる判断は今月中に国内のスポーツイベント等における上限基準に準じることを基本に決定することとする。引き続き、総力を挙げ、感染の再拡大を防ぎ、徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力に取り組むとともに、関係機関と連携・協力して安全安心な大会の開催に向け、着実に準備を進めていく。2020大会に向けた、さまざまなレガシーを発展させて、サスティナブル・リカバリー(持続可能な回復)を実現する」
また、小池知事は、築地以外の新たな大規模接種会場を検討するとしました。
小池知事:「ワクチン接種を、いかにスピード感を持って広げていくか。全体の免疫を確保する。その道に進んでいく。プラスになるような大規模接種会場、区市町村と連携が必要になるので、都としても後押していく。都が主体的に行うことを考えている。走りながら考えるところもあるが、スピード感を持って、確実にワクチン接種を進めることに他ならない」
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