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政権は国際的な威信のためにオリンピックを開催したい
スウェーデン名門大の学者「世論を気にしない自民党政権にはオリンピックを止める理由がない」
https://courrier.jp/news/archives/247420/
2021.5.29 クーリエ・ジャポン
都庁に掲げられたオリンピックのバナー Photo: Cezary Kowalski / SOPA Images /LightRocket / Getty Images
カンバセーション
Text by Paul O'Shea
オリンピックの中止や延期を求める国民の声が止まない。一方、今年は総選挙が控えているにもかかわらず、政権は開催に向けて突き進んでいる。それには、自民党は世論をそれほど気にせずとも選挙に勝ててしまうからくりがあると、スウェーデン・ルンド大学の日本研究者は分析する。
オリンピック開催に断固として反対する世論
日本が新型コロナウイルス感染の第4波に見舞われているなか、夏季オリンピック・パラリンピックに対する国内の反発が高まっている。2つの世論調査によると、6割から8割の人がオリンピックの中止または延期を望んでいるとのことだ。非常に多くの記事が、「オリンピックはキャンセルされるのだろうか」というテーマについて議論している。
東京オリンピックが本来開催される予定だった昨年もこんな調子だった。オリンピックが開催されないという噂や情報は春からずっと流れていた。国際オリンピック委員会(IOC)と菅義偉首相率いる日本政府は、その度に噂を否定してきた。
最新の世論調査は、国民が夏季オリンピックの開催に断固として反対する姿勢を最も鮮明に示している。今年は、安倍晋三から首相職を譲り受けた菅首相が就任してから初めての総選挙の年であり、この世論調査が首相と与党である自民党にとって悪いニュースであることは間違いない。
しかし、仮に私がオリンピック選手だったら(絶対にそうではないが)、まだトレーニングをやめることは絶対にないだろう。なぜなら、大会を中止するか続行するかの判断は、感染率という単純な問題ではないからだ。むしろ、政治と金、つまり莫大な資金の問題である。
そもそも自民党は世論をあまり気にしていない
日本は現在、新型コロナ第4波の最中にあり、複数の地域に非常事態が出されているが、全国的な新規感染者数は減少している。
欧米から見れば、日本は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることに成功した。隣国の韓国や台湾と同様、日本もウイルスが空気感染することを早くから認識していたのだ。すぐに広くマスクが着用されるようになり、積極的に接触者を追跡し、早期に高齢者施設を閉鎖したことで、日本の死者数は1万1900人と比較的低く抑えられたと言われている。
しかし、隣国の台湾や韓国と比較すると、日本のパフォーマンスはそれほど優れたものではない。日本政府は、第3波の最中に国内観光を奨励したことが広く批判された。さらに、日本のワクチン展開はOECD諸国の中で最も遅い。そして現在、世論調査では五輪への反対意見が明らかに多数を占めている。
しかし、ここで疑問に思うのは、世論が本当に重要なのかということだ。
日本は投票率が極めて低い国だ。選挙制度の特殊性もあり、自民党は政権を維持するのに有権者の過半数に近い数字を獲得する必要がない。前回の総選挙では、わずか25%の有権者しか自民党に投票しなかったにもかかわらず、自民党は60%の議席を獲得した。
つまり、世論は重要だが、決定的なものではないということだ。一部の野党リーダーはオリンピックに反対しているが、全体的に野党は弱く、分裂している。自民党は過去65年間のうち61年間政権を維持しており、国内の主要な問題について世論を無視しても再選を果たしてきた長い歴史がある。
オリンピックの目的は国際的な威信
菅首相の視点では、国内の世論というのは複雑な方程式の中の1つの要素に過ぎない。IOCとの契約上の義務や国際的な威信などの要素があり、おそらく一番重視しているのは威信だろう。ほとんどのオリンピックが赤字であることを考えると、どんなに楽な時期でもオリンピックを開催するのは結局それが目的だろう。
1964年の東京オリンピックは、日本が戦後疎外されていた状態から脱し、国際社会に復帰したことを示すものであった。一方、2008年の北京オリンピックは、中国が大国の仲間入りを果たした記念すべき大会であり、韓国の2018年冬季オリンピックは、南北双方が統一された旗の下で初めて一緒に行進し、象徴的な成功を収めた。2020年夏季オリンピック(現在は2021年大会)では、同様に、再生した新しい日本の姿を見せるはずだった。
北京では2022年に冬季オリンピックが開催される。この大会は初の「グリーン」オリンピックとして注目されており、北京は冬季と夏季の両方の大会を開催した唯一の都市となる。しかし、米国下院議長のナンシー・ペロシがボイコットを呼びかけたことで、この大会自体が論争の的となっている。
地政学的な緊張と対立に満ちたこの地域では、少なくとも指導者にとっては、このような国際的な威信が重要なのだ。
オリンピック中止の財政的コストの大きさ
ここまで、東京だけが決定権を持っているかのように、日本の視点から政治と名誉について説明してきた。しかし、法的には、オリンピックは東京が中止できるものではない。大会の権利を所有するのはIOCであり、日本側は契約上、オリンピックを開催する義務がある。
契約を終わりにできるのは東京ではなく、IOCだけだ。IOCは大会に収入を依存しており、トーマス・バッハ会長は、第4波にかかわらず大会を開催することを明確にしている。最近、選手へのワクチン提供に関する覚書をファイザーと交わしたのも、東京都ではなくIOCだった。
日本側が契約を破棄して一方的に大会を中止することは可能だが、そのコストは膨大なものになるだろう。仮にIOCの支援を受けて中止したとしても、日本政府はオリンピックに莫大な資金を投入しており、その多くは回収不能になっている。
縮小されてもリスクのなくならないオリンピック
では仮に開催されるとしたら、どのような大会になるのだろうか。選手のほとんどは予防接種を受けているだろうが、同行する関係者は受けていないかもしれない。観客がいるとすれば国内の観客で、距離を開けるための厳しいルールが敷かれるだろう。選手たちには、日本社会と交流することを防ぐための多くの制限が課されると伝えられている。
しかし、世界中から何千人もの選手が集まり、未知の新しい異変株を持ち込む可能性がある状態で、全員が最善の行動を取ったとしても、大会には大きなリスクが伴う。
菅首相は、夏季大会の成功に自らのリーダーシップを賭けている。大規模な感染者を出さずに大会を成功させることは、10月の総選挙で自民党を勝利に導くだけでなく、菅首相が指揮を執り続けることを確実にする。しかし大会が失敗すれば、菅は銅メダルではなく、おそらく最下位の人に渡される木のスプーンを得て追い出されるだろう。
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