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IOCは人命無視の“ぼったくり集団” 五輪に固執はカネのため 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/289727
2021/05/28 日刊ゲンダイ
もはや東京五輪を開催すべき理由はほとんどない(菅首相)/(C)共同通信社
世界中で新型コロナウイルスが蔓延している。日本はコロナ感染で、東京や大阪など10都道府県に緊急事態宣言が発令されている。世界でも、米国、イスラエルなど、ワクチン接種が進んだ国は沈静化が見られるものの、東南アジアでは再び感染拡大の傾向が見られるなど決して収まった状況ではない。
にもかかわらず、IOC(国際オリンピック委員会)は7月23日からの東京五輪開催の姿勢を崩していない。
コロナウイルスは世界各地で異なった異種株が発生している。従来よりも感染力が強く、病状も深刻化させる変異株もある。仮に東京五輪を開催すれば、これらさまざまな種類の異種株が日本国内に広がり、世界に蔓延させる可能性があるだろう。
そもそも五輪をなぜ、今夏に開催しなければならないのか。
日本国内では五輪で景気刺激をしたいという考え方があったが、外国人は無観客の方針が固まったため、この考えは消えた。
ロイター通信は5月中旬に実施した企業調査で、五輪に対して「中止」が37%だったのに対し、「再延期」32%、「開催」30%だったと報じた。毎日新聞の世論調査でも「中止」は40%、「再延期」は23%。つまり、6割以上が今夏の五輪開催に反対している。
もはや、東京五輪を開催すべき理由はほとんどない。しかし、IOCは開催の方針を崩していない。しかも、その開催理由や、開催ありきの幹部発言はあまりにも乱暴だ。
例えば、コーツIOC副会長は、「緊急事態宣言下でも東京五輪を開催」「宣言下でもテスト大会が成功している」と述べていたが、テスト大会は外国人参加者が限られ、参加国も少ない。つまり、五輪の安全性を何ら証明したものではないのは言うまでもない。
驚くのはバッハ会長の「誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」と発言したことだ。この「犠牲」というのは、感染拡大で死者を出すだけでなく、さらなる経済の後退を余儀なくさせる事態を意味すると言っていい。
IOCはなぜ、五輪開催に固執するのだろうか。ワシントン・ポスト紙はコラムで、IOCが開催にこだわる主要因は「金」だと指摘し、バッハ会長を「ぼったくり男爵」と称した。ニューヨーク・タイムズ紙は「五輪をゴリ押しする理由は3つ。カネ、カネ、そしてカネだ」という論評を報じた。日本はぼったくり集団のIOCの影響から脱する必要がある。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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