大丈夫 総理大臣は リコールされない !! ということで 日本の総理大臣は 大統領よりも 堅牢にまもられています。
権限を 制限するという意味で 大統領制度の方が良いと思います。 改憲するなら そこでしょ!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ところで日本の首相は「弾劾」できるのか 坂東太郎 | 日本ニュース時事能力検定協会認定講師 2019/12/19(木) 11:00 https://news.yahoo.co.jp/byline/tarobando/20191219-00155464/
ツイート シェア ブックマーク 不信任決議案採決の様子(写真:つのだよしお/アフロ) アメリカのトランプ大統領弾劾(=解任)が話題となっています。ところで日本の首相は解任できるでしょうか。 ここでは現職が辞める意思がないのに合法的に任を解けるのかという意味で考察します。死亡は除外します。でないと「暗殺すればできる」といった極論が(非合法ですけど)成立しかねないので。 なおお断りしておきたいのは本稿は安倍晋三現首相個人を云々する気は毛頭ないという点です。あくまでも日本国憲法下で首相の地位にあるものを本人の意図に反してクビにできるのかというテーマなのでご理解下さい。 首相に任期はない 首相の任期は米大統領(4年)のように定めがありません。理論上未来永劫続けられます。もっとも首相を最終的に決める衆議院議員には4年の任期があり、満了すれば絶対総選挙(議員全員を選び直す)なります。選挙結果の如何に関わらず内閣はいったん総辞職して国会の首相指名選挙が行われるので、実質的な任期は4年でしょう。 ただし現憲法下で明確な任期満了総選挙がおこなわれたのは1度だけ。後は憲法69条(後述)および7条に基づく解散を首相が選択して選挙が実施されていて大半が7条解散です。 7条解散は国会が開いている時には首相がその気になれば即日できます。閉会中でも臨時国会を召集して(召集権は首相にもある)冒頭で解散すればいいだけの話です。では首相が解散したくなる理由は何かというと第一に考えられるのは「今打って出れば与党(首相の味方)が勝てる」というタイミングと判断したから、でしょう。でなければ自分を首相に選んでくれた現衆議院議員を失職させる行為に等しい解散などしません。 要するに有利な状況で解散権を首相は行使できます。むろん選挙だけはやってみないとわからないので思惑が外れる場合もありましょう。しかし予定通り与党勝利に終われば任期はここから数えて4年なので上記の「実質的な任期」を延ばせます。むろんいったん総辞職はするものの、与党多数の新議席で「勝たせてくれた首相」を再び選ぶ蓋然性は非常に高くなります。 天皇は解散にNOといえない ところで7条は「天皇は、内閣の助言と承認により」行う国事行為を定めていて、うち1つが「衆議院を解散する」です。 主語は「天皇」です。では天皇が「助言と承認」(内閣が解散したいといってきた)にNOといえるかというと3条で「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要と」するとあり、4条にも「国政に関する権能を有しない」と規定されているためYESしか回答はあり得ません。となると実質的な主語は「内閣」となります。 では内閣とは何でしょうか。66条で「首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」とあり、68条1項で「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する」と定められます。国務大臣の選任に国会の同意は要りません。したがって首相は自身の賛同者のみで「内閣」を構成できますから内閣の意思とはほぼ首相の意思なのです。 やろうと思えば全大臣職を兼務できる もっとも任命時はそうでも、今解散するのはおかしいと反発する国務大臣が出てくる可能性はあります。内閣の決定は全員一致が原則なので「解散反対」の大臣を抱えて「内閣の助言と承認」はできません。この原則は解散に限らずあらゆる状態で守らなければなりません。 ここで憲法68条2項「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」が効力を発揮します。首相がどうしても解散したければ反対大臣を罷免(クビ)して賛成派にすげ替えるか、その任を首相と兼務してしまえば不一致は生じません。首相以外の全大臣が反対しても話は同じ。全員クビにして「1人内閣」を作れるのです。肩書きは一瞬、 首相兼総務大臣兼法務大臣外務大臣兼財務大臣兼文部科学大臣兼厚生労働大臣兼農林水産大臣兼経済産業大臣兼国土交通大臣兼環境大臣兼防衛大臣兼国家公安委員長兼官房長官など となりましょう。憲法は国務大臣の「過半数は、国会議員の中から」と定めるも首相自身は67条で「国会議員の中から」と国会で指名されているので「1人内閣」の国会議員率は100%となり問題なし。つまり首相が解散の信念を変えなければ誰がどうしても阻めないのです。 他の法案提出などでも同じ。内閣不一致は最後は兼務という必殺技でかわせるのです。 7条解散の違憲性を司法は判断せず でもかなりややこしい過程ですよね。現に7条解散は憲法があまり想定していない違憲行為ではないかとの異論も前からあります。ここで頼るのは「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所」(81条)である最高裁判所です。しかし最高裁は1960年6月8日「衆議院解散の効力は、訴訟の前提問題としても、裁判所の審査権限の外にある」と判断を避けたまま。 というわけで7条解散はできてしまうのです。 不信任決議でも辞職ではなく解散を選べる 次に69条解散です。「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」という内容。不信任決議案が可決されたら首相は解散か総選挙を選択するという決まりなのです。憲法の「内閣」がほぼ首相と考えていい理由は前項目と同じ。 不信任決議案は計51人以上の賛同者がいれば議長に提出でき、必ず採決されます。ほとんどが野党(首相の味方以外)提出。野党が野党でいるのは首相が出せないからで、その最大の理由は過半数を握っていない、です。決議案の可否は過半数なのでほとんどのケースで与党が葬り去ってしまいます。 しかし何らかの理由で野党がその時点で優勢だったり、与党内が分裂するなどして可決されてしまった事例が過去にもあります。ただそれでさえ首相は解散を選択できるので「不信任決議=総辞職」とはなりません。 孤立無援になってもメンタルさえ強ければ 今度は現職首相が与野党から完全に浮いてしまって「あの人ではもうダメだ」と見放されるという超孤立無援状態になったらどうでしょうか。それでも首相職は国会の指名なので辞めさせられません。どうしてもとなれば憲法69条の衆議院内閣不信任決議をするしかないのですが解散を選ばれたらただちに辞めさせられないのは前述の通り。 ここまでいかなくとも野党から徹底的につるし上げられたり、与党内から「今の首相で次の選挙は戦えない」「持たない」などの声が吹いたりして辞任した首相は大勢います。ただこれはメンタルの問題で「オレ(今のところ女性の首相はいないので)は1人になってもしがみつくぞ」と執着したら直ちに解任する手段はないのです。 党のトップを外されても国会指名とは別 1955年以来、ほとんどの時期を最大与党であり続けた自民党には任期を定めた総裁(トップ)選挙があります。現在の規定は「3年。3選まで」。ここで現首相以外の人物を総裁へ選出するのは可能で、言い換えると党のトップからは引きずり降ろせます。やりたければ党から追い出せもしましょう。 それでも党首でなくなった首相が「それとこれとは話が別だ」と居座ったらやっぱり直ちにやめさせる方法はありません。首相を決めるのはあくまでも国会ですから。 首相は在任中裁判にかけられない 逮捕されるなど犯罪容疑が首相にかかったらどうでしょうか。ここで憲法75条は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない」の定めが焦点となるのです。 「訴追」に逮捕を含むのかどうかについては議論があります。1948年、昭和電工事件という大がかりな贈収賄事件が発生し、現職の栗栖(くるす)赳夫経済安定本部総務長官(国務大臣)が首相の同意なしに逮捕されました。裁判所が「訴追」に逮捕は関わらないと判断したからです。この出来事から「訴追」は「起訴」(裁判にかける)を意味するという解釈が有力となりました。逮捕から送検までは可能です。 ただこれとて「国務大臣」の規定で首相の同意がなければ訴追できないならば首相自身はもっとできないでしょう。この点については「首相は国務大臣に含まれるか」「首相が『私は私の訴追に同意する』としたらどうか」「起訴権をほぼ独占する検察ではなく検察審査会が2度『起訴相当』としたら強制起訴できるか」など議論は存在しますが、現実的に考えて不可能です。 また首相が任命する法務大臣は「捜査中止」などの指揮権を検事総長へ発動できます。法務大臣が嫌がったら罷免して首相が兼任すればできてしまうのです。 確定判決と除名 首相は国会議員でなければいけません。選挙を経ず、本人の意思に反して国会議員を辞めさせる方法があるならば首相職も続けられないはずです。 失職させられる要件は大きく2つ。1つは実刑判決(一部の事案は執行猶予付きでも)が確定して被選挙権を失った場合。ただ先に述べたように現職首相は起訴できないので判決も出ません。万々一起訴できたとしても判決が確定するまで「推定無罪」の原則によって議員は続けられるのです。前例もあります。 もう1つは除名。憲法58条が「院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」「議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする」と定められているのが根拠となるのです。除名は一番重い懲罰で失職します。現憲法下では1950年と51年で計2人の該当者がいるのです。 ただ「院内の秩序をみだした」とは国会へ理由もなく長期欠席するとか、議長や委員長の制止などにしたがわないといった理由が主で該当する首相が出てくるとは思いにくいのです。そもそも首相は国会議員ではあるものの同時に行政府の長として国会では議員の質問に応じたり行政府からの説明をしたりと招かれる側なので除名はふさわしくありません。 しかも国会には旧憲法下とはいえ斎藤隆夫衆議院議員を除名した苦い経験があります。除名理由の「反軍演説」が軍の怒りを買ったのです。その演説は現代では高い評価を受けていると同時に軍に国会(当時は帝国議会)が屈した苦い思い出でもあります。 よって嫌がる首相を早急に罷免する手法は除名しかなく、それも限りなく不可能なのです。換言すればさほどに首相職というのは重い責務を課されているともみなされましょう。
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