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子どもの命より五輪 萩生田大臣“運動会強行”発言は正気か
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289409
2021/05/21 日刊ゲンダイ
行事より健康だろう(萩生田文科相)/(C)日刊ゲンダイ
子どもの命より五輪開催――。緊急事態宣言が発令されている地域の小中学校の運動会を巡る萩生田文科相の発言が保護者から大ひんしゅくを買っている。変異株が猛威を振るう中の運動会は、豪雨の川に遊びに行くようなもの。専門家は科学的な判断ができていないと指摘する。
◇ ◇ ◇
18日の会見で萩生田氏は運動会について「直ちに中止するのではなく、工夫してやる可能性を模索してほしい」と語った。
子どもにも感染する変異株が広がり、最近は小中学校のクラスターが多発。保護者は不安いっぱいで子どもを登校させている。学校の感染を警戒し自主休校する子どもも少なくない。
西村経済再生相も「屋外でマスクを着けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる」と警戒している。そんな中、運動会強行とは正気の沙汰と思えない。
ネット上では〈親がどんなに不安で子どもを見送るか萩生田大臣は知っていますか? 行事なんかのぞんでいない〉〈国民の安全なんて二の次〉など保護者の投稿が目につく。
萩生田発言には、五輪絶対開催でゴリ押ししたい菅政権の方針が影響しているのは間違いない。
歴史家の山崎雅弘氏はツイッターで〈「小学校の運動会は中止するのに、東京五輪開催は強行するのか」という批判を封じるために「じゃあ小学校の運動会もやることにせよ」という文部科学相。教育大臣が「子どもを守る」ことよりも「東京五輪利権」を優先する〉と批判している。
専門家「科学的な判断ができてない」
中京大の大内裕和教授(教育社会学)が言う。
「変異株の登場によって、子どもの感染が増え、萩生田文科相はこれまで以上に危機感を持ち、子どもの命や健康第一の政策を進めるべきです。運動会開催は、五輪を引き合いに出され、科学的な正常な判断ができていないように見えます。また、運動会など学校行事について『かけがえのない貴重な思い出』ともっともらしいことを言っていますが、学校は命がけで行くところではないし、あえて、緊急事態宣言下に運動会を強行する必要性は全くありません。健康あっての思い出です」
萩生田氏は「例えば秋に移すなどの試みをしてほしい」と秋延期も選択肢として示しているが、現場の大混乱は目に見えている。
「運動会は子どもを危険にさらすだけでなく、現場の先生や自治体も大変です。現場は運動会開催によるリスクを感じていても、文科相がそう言うなら、何とか予定通りの日程で開催しようと試行錯誤するでしょう。しかし、“工夫”といっても、コロナの感染拡大期の対策は経験もなく容易ではない。先生は心身ともにかなりの負担になるでしょう。文科相が『直ちに中止』とひとこと言えば、自治体や先生も『延期』に動けます。文科相はそれだけ重い責任を持っているのです」(大内裕和氏)
政権の方針と子どもの命とどっちが大事なのか。萩生田氏は胸に手を当てて考えてほしい。
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