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各社調査で支持率爆下がり…!「菅のガス欠」これだけの状況証拠
https://friday.kodansha.co.jp/article/181720
2021年05月19日 FRIDAYデジタル
「菅のガス欠」…駄洒落のようなこんな言葉が、永田町から聞こえてくる。
内閣支持率が急落した菅政権 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
菅義偉首相のコロナ対策の不備、とりわけワクチン接種のシステムエラーが次々露呈するなか、マスコミ各社の内閣支持率調査が出揃った。
【朝日】支持:33%(4月は40%)、不支持:47%(同39%)
【NHK】支持:35%(−9ポイント)、不支持:43%(+5ポイント)
【読売】支持:43%(−4ポイント)、不支持:46%(+6ポイント)
【JNN】支持:40%(前回の44.4%)、不支持:57%(前回52.7%)
【共同】支持:41.1%、不支持:47.3%
菅内閣の支持率は急落、すべての調査で「不支持が支持を上回る」結果となった。これを見て頭を抱えた官邸スタッフは、嘆息しながら言った。
「ありゃー…コロナ対策を強化すれば(支持率が)戻ると思っていたのに、ここまで下がるとは。最近の菅総理はストレスが溜まっていて、もう常に不機嫌です。テレビに映るときすら、目はうつろで、ストレスはピークに達していますから、総理執務室では怒鳴り声が多くなっているんです」
「非常事態」が露呈した瞬間
月14日の閣議前、菅首相を待つ数分の出来事である。
加藤勝信官房長官、田村憲久厚労相、西村康稔経済再生担当大臣が眉間にシワを寄せて鳩首会談する光景がテレビカメラに捉えられていた。マスコミの存在を忘れたかのようなこの三閣僚協議は、明らかに非常事態が差し迫っていたことを示している。
何が起きていたのだろうか。
「直前まで開かれていたコロナ対策分科会で西村担当相は、専門家から『北海道はすでにステージ4に相当している』と指摘された。また『まん延防止措置重点地域とする政府諮問は間違っているのではないか』といった異論が噴出していた」(厚労省キャリア)
この指摘に慌てた西村担当大臣は、急遽、菅首相と協議して諮問を取り下げ、再諮問という極めて異例の事態を強いられた。
その結果が、冒頭の「緊急事態地域拡大」だ。政府諮問の根幹を「変更するなどというのはあり得ない」と主張したのが、3閣僚のうちの誰だったのか不明だが、菅首相は、
「専門家がそう言うのだから、それでいいじゃないか」
と「判断」した。
国民の命を最優先に考えているという首相の言葉が空々しく聞こえたのは筆者だけだろうか。菅首相は、新型コロナウイルスの感染状況に関する正確な情報を把握できていなかったと語るに落ちたのだ。菅内閣支持率調査で「政府のコロナ対策は遅い」と答えたのは、どの調査においても60%以上。最高値は85%超に及んでいた。
このところ、「菅首相はコロナ疲れ、支持率の低空飛行で、もはやガス欠なのではないか」という声が永田町や霞ヶ関で公然と囁かれるほど精気を失っている。
65歳以上のワクチン接種「1日100万人構想」をぶち上げた矢先、公明党の石井啓一幹事長から、「ワクチン接種は、9月、10月までかかる自治体がある」と地方の実情が報告される展開に。
菅首相は、「そんなにかかる自治体があるのか…」と驚き、しばし呆然したという。現場の状況を把握できていなかったのだろう。
追い打ちをかける脅威
厚労省キャリアが言う。
「2009年、麻生太郎政権下で流行したインフルエンザウイルスで、ワクチン接種を全国に励行したが、あの時は1日60 万人を接種するのが精一杯でした。新型コロナワクチン接種『1日に100万人』というのは人手不足、ワクチン不足で、物理的に圧倒的に達成できませんよ」
本誌が既報(「ワクチン接種自治体丸投げ」市長に直電の生々しい中身 | )した、ある自治体の市長と総務省の電話協議によれば、接種実績のノルマは6割と証言している。
コロナ禍によって暗雲が垂れ込める菅政権に、さらに追い打ちをかける差し迫る脅威がある、と厚労省から委嘱を受ける医師が語った。
「大阪は、従来型コロナウイルスの1.4倍の感染力とされる英国株に置き換わる過程で感染爆発となった。これを見た小池百合子都知事は、一歩早い段階での『緊急事態適用』を国に要請したのです。この宣言の効果は、連休明け2週間を経過した5月第4週、第5週の感染状況に現われる。と同時に、現在もっとも注意喚起しなければならないのは、インド株の蔓延状況です」(厚労省委嘱医師)
ここにはアメリカ保健福祉省、CDC、FDAなど関係機関が得ている情報が集約されている。アメリカ国務省を通じて外務省、厚労省に伝達されているのは、次の内容だ。
「ワクチン2回接種者が、コロナウイルスに感染した事例も」
「イギリスの一部地域で、インド株が拡大傾向」
報告を受けた菅首相は、疲れた表情が紅潮し、一気に緊張が高まったという。
別の医師が言う。
「新型コロナウイルス基本対策分科会の専門家からも報告されているインド株は、英国株より感染力が1.5倍強いという衝撃的なものなのです。英国株がピークアウトしても、すぐさまインド株の流行を招くおそれも視野に入れておかねばならない」
インド株は、2020年12月にインドで発見された変異型コロナウイルスで、インドを襲ったパンデミックの原因と見られている。イギリスでは、6月21日に予定されるロックダウン最終段階の制限解除について、ジョンソン首相が「より慎重な判断をしなければならない」と懸念を表明した。
新型コロナウイルス流行自体は政治の責任ではない。しかし、政府と専門家の意見が異なったとき、政府判断を躊躇なく変更してしまうリーダーには困惑せざるを得ない。新たなガソリンを注入してほしいものだが、「火に油を注ぐ」ような事態が続くのは、なんとも皮肉だ。
取材・文:岩城周太郎写真:代表撮影/ロイター/アフロ
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