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感染拡大増幅させる観光業癒着行政
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2021年4月28日 植草一秀の『知られざる真実』
GWの人流拡大を抑制するために緊急事態宣言を発出するなら、実効性のある方法をとるべきだ。 重大な問題が三点ある。 第一は首都圏で東京都を緊急事態宣言対象にしたが隣接3県を対象外にしたこと。 第二は感染が拡大している大都市圏から他県への人流を抑制しないこと。 第三は観光業界と癒着する首長が他県から人を呼び込む巨大イベントを自粛しないこと。 首都圏での感染拡大を警戒するなら1都3県に同等の措置を講じなければ効果が上がらない。 関西圏では大阪府、兵庫県、京都府の3府県が緊急事態宣言の対象にされた。 しかし、奈良県が除外された。 その奈良県がGoToイートの割引食事券の追加販売を強行した。 大阪府のUSJは休業する。 しかし、千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートは営業を継続する。 巨大遊興施設の入場人員上限を5000人にすると報じられているが、販売済チケットは規制の対象外とされるため、TDRの2つのパークの入場者数はそれぞれ2万人になる可能性が高い。 2つのパークで4万人の入場を容認することになる。 東京都で開催されるプロ野球ゲームは無観客で実施され、東京都から川ひとつ隔てたTDRが連日4万人を集客することになる。 TDRに入場する人々は平均で2回の会食を行う可能性が高い。 大規模イベントの無観客開催、入場人員上限制限を強化する狙いは、会話を伴う会食機会を抑制することにある。 プロ野球などはスタジアム内部での感染対策を講じているから有観客開催を求めたが、大規模な人流が生じれば、連動して多人数での会話を伴う会食機会が増大すると考えられるから、無観客開催が求められる。 TDRが連日4万人を集客して一人平均2回の会食が行われれば、感染拡大のリスクは極めて高くなる。 政府が本気で感染抑制を考えるなら、感染対策の実効性を考慮しなければ意味がなくなる。 首都圏4知事は、GW期間中に首都圏4都県への来訪をしないよう呼びかけるが、日本全国の市民は、首都圏、関西圏、中京圏からの人流拡大を警戒している。 各県知事は県境を越えての来訪をしないよう要請するべきだが、この要請を行っている知事が極めて少ない。 県民に対して、県境を越えての外出を控えるように呼びかけるが、他都道府県の住民に対して、来県をしないよう呼びかけない。 県内の観光業界と癒着する知事が多い。 観光業界と癒着する知事は、県内における感染抑制よりも、県内の観光業者の利害を優先する。 そのために、他都道府県からの来県自粛要請を行なわない。 航空会社等の予約状況はコロナ前比で半減だが、昨年比では4倍から5倍水準に跳ね上がっている。 他都道府県からの来県自粛を要請することは、県内の感染抑制に有効だが、観光業界は難色を示す。 結果として大都市圏以外の各県での感染拡大が促進される可能性が高い。 仄聞するところによると石川県は6月初旬に百万石まつり開催を予定しているという。 準備会議では、コロナ感染がステージ2に移行した場合には一部行事中止、ステージ3に移行した場合には全行事中止の方針を定めたとのこと。 この方針決定後に感染が拡大し、ステージ2に移行した。 一部行事の中止が決定された。 その後、感染状況はステージ3に移行した。 事前の取り決めで全行事の中止を決定しなければならない状況だが、石川県も金沢市も中止決定を先送りしているようだ。 感染抑制と経済活動維持との間にはトレードオフの関係があるが、日本の1年2ヵ月の経験は 「二兎を追う者は一兎をも得ず」 を鮮明に示している。 感染を抑制するべきときに、しっかり抑制しないと、緊急事態宣言の繰り返し発動が迫られる。 GWのコロナ感染拡大を防止するために対策が講じられているが、中途半端さが半端でない。 これでは感染を抑止することは困難と考えられる。 逆に日本全国に感染が拡散される可能性が著しく高まっている。 |
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