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※2021年4月20日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年4月20日 日刊ゲンダイ2面
【かなぐり捨てた平和路線】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) April 20, 2021
五輪の代償は軍事緊張という倒錯外交
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/fB1kGoVdvh
※文字起こし
総理大臣就任後初となる訪米から帰国した菅首相。20日の衆院に続き、21日は参院で「米国訪問に関する報告」を行い、質疑が行われる。菅は不得手と指摘されていた外交の“成果”をアピールし、政権浮揚を狙っているのだろうが、米国と足並みをそろえ、中国が軍事的圧力を強める台湾問題にまで踏み込んだ今回の日米共同声明の「代償」は極めて大きい。
日米首脳が文書で台湾に言及したのは、日中国交正常化前の1969年以来52年ぶりだ。共同声明では、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を示し、東・南シナ海での一方的な現状変更の試みに反対すると明言。さらに「台湾海峡の平和と安定」を求める立場を強調した。
中国に対峙する姿勢を鮮明にした今回の声明に対して中国側は猛反発し、中国の在米大使館報道官は即座に「強烈な不満と断固とした反対」を発表。さらに、「台湾、香港、新疆ウイグル自治区に関する問題は中国の内政であり、東・南シナ海は中国の領土主権・海洋権益に関わり、干渉は受け入れられない」と訴え、「(声明は)2国間関係の範囲を逸脱し、第三国の利益を害する」と非難した。
中国外務省も「あらゆる必要な措置を取り、国家主権、安全、発展の利益を断固として守る」と主張するなど、今後、台湾や尖閣、南シナ海をめぐる日米中間の緊張が強まる状況は避けられない見通しだ。
米中対立の火に油を注ぐのは愚の骨頂
「中国との安定した関係は、両国のみならず地域および国際社会の平和と繁栄のために重要だ」
「中国との間には、さまざまな懸案が存在している。引き続き、首脳会談や外相会議などハイレベルの機会を活用し、中国側の具体的行動を強く求めていくという基本方針に変わりはない」
中国が対抗措置を取る可能性を示唆したことに対し、加藤官房長官は19日の会見でこう言っていたが、共同声明の内容は、菅があからさまに軍事増強を宣言したに等しいだろう。日米両国にとって、沖縄・尖閣諸島周辺の領海侵入を繰り返し、世界の中で経済的優位性をますます高める中国は「共通の敵」とはいえ、日米それぞれの立場は異なる。とりわけ中国の隣国である日本は人的交流や経済的な結び付きも強い。過度に刺激すれば安全保障の危険性が高まるだけでなく、貿易面でも大きなダメージを受けるのは間違いない。
だからこそ、日本の歴代政権は、中国に対して神経をとがらせる米国の姿勢に理解を示しつつも、バランスを考え、米中のいずれかに軸足を置くことは避けてきたはずだ。今回の日米共同声明の公表にあたっても、日本側は当初、「台湾」に触れることに難色を示したらしいが、最終的には「会談の成功」を優先する菅が明記を判断したと報じられている。つまり、目先の外交“成果”を焦った菅が、これまで薄紙を剥ぐように積み上げてきた日本政府の外交努力をぶち壊してしまったわけで、改めて何のために訪米したのか。まさに百害あって一利なしだろう。
沖縄国際大大学院教授の前泊博盛氏(日米安保論)はこう言う。
「軍事的緊張を高めたり、圧力をかけたりすることがどんな事態を招くかは歴史が証明している。世界中が新型コロナ禍で苦しむ中、米国があえて今、台湾を共同声明に掲げる目的は何か。国内世論の反発を外に向けるためではないのか。中国の隣国である日本はそういう冷静な視点が必要なのに、わざわざ米中対立の火に油を注いでどうするのか。愚の骨頂です。それに米中衝突となれば沖縄が真っ先に巻き込まれるのであり、全く冗談ではない。日本がやるべきことは米中対立を煽ることではありません」
米中戦争に巻き込まれる可能性が高まる日本 |
今回の共同声明が問題なのは、日本が戦争に巻き込まれる可能性がいよいよ高まったということだ。安倍前政権下で強行採決された集団的自衛権の行使を一部容認する「安全保障関連法」(安保法)が2016年3月に施行されて5年。自衛隊が他国軍の艦船などを守る「武器等防護」は昨年、米軍に対して25件が実施されるなど、同法に基づく日米間の防衛協力は着実に進んでいる。
一方、台湾などを「核心的利益」と位置付ける中国は近年、戦闘機による台湾の防空識別圏への侵入を常態化させており、12日には昨年9月以降で最多となる25機の飛行を確認。中国海軍は空母「遼寧」の訓練を台湾周辺海域で実施するなど、一部メディアで「台湾侵攻の予行演習」とも言われる動きを見せている。
緊張高まる状況の中で、仮に中国と台湾が武力衝突する「台湾有事」が発生した場合、どうなるのか。想定されるのは、まずは台湾防衛のために軍事介入した米軍に対し、日本の自衛隊が安保法の一つである「重要影響事態法」に基づいて燃料補給などの後方支援活動を実施することだ。そして、密接な関係にある他国(台湾)が攻撃を受け、日本の存立が脅かされているとして、安保法の「存立危機事態」に基づき、武力行使による反撃へと進むことだろう。
防衛省出身で内閣官房副長官補(安全保障担当)を務めた柳澤協二氏もこう言う。
「台湾問題というのは中国にとって引くことのできない問題で、抑止だけを前面に打ち出せば中国側はますます反発し、強硬姿勢を取るのは避けられません。一方、米国も引くに引けないため、今後、台湾海峡などで軍事衝突が起きる危険性があり、そこに集団的自衛権の行使を決めた安保法制によって日本も米国と同じように中国と対峙することになりかねません」
日米合意は場当たり的で戦略的視点なし
<台湾有事で米軍が出動した場合、日本も「重要影響事態」と認定して米軍の後方支援にあたる可能性は十分にある>
河野克俊前統合幕僚長も3月30日付の朝日新聞でこうコメントしていたが、柳澤氏や河野前統幕長が指摘している通り、いったん「台湾有事」が起きたら、日本は存立危機事態、集団的自衛権と突き進むのは容易に想像がつく。
まさに平和路線をかなぐり捨てた菅の愚行が招いた最悪の事態になるわけで、とんでもない話だ。それなのに、大メディアの危機感はゼロ。<お互いをヨシ、ジョーと呼んで親睦を深めた><ワクチンの追加要請成功><尖閣は日米安保5条の適用を確認>……などと、どうでもいい報道ばかりだから愚鈍すぎる。
「尖閣諸島への日米安保条約第5条の適用は、以前から決まっていることで、それをもって日本が台湾に関してコミットメントしたことはバランスの取れた(外交)取引とは思えません。ワクチンの追加要請も本来は首相の仕事ではないでしょう。中国は今後、貿易面でも日本側に圧力をかけるかもしれず、そういったこと(デメリット)を日本政府が計算せずに米国と合意してしまったというのは外交センスの欠如としか言いようがない。日本政府は台湾有事に巻き込まれること、極端な言い方をすれば、最悪、中国のミサイルが日本本土に飛んでくることを覚悟した上で米国側と合意したのでしょうか。その覚悟が(菅首相にも)ないとすれば、今回の日米合意は極めて場当たり的で、戦略的な視点を欠いていると言わざるを得ません」(前出の柳澤協二氏)
その通りだ。菅には国民を戦争の惨禍に巻き込むかもしれないという覚悟はないし、日本国民もそれを容認した覚えはない。そもそも「平和の祭典」である五輪の代償が「血なまぐさい軍事的緊張」なんて倒錯外交そのものではないか。
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