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国民の命より聖火リレー優先。菅政権「政治プロパガンダ」の本末転倒
https://www.mag2.com/p/news/492906
2021.04.08 『きっこのメルマガ』 まぐまぐニュース
3月25日に福島をスタートした東京五輪の聖火リレーですが、予想だにしなかったところから痛烈な批判の声が発信されました。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、五輪の放送権を持つアメリカの放送局が発表した、「この火は鎮火すべきだ」との強烈なメッセージを含む記事を抜粋し紹介。その上で、聖火リレーを政治利用するため、コロナ感染拡大の最中に緊急事態宣言を全面解除した菅政権を、強く非難しています。
聖火リレーという政治プロパガンダ
菅義偉首相は3月21日、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県で継続していた緊急事態宣言を2カ月半ぶりに全面解除しました。しかし、会見での菅首相の説明は、まったくもって意味不明なものでした。それは「感染者数は微増の傾向が見られ、人出が増加している地域もあることからリバウンドが懸念をされております。変異株の広がりにも警戒する必要があります」と前置きした上で「このため宣言が解除される今が大事な時期」と述べ、引き続きの「マスク、手洗い、3密の回避」を要請した上での「全面解除」だったからです。
感染者数が増加していて、リバウンドの懸念もあり、感染力の強い変異株も広がっているので「緊急事態宣言を全面解除します」というロジック、あたしには1ミリも理解できませんでした。それは、まるで「今日は暑いのでストーブを点けましょう」と言っているような流れだったからです。それにしても、どうして菅首相は、これほどまでにトンチンカンなことを言ったのでしょうか。それは、初めから「3月21日の解除ありき」で決められた緊急事態宣言の延長だったからです。
今回の緊急事態宣言は、もともとは2月7日まででしたが、何の対策も打たずに指をくわえて眺めているだけの無能政権によって感染が拡大してしまったため、1カ月延長されて3月7日までとなりました。そして、2回目の期限の3月7日が迫って来ても状況は変わらず、再延長を余儀なくされました。しかし、多くの専門家が1回目と同じ「4月7日までの1カ月の延長」を主張したのにも関わらず、菅首相は「3月21日までの2週間の延長」を譲りませんでした。
専門家によると、新型コロナは感染してから検査で陽性と判断できるようになるまで2週間ほど掛かるため、その日に発表された感染者数は「2週間以上前に感染した人数」ということになるそうです。そのため、2週間の延長では、延長期間中にどれだけ増減があったのかが分からないまま解除を迎えてしまい、緊急事態宣言の有効性が判別できないのです。それなのに、専門家の助言を無視して、菅首相が強引に「3月21日までの2週間の延長」を押し通したのは、3月25日に東京五輪の聖火リレーがスタートするからです。つまり菅首相は、国民の命よりも東京五輪を優先したわけです。
そして3月25日、国民の命よりも優先された東京五輪の聖火リレーが福島県からスタートしましたが、それはあまりにも酷いものでした。道路いっぱいにコカコーラやトヨタなどスポンサー企業の巨大な宣伝用トラックが列を成し、大音量で音楽を流しながら行進したのです。トラックの上では、マスクもしていないDJが飛沫を飛ばしながら大声を張り上げ、沿道は人、人、人で埋め尽くされました。もはや「聖火リレー」というよりも「スポンサーの広告リレー」でした。そして、この様子を写真で報じたメディアは、IOCから72時間以内の削除を強要されました。
この直後の3月26〜28日に実施された日本経済新聞社とテレビ東京による全国世論調査では、今回の緊急事態宣言の全面解除について、「妥当」が30%、「早すぎる」が52%という結果が出ました。緊急事態宣言に関しては、新型コロナの状況だけでなく、それぞれの仕事や生活などもあるため、立場によって賛否両論あるとは思いますが、この「聖火リレー」という名のバカ騒ぎに関しては、批判の声が大半を占めました。
そして、その批判の声は、思わぬところからも発信されました。それは、全米での東京五輪の放送権を持つアメリカの4大放送局の1つ、NBCです。2014年のソチ五輪から2032年までの冬と夏の五輪すべての放送権を約76億5,000万ドル(約7,800億円)で取得しているNBCは「どんなことをしても五輪を開催してもらわないと困る」という立場です。そのNBCが自社のニュースサイトに、3月25日付で、東京五輪の聖火リレーを批判する記事を掲載したのです。
記事の執筆者、ジュール・ボイコフ氏は、現在50歳の元プロサッカー選手で、アメリカの五輪代表にも選ばれたことがあります。米パシフィック大学で政治学の教授をつとめており、『パワーゲーム オリンピックの政治史』を始め、スポーツと政治に関する書籍を複数刊行しています。つまりボイコフ氏は、オリンピックと政治、両方の専門家というわけですが、その専門家が、東京五輪の聖火リレーを批判する記事を書き、それを東京五輪の放送権を持つNBCが発表したのです。
それは「新型コロナの恐怖の中、東京五輪の聖火リレーが始まった。この火は鎮火すべきだ」というタイトルの記事でした。あたしは全文を読みましたが、まるであたしが書いたのかと思うほど、歯に衣着せぬ直球ド真ん中の表現だらけでした。日本のメディアの中にも、この記事のほんの一部を紹介した媒体もありましたが、日本のメディアの大半は五輪のスポンサーなので、記事の核心部分には触れませんでした。そこで、あたしが記事の核心部分について、以下、日本語に訳して紹介したいと思います。
● ジュール・ボイコフ「新型コロナの恐怖の中、東京五輪の聖火リレーが始まった。この火は鎮火すべきだ。(聖火リレーはナチスによって確立された伝統であり、これにより新型コロナの感染拡大のリスクが増す)」(2021年3月25日)
東京五輪の主催者は3月25日に日本で聖火リレーを開始し、7月23日の開会式のために五輪スタジアムに到着するまで、全国で1万人の聖火ランナーが複雑なコースを走り回ります。しかし、新型コロナのパンデミックの中での今回の聖火リレーは、さらに感染を拡大させるリスクがあります。そもそも五輪の聖火リレーは、ナチスがプロパガンダに利用したことから始まった負の伝統であり、消滅すべき悪習です。 |
2011年3月、福島県は、地震、津波、原発事故という三重の苦しみによって大きな打撃を受けました。「復興五輪」と銘打たれた今回の東京五輪は、福島県を聖火リレーのスタート地点に選びましたが、この地域の多くの人々は、福島の復興の遅れの原因が東京五輪だとして、東京五輪を非難しています。それは、多くの資材などが被災地の復興よりも東京五輪優先で転用されたからです。福島県を視察したスポーツジャーナリストのデイブ・ジリン氏は「こんな光景は初めて見ました。復興を掲げた聖火リレーのスタート地点に、まさか五輪によって復興が遅れている場所を選ぶなんて、これ以上の皮肉はないでしょう」と述べました。 |
東京五輪に抗議している宮崎俊郎氏は、今回の聖火リレーについて「福島の復興が遅れているという現実を隠すための政治的偽装」だと批判しました。神戸大学の国際文化学の小笠原博毅教授は、長引く福島の深刻な問題から国民の目をそらすための「トーチウォッシュ(聖火による洗浄)」だと指摘しました。事実、原発事故でメルトダウンが発生した福島県を聖火リレーのスタート地点に選ぶという行為は、この聖火リレーという儀式の偽善性や害悪さ、バカバカしさを際立たせただけでなく、新型コロナ禍でも五輪へと突き進む日本という国の政治的問題点をも浮き彫りにしたのです。 |
最大の問題は、今週の聖火リレーから始まる夏季五輪が、パンデミックをさらに悪化させる可能性が高いという点です。日本のワクチン接種はほとんど進んでおらず、五輪開催には完全に間に合いません。日本の主催者は『外国人観客は許可しない』と発表しましたが、何千人もの選手、コーチ、ジャーナリストが日本国内に流入し、彼らは誰もワクチン接種を受ける必要がないのです。当然のことながら、大多数の日本人はこの状況を不安視しており、国民の80%は五輪の中止か再延期を望んでいます。 |
現在の日本には、東京五輪に対する懐疑論が蔓延しています。政府が3月21日に緊急事態宣言を解除した時、多くの専門家は、そのタイミングに疑念を持ちました。関西大学でスポーツ、ジェンダー、セクシュアリティーを研究している板谷聡子教授は「感染者数が増加しているにも関わらず非常事態宣言が3月21日に解除されたのは、間違いなく4日後にスタートを予定している聖火リレーが理由です」と指摘しました。 |
今回の東京五輪の聖火リレーは、パンデミックのさらなる悪化を抑えるために中止すべきですが、そもそも五輪の聖火リレーはナチスがプロパガンダのために考え出したものですから、パンデミックうんぬん以前に廃止すべきなのです。五輪史上初めて聖火リレーが行われたのは1936年のベルリン大会ですが、当初、アドルフ・ヒトラーは五輪に関して「フリーメーソンとユダヤ人による陰謀」として無関心でした。しかし、ナチスでプロパガンダを担当していたヨーゼフ・ゲッベルスが「五輪は世界が注目しているので、ナチスの思想を世界中に広める素晴らしい機会だ」とヒトラーに助言したのです。そして、ベルリン五輪大会組織委員会総裁に就任したヒトラーは、自分たちドイツ人こそが古代ギリシャ人から続くアーリア人の血統を受け継ぐ正当で優秀な民族であるということを世界に向けて主張する手段として、聖火リレーを考案し、プロパガンダに利用したのです。 |
※ 引用元の記事
→Amid Covid fears, Tokyo Olympic Games’ torch relay kicks off. It should be extinguished.
全文を紹介してしまうと「引用」ではなくなるため、あたしが重要だと感じた部分だけをピックアップして紹介しましたが、皆さん、これを読んでどう感じたでしょうか。五輪そのものに関しては賛否両論あると思いますが、今回の聖火リレーに関しては、このように海外の専門家からも厳しい批判の声が上がったのです。
安倍晋三前首相は「人類が感染症に打ち勝った証として完全な形で開催する」などと大風呂敷を広げましたが、実際にはワクチンも間に合わず、海外からの観客も呼べないという中途半端な形になってしまった東京五輪。その上、聖火リレーを政治利用して福島の復興を演出するために、感染が拡大している最中に緊急事態宣言を全面解除する始末。本末転倒とは、まさにこのことでしょう。
(『きっこのメルマガ』2021年4月7日号より一部抜粋・文中敬称略)
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