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尖閣諸島は日本と中国との関係を悪化させるために米国が仕掛けたトラップ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202103310001/
2021.03.31 櫻井ジャーナル
アメリカのジョー・バイデン政権はルビコンを渡った、つまり中国、ロシア、イランといったアメリカの支配システムに屈服しない国々を潰しにかかろうとしていると本ブログでは考えている。ウクライナや中東でも軍事的な緊張が高まっているが、同じように危険な状態になっているのが東アジアにほかならない。
アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は2月23日の記者会見で「尖閣の主権に関する日本の立場を支持する」と発言、中国政府から強く抗議され、その発言を26日に訂正、「尖閣の主権をめぐる米政府の方針に変わりはない」と発言したようだ。
言い間違いという可能性もあるが、カービー発言は中国に対するバイデン政権の牽制だったのかもしれない。中国側の反発が予想以上に強かったとも考えられる。つまり計算間違いだった可能性がある。
アメリカの中国やロシアに対する攻撃的な姿勢はドナルド・トランプ政権から、いや、その前から続いている。トランプはロシアとの関係修復を掲げたが、実行できなかった。トランプ政権時代の2018年5月にアメリカ軍は「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ名称変更したが、これは中国が進める「一帯一路」のうち「海のシルクロード」を潰すことが目的だろう。太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱い、日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐ計画だと言われた。
2020年6月になると、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長が「NATO2030」なるプロジェクトを始めると宣言。NATOの活動範囲を太平洋へ広げてオーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにするとされた。現在、アメリカは日本、インド、オーストラリアと「クワッド」なる連合体を作り上げようとしている。
アメリカとイギリスを中心にしてアングロ・サクソン系の国は連合体を作っている。そのほかの参加国はカナダ、オーストラリア、そしてニュージーランドだ。
そのカナダが今年1月、自国の戦艦に台湾海峡を航行させた。それだけでなく、NATO加盟国のフランスは潜水艦を、またイギリスは空母を中心とする艦隊をそれぞれ南シナ海へ派遣。この海域における西側諸国の軍事的な動きが活発化している。日本とオーストラリアは相互アクセス協定(RAA)を結ぶ。
アントニー・ブリンケン国務長官は3月15日にロイド・オースチン国防長官と日本を訪問、茂木敏充外相や岸信夫防衛相に会談。その際、ブリンケン国務長官は中国の「威圧的で攻撃的な姿勢」を批判していた。オースチン国防長官は3月18日、アメリカ軍は「今夜にでも攻撃する準備ができている」と朝鮮を脅した。
3月19日にはアメリカ側の要請で、アメリカのブリンケン国務長官とジェーク・サリバン国家安全保障補佐官は中国の楊潔篪中央外事活動委員会弁公室主任と王毅外交部長にアンカレッジで会るが、会談は激しいものになったようだ。
3月22日と23日には中国側の要請でセルゲイ・ラブロフ外相が中国を訪問、王毅外交部長と会談し、両国の同盟関係を強く印象づけた。その際、中国とロシアはドル離れを確認、貿易決済で自国通貨を使うようにすることで合意している。アメリカの支配システムを支えてきたドルへの決別宣言だ。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、明治維新以降、日本列島から琉球諸島、そして台湾へ至る弧状に並ぶ島々はアメリカやイギリスにとって大陸侵略の拠点であり、日本人を彼らは傭兵と見ているだろう。アメリカやイギリスだけの力で中国やロシアを制圧することは戦力的に不可能だからだ。日本はアングロ・サクソン系の私的権力にとって重要な国だということになる。
そうした私的権力の下に日本の支配システムは存在、日本のエリートはそうした権力の手先になることで地位と富を獲得してきた。日本では東アジアへの侵略戦争について語らず、アメリカと戦争を始めたことを批判する人が少なくないが、その理由もそこにある。
しかし、1990年代頃から日本の経済は中国との交易なしに維持できなくなっている。中国との友好的な関係が日本の利益になると考えた田中角栄は尖閣諸島の領有権問題を棚上げにすることで周恩来と合意、それによって両国の関係は発展したが、そうした状態が2010年9月8日に壊される。
当時は菅直人政権だったが、海上保安庁は「日中漁業協定」を無視して尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まったのだ。海上保安庁は協定を熟知しているはずで、協定違反だということも認識していただろう。
海上保安庁は国土交通省の外局で、取り締まり時の国土交通大臣は前原誠司だ。本来なら、中国との関係悪化を修復するために動くのが外務省だが、2010年9月17日に前原が外務大臣に就任している。これ以降、日本経済が大きなダメージを受けたことは言うまでもない。
そして今、バイデン政権は菅義偉内閣に対し、中国とのさらなる関係悪化を迫っている。アメリカの目的は中国との戦いだけでなく、日本経済を破壊して乗っ取ることにあるだろう。ルビコンを渡ったアメリカの私的権力は世界支配を目論んでいるのだ。
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