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官僚は日本のために仕事をするのであって政権のために仕事をするのではない ファクトチェック・ニッポン!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/286885
2021/03/24 日刊ゲンダイ
「記憶がないと言え」(答弁台に向かう、鈴木信也・総務省総合通信基盤局電波部長。武田良太総務相=後方)/(C)日刊ゲンダイ
武田総務大臣の「記憶がないと言え」発言は、既に明らかになっているこの国の官僚制度の崩壊をあらためて印象付けるものだ。
発言が出た3月16日の衆院参考人質疑をあらためて確認した。質問に立った逢坂誠二議員は立憲民主の3番手。後藤祐一議員らが厳しい質問をした後、東北新社の木田由紀夫氏の訪問について「記憶にない」と繰り返す総務省電波部長の鈴木信也氏に次のように問いただした。
「記憶がないだけですから、そうした事実があった可能性はゼロではない。木田氏に会った可能性はゼロではない。外資規制違反の報告の可能性はゼロではないということでよろしいですね?」
これが質疑の肝であることは、その場を見ていた誰にも明白だった。武田大臣もそう感じただろう。鈴木氏が答弁に向かうと武田大臣に変化が起きる。それまでの質疑で手元に目を落としていたのが、急に顔を上げて鈴木氏を見る。そして近くに来たところで例の「発言」となる。
面白いのは、その後だ。「発言」後、再び大臣は手元に目を落としている。そして鈴木氏はこれまでより強い口調で、「記憶にございません」と答弁している。「発言」はマイクが拾わなければ誰にもわからなかった。武田大臣は「答弁を指示する意図は全くない」と釈明し、鈴木氏は「(発言は)耳に入っていなかった」と説明している。鈴木氏の言葉は事実かもしれないが、大臣の釈明は映像とは合致しない。それを「指示」と言うか否かはともかく、鈴木氏に向けて発せられているとしか見えない。
私は以前から内閣人事局による官僚機構への人事権の行使が、日本の官僚機構を瓦解させていると指摘してきたが、この場面からも、それを強く感じた。仮に大臣の釈明が事実だったとしても、国会で政府委員が質疑に応じる際に、大臣席から証言に影響を与えるような発言が飛んだことになる。これは健全な状態なのか? 私にはそうは思えない。
こう指摘すると、内閣が官僚の人事権を握るのは当然だとの反論を受ける。アメリカでも行われているとも指摘を受ける。しかし、ここに大きな誤解がある。アメリカは日本のような大卒のキャリア官僚が官僚トップになる制度ではない。官僚は昇進しても通常は部長まで。その上のポストが政治任用となり、そのまま官僚が昇格するわけではない(例外もある)。だから、官僚機構の下から上まで全てが政権の顔色をうかがうとはならない。また、専門性の求められる政府機関は政権からの独立が認められている。例えば、総務省にあたるFCC=米連邦通信委員会は放送・通信のトップは専門家5人で、大統領が指名して議会が承認するが、党派のバランスが考慮されている。加えて任期制であり、時の大統領が総入れ替えできるものではない。つまり、官僚がその時の政権の意向に左右される幅を最小限にするシステムがある。
官僚は日本のために仕事をするのであって、政権のために仕事をするのではない。それもまた『記憶にございません』ということかもしれないが。
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tateiwa@infact.press
立岩陽一郎 ジャーナリスト
ジャーナリスト。1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て、2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。フジテレビ「とくダネ!」、毎日放送「ちちんぷいぷい」出演中。
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