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https://mainichi.jp/articles/20210323/k00/00m/010/362000c
自民党は23日、安全保障上重要な施設周辺の土地規制を強化する法案を了承した。公明党も25日に承認する見通しだ。私権制限が過度に強まることを懸念した公明党に配慮し、運用上、多数の住民や事業者がいる市街地は土地取引の事前届け出の対象外とすることで折り合った。政府は26日にも閣議決定し、国会に提出する。立憲民主党は法案に反対する方針だ。
法案は、安全保障上重要な施設の周辺の土地建物を調査し、電波妨害といった「機能を阻害する行為」から施設を守る狙いがある。政府は自衛隊や米軍、海上保安庁、原発などの重要インフラの周辺約1キロと、国境離島区域を「注視区域」に指定。土地建物の所有者の氏名、住所、国籍や利用実態を不動産登記簿などから情報収集できる。「機能を阻害する利用」が明らかになった場合は、利用中止の勧告・命令が可能で、命令に応じなければ罰則を科す。
また、司令部機能のある自衛隊や米軍施設の周辺など重要性の高い区域は「特別注視区域」に指定。土地取引の際は売り手と買い手に事前届け出を義務づけ、国による買い取りなどの利用規制もできるようになる。
これまで公明党は政府原案について「経済活動の自由や国民生活に関わる話だ」(北側一雄副代表)などとして慎重な対応を求めてきた。与党協議では、法に基づく措置を「個人情報の保護に十分配慮」しつつ「必要な最小限度のもの」と条文に明記することで合意。両区域の指定は「経済的社会的観点から留意すべき」だとの一文も盛り込んだ。
政府は、公明党に対し「特別注視区域」に関して、海上保安庁の施設、重要インフラ周辺は法施行時に指定しないと説明した。具体的な指定対象は法成立後に閣議決定される基本方針に委ねられる。政府は市街地についても「必要に応じて特別注視区域に指定し直すことも可能」と説明しており、与党協議を担当した北側氏は「一定の方向性は出たと思うが、最終的には政府側でさまざまな事情を考慮して責任を持って判断してもらわなければならない」と注文をつけた。
立憲の安住淳国対委員長は23日、国会内で自民党の森山裕国対委員長と会談し、「安全保障の美名の下に私権制限が当然だということにはくみしない」として法案に反対する考えを伝えた。【木下訓明、遠藤修平】
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