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アストラゼネカ欧米拒絶 国内ワクチン6000万人分「消滅」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286430
2021/03/13 日刊ゲンダイ
アストラゼネカの新型コロナワクチンを扱う人(C)ゲッティ=共同
欧州各国で、英アストラゼネカ社製の新型コロナワクチンの接種の一時停止が相次いでいる。デンマークでは60代の女性が接種後に血栓ができて死亡。オーストリアでは49歳の女性が多発性血栓症で亡くなった。
欧州医薬品庁によると、10日時点で同社製ワクチンを受けた500万人のうち、30人が血栓塞栓症を発症したという。接種と血栓に因果関係はあるのか。医学博士の米山公啓氏はこう言う。
「これまで医療現場では数多くのワクチンが使われてきましたが、接種によって血栓ができた例は聞いたことがありません。もともと、新型コロナは感染者に血栓ができやすい特徴がある。だから、医師は感染者に抗凝固剤のワーファリンを投与しています。欧州の例は既にコロナに感染して血栓ができていた人が、ワクチン接種後に倒れたのかもしれません」
とはいえ、欧州では警戒の動きが拡大中だ。国際政治経済学者の浜田和幸氏によると、デンマーク、アイスランド、ノルウェー、オーストリアなど8カ国がアストラゼネカ製の接種停止を決定。デンマークの保健省が今後2週間かけて原因を解明するまで、各国とも様子見を決め込んでいるという。
「仏独両国は注意しながらアストラゼネカ製を使い続ける方針ですが、民意は離れています。アンケート調査によると、同社のワクチンを接種されたくないという人はフランスで49%、ドイツでは54%に上ります」(浜田和幸氏)
再び見直し?(河野太郎行革相)/(C)日刊ゲンダイ
供給日程がまた乱れるのか
日本の接種スケジュールにも影響大だ。政府は昨年12月、アストラゼネカから6000万人分のワクチン提供を受ける契約を締結した。厚労省は同社のワクチン接種を今年初頭に開始すると発表。本来なら3月までに1500万人分の接種を終える予定だった。
ところが、同社のワクチンはいまだ承認もされていない。そのため、確保したのは米ファイザー社製のみ。しかも、同社との年内1億4400万回分(7200万人分)の提供契約は「確約」ではなく、「最大限の努力」にとどまる。おかげで入荷実績はまだ118万人分、接種実績は23万542件(12日現在)とお寒い状況だ。
「厚労省は過去に子宮頚がんワクチンで『副作用が起きた』との声が上がった“トラウマ”もあり、世界一と言えるほど承認に慎重です。アストラゼネカ製が血栓と無関係だと発表されても、すぐには承認しないでしょう」(米山公啓氏)
コロナ克服の道のりは遠い。
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