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藤井聡教授が断言。無能な日本政府に予定通りのワクチン接種など不可能なワケ
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2021.03.04 『藤井聡・クライテリオン編集長日記 〜日常風景から語る政治・経済・社会・文化論〜』 まぐまぐニュース
医療従事者に対してようやく始まった新型コロナウイルス感染症のワクチン接種ですが、日本政府の掲げる「6月までに高齢者の接種完了」は現実問題として本当に可能なのでしょうか? 京都大学大学院教授の藤井聡さんは自身のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 〜日常風景から語る政治・経済・社会・文化論〜』で、無能さを示す象徴となった「アベノマスク」さえ速やかに配れなかった政府が、さらに複雑なプロセスを要求されるワクチン接種を予定通り進めることなど不可能だと断言。そして、これらを取り仕切る菅政権そのものが腐敗しきっている証拠として総務省の「長男接待問題」などを例にあげながら、菅総理による官僚支配の「恐怖政治」を痛烈に批判しています。
(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 〜日常風景から語る政治・経済・社会・文化論〜』2021年2月27日配信分の一部抜粋です。続きはご購読の上、お楽しみください)
「ワクチン接種」は予定通りに絶対進まない〜首相長男接待に象徴される菅”腐敗”政権がまともに機能できない本質的理由〜
多くの国民が待ち望んだワクチンが、ようやく日本でも打たれ始めました。そして政府は、6月までに高齢者のワクチン接種を終えるのだと宣言しています。
こうした宣言を受け、多くの国民は、こうしてワクチン接種が国民全員に行き渡れば、コロナの呪縛からようやく逃れることが可能となり、自粛や時短の無い、かつてのような社会経済活動を再開することができるのだと漠然と考えています。
いわば多くの国民は、この春の訪れに合わせて、コロナによってもたらされた長い長い冬から抜け出すことができるのではないかという淡い希望を持っているのです。
しかし、今の状況を鑑みた場合、余程の奇跡でも起きない限り、今の日本で予定通りにワクチン接種が進められるようなことなど、万に一つも無いとしか考えられません。
なぜなら、菅内閣を中心とした今の日本の中枢部が圧倒的に「腐敗」してしまっており、まっとうな行政が何一つできない状況にあるからです。そんな腐敗政権においてワクチン接種行政だけが例外的にパーフェクトに完遂できるなどということはあり得ないのです。
思い出してみて下さい。
昨年の春、「国民の不安をぱっと解消させる」との、総理周辺官僚の下らない思いつきで、国民全員にマスク配布を決定したのですが、それが行き渡るまで何ヶ月もかかってしまいました。その間、民間マーケットにマスクが十分に行き渡るようになり、「アベノマスク」は「日本政府の無能の証」となりました。
たかだかマスク配布ごときであれだけの時間がかかったのですから、マスク配布よりも圧倒的に複雑なプロセスが求められるワクチン接種が、予定通りにできる筈がないということは、この一点だけでも簡単に理解できます。
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具体的に言いましょう。
ワクチン接種のためには、以下の様な実に様々なプロセスが必要で、しかも、それぞれのプロセスの一つ一つに、それらが円滑に進まないさまざまな原因が考えられるのです。
1.海外マーケットからのワクチン調達
→諸外国での品薄が危惧されており、ワクチンの大量調達は著しく困難
2.特殊な冷凍装置を使った郵送と保管
→海外でもあったようにここで保存ミスがあれば全て廃棄処分となってしまう
3.接種候補者の絞り込みと連絡
→このリスト化にまた、時間がかかってしまう!?
4.接種リストの作成と管理
→政府が創っていたシステムに不備があり、今、急遽新しいものを作っているのが実情。だがそんな新しいものがスグに使えるとは到底考えられない。したがって、このシステム構築に時間がかかり、運営が混乱し、メチャ時間がかかるリスクは極めて大きい
5.基礎自治体による接種医療従事者の確保
→ワクチンを打つ医療従事者が確保できない懸念が相当ある
6.基礎自治体による接種会場の準備と運営
→予防接種を長年やっていないので、あらゆる自治体で混乱が生じ、手違いがあったり、時間が想像以上にメチャかかる懸念大。特に小さな自治体では、担当する行政官がいなくてもの凄く時間がかかる懸念はメチャクチャ大きい
繰り返しますが、たかだかマスク一つ配るのに大混乱した我が国政府です。
そもそもマスク配布は「1)マスクの調達、2)郵送」というだけのプロセス。
で、その「郵送」については既に使用されている郵便システムがそのまま使えるわけですから、滅茶苦茶単純です。にも関わらず、マスクもなかなか調達できず、かつ、その郵送もスグにできずモタモタモタモタしてしまったわけです!
そんな「マスク一つ迅速に配れない無能な政府」が、上記の様に実に様々なリスクが懸念される複雑な行政プロセスを、諸外国のように迅速に終わらせるなんてこと、常識で考えて万に一つもないことは確実です。
ちなみに言うと、ちょっと前に流行った映画「シンゴジラ」で、官邸に集められた超優秀な官僚たちが、総理や官房長官の前でゴジラに対してミサイル一発を撃つかどうかを超高速の言葉を交わしながら議論し、そのせいで「迅速なゴジラ対応行政」が全然出来ない……というシーンがありましたが(覚えてる方はおられますでしょうか……?)、これからワクチンを巡って、ああいう議論が霞ヶ関、永田町で延々と繰り返されるのです。
あのシーンが意味しているのは、今の日本の官僚たちは「日本をゴジラから守る」という究極目的はさておき、とにかく「自分が従わなければならない全ての法令・政令ルールから逸脱しないように、上司からの命令を遂行する」ということ「しか」頭にない、という真実であり現実です。つまりあの官僚たちは実は、「保身」(ならびに、それを前提とした「出世」)以外の興味関心を持たないのです。
だから彼等にとって、「保身」(ならびに出世)とは無関係である限りにおいて「迅速なワクチン接種の推進」など当然、全く眼中に無く、円滑に事が進む事など絶対に考えられないのです。
もちろん、菅総理と直接関係を持つ超高級官僚たちは、自らの「保身」と「迅速なワクチン接種の推進」事務とが一致するので、彼等は熱心に迅速なワクチン接種のために必死になるでしょう。例えば、河野太郎や和泉首相補佐官などは、必至になってワクチン接種の推進を使用と「シャカリキ」になることは間違い有りません。
しかし、末端に行けば行くほど、菅総理の意向が直接届かなくなります。
菅総理に直接会うこともできないし、菅総理に気に入られるチャンスなど無いからです。だから末端に近い官僚たちにとっては、「迅速なワクチン接種の推進」等どうでもいいのです。
いずれにせよ、保身だけに注意を向ける官僚たちにとっては、「直属の上司の意向」と、「自分が従わなければならない全ての法令・政令ルールから逸脱しないようにする」という事だけがただただ重要です。だから、各行政組織の末端に近いところには、この行政の目的である「迅速なワクチン接種の推進」等、全く眼中に無い無気力な官僚がわんさかいる、という状況になっています。
そして、今回のワクチン行政は、直接の所管の厚労省のみならず、輸送については国交省、冷蔵施設については経産省、地方自治体対応については総務省、その上、全ての自治体の公衆衛生担当部局という、実に幅広い組織が関連しており、そこには、菅総理の直接の「脅し」が効かない大量の末端の官僚たちが存在しているのです(無論、どんな組織にも心ある人々はいますから、彼等は、出来る範囲で国民の為に働こうとしますが、政権中枢が腐っていてはそういう心ある官僚の働きや工夫は全て無視されかねないのが実情です)。
だから、どれだけ菅総理周辺が「シャカリキ」になっていたとしても、ワクチン行政が円滑に進む事など、絶対にあり得ないのです。
いずれにしても、現代日本における優秀な官僚とは、あのシンゴジラのシーンが的確に描写していたように、「自分が従わなければならない全ての法令・政令ルールから逸脱しないように、上司からの命令を遂行する」という特殊な振る舞いが「的確」にできる官僚を言うのであって、「日本をゴジラから守るために適切な判断をする」という能力ではないのです(ちなみに、前者のように振る舞う官僚を「テクノクラート=機械のように振る舞う役人」、後者の様に振る舞う官僚を「パブリック・サーバント=公衆の僕、つまり公僕」と呼ばれるのが一般的です)。
だからこそ、迅速にワクチン接種が進むことは万に一つも無いだろうとしか考えられないわけですが、そういう傾向(つまり、公僕あらざる機械的官僚的傾向)は今、菅内閣で驚くほど急激に加速しています。
なぜなら、菅氏は(官房長官時代から)「内閣人事局」という制度をフルに活用し、自分の言う事を聞く「かわいい」官僚達(例えば和泉補佐官や山田内閣報道官など)を徹底的に重用する一方、少しでも気に入らなかったり、少しでもミスをした官僚を徹底的に干したり飛ばしたりする、いわゆる「恐怖政治」を政府の中で徹底しているからです。
つまり菅氏は、「加点法」ではなく徹底的な「減点法」で人事評価をしているのです。
そもそも「公僕」は、加点法(つまり、良いことをしたら褒められる)というシステムでは評価されますが「減点法」(悪い事をしたら、責められる)というシステムでは全く評価されないどころか、悪い官僚というレッテルを貼られてしまう存在です。
「減点法」だけが支配する組織の中では、「公僕」ではなく、「機械的役人」だけが高く評価されてしまうことになります。
そして、そういう機械的役人は、上司の顔色を伺って、「激しい忖度」を繰り返すのです。
というよりむしろ、菅氏は、官僚達に激しく忖度される事を意図して、内閣人事局をつくって減点法という「脅し」によって官僚達を震え上がらせ様としているのです。菅氏はそうやって官僚達を脅しながら自らの思いのままにコントロールしようとしたのです。つまり、官僚達が忖度しまくる現状というのは、菅氏が意図的に作り出した状況なのです。
言い換えるなら、菅氏は彼の官房長官時代から、官僚達の自由な発想を全てゴミ箱に捨て、人事という武器を使って部下を脅し、自分の言うことだけ聞くロボット、つまり「奴隷」を量産しようとしたわけです。
実におぞましい……。
いわば菅氏は、官房長官と総理大臣という日本最高峰の国家権力を駆使して「奴隷官僚量産作戦」を敢行したわけです。
今回の菅長男の総務省の接待問題は、そうした菅氏の「奴隷官僚量産作戦」の小さな帰結の一つにしか過ぎません。
「菅長男の息子と食事をすれば、総理に気に入られるかも」と浅ましく期待し、「逆に断れば、気分を害し干されてしまうかも」とみじめにも恐怖し、総務官僚達は皆、我も我もと菅長男の接待を受け続けたのです。
言うまでも無く、接待を受けた官僚達は皆、菅総理に会った時に「いやぁ、こないだご子息と食事ご一緒させていただきましたよぉ、デヘヘヘヘ」と揉み手擦り手で菅総理に媚びをうって,話しかけていたに違いありません。というか、そうして菅総理から気に入って貰いたいからこそ、総務官僚たちは、法律違反である事が明白な違法接待に喜々として毎月毎月、3年にもわたっていそいそ出かけていたのです。
だからこそ、菅総理は、自分の息子が官僚たちを接待しまくっていた事実知らなかったことは万に一つも、絶対の絶対にあり得ないのです。
ということは、菅総理は、その違法接待を辞めさせることは絶対に可能だったのです!
ということは、「息子の違法接待を、自らの権限で辞めさせることができたのに、その権限の行使をしなかった」ということなわけですから、これはもう、殆ど、「自分の総理権限を使って、息子の違法接待を手伝った、というよりむしろやらせた」ということと何も変わりません。
つまり、菅氏は「自分自身の官房長官や総理の権限を使って、自分の息子に利益を誘導していた」と解釈せざるを得ないわけです。
(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 〜日常風景から語る政治・経済・社会・文化論〜』2021年2月27日配信分より一部抜粋。続きはバックナンバーをご購入の上、お楽しみください)
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藤井聡 この著者の記事一覧
京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。
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