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ワクチン高齢者向け「6月末まで」は眉唾 河野発言根拠なし
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285801
2021/03/01 日刊ゲンダイ
無謀な公約(河野太郎行革担当相)/(C)日刊ゲンダイ
米ファイザー社製のワクチンの第3便(26万人分)が1日午前、成田空港に到着した。1、2便と合わせ、約68万人分を確保したが、菅政権の供給目標からは程遠い。国家プロジェクトが失敗に終われば、政権の命運はいよいよ尽きる。
「4月分は少し上積みできるのではないか」
ワクチン担当の河野行革相は2月28日、フジテレビの番組でワクチン供給に言及。具体的な供給量は「ファイザーと交渉中」を理由に明言を避けながら、4月12日から始まる高齢者向けワクチンについては、「5、6月で2回接種できるだけの量の供給が受けられる見通しだ」と期待感を示した。
だが、河野発言には何ひとつ根拠がない。高齢者向け接種に関して明確に示されている自治体への供給量は、たったの55万人分。高齢者3600万人の1.5%分に過ぎない。「6月末まで」に全量を確保できるかは眉唾だ。
1日から6月末まで18週ある。ワクチンが「毎週」空輸されるとしても、6月末までに3600万人分を確保するためには、週に200万人分を運んでこなければならない。
しかし現状の供給量は第1便が20万人分、第2便が22万人分、第3便が26万人分。6月末までに確保するならば、現状の10倍の量を空輸しなければならない。たとえ1日から「毎日」ワクチンが届くとしても、公約実現には空輸1回につき約30万人分が必要だ。
ペース倍増でも1年半かかる
第3便と同量が「毎週」空輸されたとしても、接種が最優先される医療従事者470万人分も合わせ、供給には約3年かかる計算だ。供給量を「少し上積み」どころか、倍増しても1年半かかってしまうのだ。
現実と目標の数字があまりにもカケ離れている状況に、全国の自治体からは不満が噴出している。27日の全国知事会では、「ワクチンはいつ、どれくらいの量がどういう頻度で供給されるのか、小出しではなく確定した情報を提供して欲しい」(新田富山県知事)などのクレームが相次いだ。
河野行革相は「批判は全部私が受ける」と見えを切ったが、本当に「6月末」の公約を守れるのか。「ワクチン接種は一大プロジェクト」(菅首相)だけに、約束の反故はジリ貧政権にとってトドメとなるに違いない。
ただでさえ、菅政権は総務省の接待問題や東京五輪の開催可否など、「爆弾」を抱えている。いつ吹っ飛ぶか、もはや時間の問題だ。
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