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総務省接待:菅首相の長男、東北新社「中途入社の経緯&異例スピード出世」が“不可解”
https://biz-journal.jp/2021/02/post_209744.html
2021.02.22 18:10 文=編集部 Business Journal
菅義偉首相のInstagramより
菅義偉首相の長男で、東北新社メディア事業部趣味・エンタメコミュニティ統括部長の菅正剛氏らから接待を受けた総務省幹部4人の更迭が決まった。騒然となる霞ヶ関官庁街を後目に、もう一方の当事者である東北新社内でも不穏な空気が流れ始めているようだ。
「週刊文春」(文藝春秋)のスクープで明らかになった一連の疑惑では、放送行政を所管する秋本芳徳情報流通行政局長ら4人が、衛星放送事業を担う東北新社幹部の正剛氏から高級飲食店で饗応を受け、手土産を受け取ったことが「利益相反」につながると世論から批判を受けている。
秋本局長らは国会審議の答弁で、会食では自身が所管する放送事業の話題はなかったと否定していた。ところが、文春オンライン(同)が17日に公開した記事『菅首相長男“違法接待” 総務省局長「国会虚偽答弁」の証拠音声』によって虚偽答弁であることが暴かれたのだ。
では、もう片方の当事者である東北新社はどうなのだろう。東北新社といえば、映画製作や、海外テレビ映画の輸入配給・字幕吹替事業、CM制作などで知られるマスメディア業界の名門だ。同社幹部は次のように話す。
「一連の騒動で、二宮清隆社長ら役員はすっかり色をなくしているようです。これまで弊社は業界では芸術的で上品なイメージを押し出してきたこともあり、『官界との泥臭い癒着』の報道は取り返しのつかないダメージです。社としても神経をとがらせていますよ。
首相官邸は即時、総務省内で『文春』への情報漏洩の犯人捜しを行ったようですが、それはうちも同じで情報漏洩者の存在に関して噂が流れ始めています。それこれも、『文春』報道の精度が高すぎるためです。例えば17日公開された正剛氏と秋本局長の音声ですが、『文春』の報道によれば客として会食会場にいた記者が録音したものとされています。
常識的に考えれば、その時間・場所に記者を紛れ込ませておくためには、まず会合の事前情報を得て、あらかじめ席を確保する必要があります。『尾行していたら偶然、正剛氏と秋本局長が店に入った』ということもあり得るものの、席が空いていなければ取材はできません。報道内容を見る限りもっと緻密な取材体制で行われた可能性が高いと思います。
結局、首相官邸が行った総務省内での漏洩調査に『アタリ』はなかったようです。そして残った可能性は、うちの関係者というわけです」
■たった9カ月の大臣秘書経験で中途入社、30代で子会社取締役
また、今回の騒動では正剛氏が東北新社に入社し、現在の立ち位置に至るまでの経緯にも注目が集めっている。別の東北新社社員の話。
「『文春』報道にある通り、正剛氏は本社の統轄部長であり、弊社の子会社である総務省認定の衛星基幹放送事業者『株式会社囲碁将棋チャンネル』の取締役です。囲碁チャンネルの取締役に関しては30代で就任しています。当人の社内での仕事ぶりや業績に関してはなにも言えませんが、個人的な感想として菅首相が総務相当時の大臣秘書官だった経歴と、なにより菅首相とのパイプがなければ、これほどのスピード出世はしていないと思いますよ。入社した2008年は弊社が衛星放送事業に力を入れ始めた頃と重なりますしね。
社員採用に関して弊社はクリエイティブディレクターやプロデューサー、プランナーを目指す若い人にとって、実績と実力が問われる狭き門として知られています。総合職、クリエイティブ職の中途採用のハードルも高く、そう簡単に入社できる会社ではありません。
正剛氏は政務秘書官をやる前はバンドマンだったそうなので、なにかしらクリエイティブなセンスがあったのかもしれません。しかし、頼みの綱の職歴である大臣秘書は9カ月で辞めている。20代の新人秘書が、その短い期間でなにか実績を築いたということなのでしょうか。いずれにしても、一般的な中途採用で入ってくる社員の経歴として、極めて異例だと思います」
■就職氷河期世代、大学在学時からバンド活動
ちなみに正剛氏は1981年生まれの就職氷河期世代だ。明治学院大在学中は「世界民族音楽研究会」に所属し、解散した音楽ユニット「キマグレン」のメンバーと組んでバンド活動をしていたという。当時の「世界民族音楽研究会」を知る同大OBは次のように語った。
「同時代に活動をしていた元『キマグレン』のISEKIさんは、今もセミ研(編集部注:世界民族音楽研究会の通称)だけではなく大学全体にとって伝説的な人物です。大学を去ってから、『キマグレン』を立ち上げ、いろいろ金銭面で苦労しながらも今もミュージシャンとして活動を続けていることで尊敬を集めています。当時は20社、30社面接を受けて全滅なんて当たり前の大不況・就職難の時代でしたから、音楽で一山当てようと意気込む同級生はたくさんいましたが、やっぱり別格だったと思います。
いろいろな理由で大学時代のバンドは解散するものですが、それでも音楽を続けていくかどうかは、各人のクリエイティブな資質と志向性の有無によるのだと思います。ISEKIさんにはそれが間違いなくあった。
世間一般では、成功しているのは正剛氏なのかもしれませんが、『文春』報道で正剛氏の記事と写真を見て、『ああ、なるほど。結局、こうなったのか』と少し残念な気持ちになりました。言えるのはそれだけです」
(文=編集部)
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