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「職業倫理」いずこへ マスコミはもう流れを変えたらいい 室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/285418
2021/02/19 日刊ゲンダイ
新聞社がスポンサーになるのは五輪史上初(C)日刊ゲンダイ
「五輪史上初めて新聞社がスポンサーになったことは諸悪の根源だと思います。大事な問題を批判できなくなってしまった。」(本間龍・ノンフィクション作家) |
これは2月15日に配信の『NEWSポストセブン』、『「五輪は中止せよ」と明確に書かない大新聞は、揃いもそろって五輪スポンサーになっている』という記事の中での本間さんの発言だ。
本間さんは、
『例えば、当初は7000億円とされていた開催費用は今や3兆円を超えています。なぜそうなったか、新聞社がきちんと検証して、そのつど批判すべきだったのにできなかったことが大きいでしょう。もちろん系列のテレビも批判しません。ほかにも、海外では大きく報じられている招致にまつわる裏金疑惑や、無償で11万人を働かせるというボランティア問題、酷暑の7月、8月開催の是非といった問題をことごとくスルーしてきたのです』
といっている。あたしもそう思う。ため息しか出ない。
最近のマスコミには職業倫理が感じられない。彼らが誰の側に立っているのか、わからない。
そして、あたしたちは権力に忖度するような記事を、金を払ってまで読もうと思わない。
マスコミが自社の生き残りを考え、とにかく金を稼がなきゃ、というのはわかる。でも、ほかの商売と違って、彼らが売らなきゃならないものは、あたしたちのためになる真実の情報だ。
マスコミはもうここら辺で流れを変えたらいい。国家プロジェクトのスポンサーになっていようが、国から広告費をもらっていようが、おかしい企業がスポンサーでついていようが、金をもらっていようがもらうまいが、「それが自分たちの本来の仕事であるので」と不祥事があったら堂々とその都度書けばいい。
そしたら、後ろに市民という大勢の味方がつく。権力側としたら、それは怖い。今より金も集まってくると思う。
室井佑月 作家
1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。
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