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コロナワクチン調達は綱渡り 116自治体が接種年内終わらず
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/285342
2021/02/17 日刊ゲンダイ
確定納期は「来週の第2便」のみ(河野行革相=16日)/(代表撮影)
新型コロナのワクチン接種が17日から始まった。13日に実施された毎日新聞の世論調査ではワクチンに「期待する」と答えた人が8割を超えている。国民の期待通りにコトは運ぶのか。
薬事承認された米ファイザー製のワクチンは医療従事者から接種される。約4万人の先行接種に続き、約370万人の医療従事者が予定されている。その後、約3600万人の高齢者は4月からの開始を目指す。
ファイザーからは今月12日に約20万人分のワクチンが到着済みだが、以降の納期は確定していなかった。ワクチンの調達を担当する河野行革相が16日夕方、会見。口にした確定納期は「(対日輸出の)第2便の承認が下りたので、来週には到着する見込みだ」と示したのみだった。
EU(欧州連合)は域内生産のワクチンの輸出統制を行っている。河野大臣は「1便ずつ(EUから)承認をいただくことになっている」と語った。1便ごとにEUの承認にヤキモキする綱渡りの調達なのだ。
「日本に回せる余裕が出るのを待つしか」
ワクチンを巡っては、政府内の齟齬や5回しか接種できない注射器問題など迷走が続く。接種を実施する市町村には困惑が広がっている。
AIによるワクチン接種予測を15日から始めたJX通信社の調査が衝撃的だ。同社は2月上旬に1700超の基礎自治体(市町村と特別区)に「ワクチン接種」に関するアンケートを実施し、662の自治体から回答を得た。国の情報提供は「やや足りない」(21%)、「もっと情報提供してほしい」(73%)と「情報不足」は9割を超えた。
接種が終わる時期については、23.8%が無回答だったが、76.2%が答え、「9月」が31%、「年内には終わらない」が23%だった。実に116の自治体が年内白旗ということだ。無回答の23.8%について、同社は日刊ゲンダイの取材に「見通しが立てられない自治体が少なからず含まれる可能性がある」と分析した。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏がこう言う。
「世界的にワクチンの全体数量が足りないので、EUが域内への供給を優先させるのは当然でしょう。現実的には全体の数量が増えて、日本に回せるだけの余裕が出るのを待つしかないでしょう。当面、厳しい状況が続くと思われますが、日本政府は契約内容や交渉状況を明らかにせず、国民に期待だけを抱かせています。マズい情報も開示して、契約の締結などで非があれば責任者の処分もすべきです」
前途は多難だ。
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