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森喜朗会長がついに辞任 ”鈴”をつけた菅首相の前途多難
https://dot.asahi.com/wa/2021021100019.html
2021.2.11 18:22 週刊朝日オンライン限定記事
辞意を表明した森喜朗会長(C)朝日新聞社
選手村村長の川淵三郎氏(手前左端)と選手村を視察するIOCのトーマス・バッハ会長(C)朝日新聞社
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
女性蔑視ととれる発言で炎上している東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が、女性を蔑視する発言をした責任を取り、会長をようやく辞任する。組織委が12日に開く緊急会合で表明する。 後任には、Jリーグの元チェアマン、川淵三郎氏(84)が有力視されている。
「森氏の失言は、政治家時代から知られるところ。総理の座を追われたのも神の国発言など、失言が重なり支持率が一桁台にまで落ち込んだことでした。今回も、反省の弁を述べても批判が一向に収まらないことで、自らが決断した」
森氏がかつて派閥の領袖だった清和会の幹部はこう話す。失言直後から退任する意向をみせていた森氏。だが、組織委員会の幹部の説得で思いとどまったと記者会見でも説明している。
東京オリンピック・パラリンピックの招致からトップの座につき、元首相という立場で仕切ってきた森氏。政官財、利権が入り乱れ、主張の違いや国際オリンピック委員会(IOC)との折衝もあり、それをまとめあげてきたのは確かに森氏の手腕だったのかもしれない。
「失言後、辞任意向だった森氏を一度は、説得して思いとどまらせたのは森氏のキャリアを重んじたからこそ。コロナ禍でオリンピック1年延期という異例の措置をまとめたのも森氏。意見と思惑が入り乱れるオリンピック委員会を抑えられるのは森氏しかいなかったからです」(JOC幹部)
自民党幹部はこう解説する。
「菅政権はコロナ対応で精一杯。重鎮の森氏がしっかり睨みを利かすことで、東京五輪を開催する方向で進めると頼りにしていた」
しかし、失言問題の批判は止まず、退任に追い込まれた森氏。一時は元首相の「同格」でなければならないと首相経験者として、安倍晋三前首相や小泉純一郎元首相の「待望論」が浮上していたが、後任は川渕氏に決まった。
「東京オリンピック・パラリンピックを誘致したのは安倍氏。こういう危機には安倍氏が一番だ。9月に首相辞任の際は、体調不良という理由だったが、最近では自民党の会合にも姿を見せて元気そうだ。だが、コロナ禍で東京オリンピック・パラリンピックが必ず開催される保証はない。その上、安倍氏は桜を見る会の問題で刑事告訴もされたので、話は消えた」(前出・自民党幹部)
マスコミの世論調査でも、森氏の失言は菅政権の支持率低下の要因になっていることがよくわかる。
そして、自民党の二階俊博幹事長も、森氏の失言後にオリンピックのボランティアを辞退者が急増していることについて「辞めたいなら新たに募集する」と発言し、炎上。菅首相はますます窮地に追い込まれていた。
「森氏の失言があまりに批判が根強く、菅首相も内心、森氏が辞任表明してくれないかと思っていた。マスコミの世論調査でも森氏の失言は問題という回答が9割もありましたからね。国会答弁で官邸が橋本五輪相に『不適切』と言わせたのは、抗議の現れでした。これまで『森氏に辞めてくれと誰が説得するのか』と押し付け合いになっていた。一時は森氏の説得を『安倍氏にお願いしては』との声もあった。しかし、森氏は母校の早稲田大学の1年先輩でもある川渕氏が引き受けてくれるならメンツも立つと退任を決めた。一番安心しているのは菅首相でしょう」(前出・自民党幹部)
しかし、コロナと同様、今回の問題も後手の対応だった。政権運営がますます厳しくなることは間違いない。
(今西憲之)
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