スペイン - クラシック音楽 一口感想メモ https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(Tomás Luis de Victoria, 1548 - 1611) 1600年頃の大改革以前のヨーロッパ音楽は、無伴奏の合唱が主体で正直言って初心者には違いがよく分からない。 しかし、ビクトリアははっきり違うことがすぐに分かる。神秘的で輝かしく、強い祈りの気持ちが現代人の耳にもよく伝わる。
死者のためのミサ曲 4.5点 ビクトリアの代表作。作曲家のところの説明で書いたとおり、神秘的で輝かしく、強烈な祈りの感情に圧倒される。 フアン・クリソストモ・アリアーガ(Juan Crisóstomo Jacobo Antonio de Arriaga y Balzola, 1806 - 1826) 交響曲 2.5点 1楽章はモーツァルトの影響が濃く、2楽章以降はベートーヴェン以降のロマン派黎明期という感じの音楽。国が違うことによる新鮮さがある。しかしキャリアとしてまだまだこれからだっただろうと思う内容。 弦楽四重奏曲 2点 民族的なフレーズなど楽しめる要素は多少あるものの、全体的にカルテットを扱う作曲技術の不足を感じてしまう。最終楽章のアレグロは頑張っていると感じたが。 パブロ・サラサーテ(Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz, 1844 - 1908) 大ヴァイオリニストとして有名であり、作曲家としてもあのツィゴイネルワイゼンの作者として有名。 ツィゴイネルワイゼン Op.20(1878年) 4.5点 技巧系ヴァイオリン音楽の代表作の一つ。粘っこくてタメがたっぷりの民族的なフレーズも早弾きも、めちゃくちゃカッコ良い。 イサーク・アルベニス(Isaac Manuel Francisco Albéniz y Pascual, 1860 - 1909) ピアノ音楽の大家。ピアノに適合したピアノ曲を書いたという点では、かなり上位の作曲家だと思う。 最初は親しみやすく難易度の低い作品を書いており、晩年になって難易度の高い傑作を書いた。 スペイン狂詩曲 3.3点 ピアノ協奏曲形式。かなり通俗的。わかりやすいメロディーはよいが18分もあるとさすがに気になる。ありきたりのメロディーの連続にも聞こえる。とはいえ、スペインらしさとピアノ協奏曲の華やかさを楽しめる。 ピアノ曲 古風な組曲 マズルカ スペイン舞曲 舟歌 組曲「スペイン」 全6曲。第2曲「タンゴ」が有名。「タンゴ」は熱気を含んだいかにもスペインらしい気だるさが心地よい曲。非常にいい曲である。 組曲「イベリア」全12曲 4.0点 晩年の名作。派手なパッセージはないのだが、演奏が難しいそうだ。たしかに楽譜をみると音だらけである。音楽はイメージの奔流であり内容が豊富で霊感にあふれている名作揃いである。ただし、曲の個性はあまり強くない。そのため統一感はあるが。ピアノ的な書法が素晴らしい。分かりやすい曲が多いアルベニスだが、この曲は成熟した大人っぽい雰囲気で不協和音も多くて渋い。明快な多くの作品と違い、複雑であり、何度も聞いても主なメロディーと構成が頭に入らず、すっきりと理解出来ない。20世紀のピアノ曲の名作のひとつ。霞の中のような感じで、幻想的で抽象的な場面が主である中に、スペインらしい現実感がたまに顔を覗かせる。そのさじ加減がよい。 ピアノソナタ5番 3.8 隠れた名曲。1楽章や3楽章のしなやかな叙情性の美しさが大変素晴らしい。ショパンと同様にピアノの機能と完全に結びつき同化した音楽であり、書法が見事である。ドイツ的なソナタらしい構築性や対比はそれほど見られないが、それを補ってあまりある詩情である。スペインとはどれだけ美しい国なのだろうか、と想像が膨らむほどである。早い2楽章と4楽章は短いので、主要ではない。落ち着きと旋律のよさが耳につく素晴らしいソナタである。後期ロマン派時代の屈指のピアノソナタであり、なぜマイナーなのか分からないほどだ。 ラ・ベーガ 3.0点 15分の大曲。変奏曲のように同じ動機を細かく変容させながら繰り返す部分を、いくつか組み合わせて作っている曲。伝説のような幻想的な雰囲気を漂わせる。ピアニスティックな場面も多い。内面的に情熱を持ちつつも、あまり全面に押し出さず奥ゆかしい。幻想曲のようであり、構成は弱いと思う。 スペインの歌
アストゥリアス(伝説) 4.0点 ずっとギター曲だと思ってた。ピアノ版もギターを模して書かれている。渋くてカッコいい。髭の濃いイケメンのスペイン人をイメージしてしまう。 エンリケ・グラナドス(スペイン語Enrique Granados y Campiña, 1867 - 1916) アルベニスと並ぶピアノ音楽の大家。 ゴイェスカス(1911)(全7曲) 2.3点 アルベニスの名作群と並び、スペインのピアノ音楽の名作として評価の高いゴイェスカスだが、自分はラローチャ大先生で何度も聴いても良さがほとんど理解出来なかった。心に引っかかるモノがほとんど無いまま曲が終わってしまった。将来いつかまた再挑戦しようと思うが、現時点の評価はとても低い。 マヌエル・デ・ファリャ(Manuel de Falla y Matheu, 1876 - 1946) 管弦楽曲が有名。しかし秀逸なピアノ曲もあり、バランスと総合性があるという点でスペイン近代の最高峰の作曲家である。 管弦楽曲 『三角帽子』 第1組曲 G.58、第2組曲 G.59 『恋は魔術師』組曲 G.69(7曲?) 4つの讃歌 G.86 協奏曲 交響的印象『スペインの庭の夜』 G.49 3.3点 ほぼピアノ協奏曲である。スペインらしい熱気をはらんだ空気が感じられる名作。 ピアノ曲 夜想曲/Nocturno [1899-1900年] マズルカ/Mazurka [1900年] アンダルシアのセレナータ/Serenata andaluza [1899-1900年] 歌/Canción [1900年] ヴァルス・カプリッチョ/Vals-capricho [1899-1900年] バレエ音楽《三角帽子》より 3つの踊り 小人の行列/Cortejo de gnomos [1901年] セレナータ/Serenata 演奏会用アレグロ/Allegro de concierto [1903年] 4つのスペイン小品/4 Piezas espanolas [1907-08年] ベティカ幻想曲(アンダルシア幻想曲)/Fantasia bética [1919年] 4.0点 スペイン音楽史上で最高峰のピアノ曲。他のファリャの作品はそうでもないのだが、この曲は非常にピアニスティックであり、ショパンのスケルツォやリストの大作などと同格の出来である。近代的なピアノな華やかさ、スペインの風情に彩られた表情の豊かさ、緊密でスケールの大きさを併せ持ち、大変レベルの高いピアノ曲である。 クロード・ドビュッシーの墓碑銘のための讃歌/Homenaje, pour le tonbeau de Claude Debussy [1920年] ヴォルガの舟歌/Canto de los Remeros del Volga ポール・デュカースの墓碑銘のための賛歌/Homenaje, pour le tombeau de Paul Dukas [1935年] 火祭りの踊り/Danza ritual del fuego [1914-1916年] ホアキン・トゥリーナ(Joaquín Turina, 1882 - 1949) ファリャに次ぐスペインの大作曲家。音楽は魅力的で、とても楽しませてくれる。 交響的狂詩曲 4.0点 弦楽が入っていないのに驚くほど色彩感が豊か。印象派のような音使いやスペインらしい情緒の豊かさ華麗さ濃さが、素晴らしいピアノにオーケストラにより描かれている。短いのに内容豊かな佳曲。 フェデリコ・モンポウ(カタルーニャ語:Frederic Mompou i Dencausse, 1893 - 1987) 大作曲家という感じではないが、イージーリスニング寸前のまったりピアノ曲は、そういう気分の時には使える。
内なる印象(Impresiones intimas - Planys)1911年〜1914年 ひそやかな音楽(Musica callada) 歌と踊り(Cançons i danses)全15巻 1921年〜1979年 ホアキン・ロドリーゴ(Joaquín Rodrigo Vidre, 1901 - 1999) ギターと管弦楽のための《アランフェス協奏曲》 5点 この人の他の曲は知らないが、この曲は素晴らしすぎる。有名な2楽章だけでなく、他の楽章も十分に素晴らしい。 https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3
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