ベイシー (BASIE) は、岩手県一関市に所在する、菅原正二[1]がオーナーをつとめるジャズ喫茶である。ベーシーと表記されることもある。 JR一ノ関駅から徒歩10分程度、一関第一高等学校から徒歩4〜5分ほどに位置する、音が良いことで有名なジャズ喫茶。店名の由来はカウント・ベイシーに因んでおり、実際にベイシー本人も、ここを何度も訪れている。学研刊『ジャズの教科書』では、「日本一のジャズ喫茶」と紹介され、「日本一音の良い喫茶店[2][3]」として知られている。店内は、薄暗い空間にオーディオ・システムが置かれ、常に大音量でジャズのLPレコードを再生する。稀にクラシックのLPレコードを再生することもある。国内のみならず、海外からも多数のジャズ愛好家が訪れ、ファンの間では、「ジャズの聖地」と呼ばれている[4]。アメリカのJBL本社からは、社長やエンジニア達がその音を聴くために訪れた[5]。著名なジャズ・ミュージシャンによるコンサートもたびたび開催されている。マスターの音に対するこだわりは強く、開店当初のスピーカーのエンクロージャーに、店内の柱を切って入れたこともある[注 1]。
歴史 1970年6月に、菅原家の土蔵をジャズ喫茶に改装して開店した[注 2]。開店後は、著名なジャズ・ミュージシャンのライブも開いている。東日本大震災の際に、地震の被害を受け、店内は散乱したことで、一旦営業を中止。同年4月26日に営業を再開した[注 3]。2階の土壁が落ちたり、梁にヒビが入るなどの被害があったものの、レコードは1枚も棚から落ちなかった[注 4]。 常連客 村松友視 - 菅原の仲人も務めるなど交友が深い。 タモリ - 毎年、この店を訪れることを公言している。「ヨルタモリ」で吉原という喫茶店のマスター役を演じたが、この人物はマスターの菅原をモチーフとしていた。 渡辺貞夫 - ほぼ毎年、この店でライブを開いている。ライブ観客として、滝川クリステルと鈴木京香が訪れたことがある。 色川武大(阿佐田哲也) - この店に通うために晩年に一関市に引っ越した。 坂田明 - この店でたびたびライブを開催している。 エルヴィン・ジョーンズ - この店でたびたびライブを開催していた。 ケイコ・リー - この店でたびたびライブを開催している。 マリーン - この店でたびたびライブを開催している。 永六輔 - この店でトークショーをたびたび開催していた。 立川談志 - この店で落語会を開催していた。 春風亭小朝 - この店で落語会を開催していた。 関連作品
CD 阿部薫『暗い日曜日』 WAX RECORDS/徳間ジャパンコミュニケーションズ (1997) 1971年12月6日にベイシーで録音された実況録音盤。 ケイコ・リー『誰よりも』 ソニーミュージック (2006) 2005年11月10日にベイシーで録音された実況録音盤。(3,4曲目のみ) ケイコ・リー『ライヴ・アット・ベイシー〜ウィズ・ハンク・ジョーンズ』 ソニーミュージック (2006) 2006年3月10日にベイシーで録音された実況録音盤。ケイコ・リー(vo),ハンク・ジョーンズ(p),坂井紅介(b)。 渡辺貞夫『ベイシーズ・アット・ナイト』 ビクターエンタテインメント (2007) 2007年4月17日にベイシーで録音された実況録音盤。渡辺貞夫(as),小野塚晃(p),納浩一(b),石川雅春(ds),ンジャセ・ニャン(per)。 アニタ・オデイ『恋をしましょう〜LIVE AT BASIE〜』 RATSPACK RECORDS (2007) 1978年7月2日にベイシーで録音された実況録音盤。アニタ・オデイ(vo),ドワイト・ディッカーソン(p),ハーヴェイ・ニューマーク(b),ジョン・プール(ds)。 ハンク・ジョーンズ『ジャム・アット・ベイシー フィーチャリング・ハンク・ジョーンズ』 ZZJA PLUS/ハピネット (2009) 2009年8月14日、15日にベイシーで録音された実況録音盤。ジャズ喫茶「ベイシー」40周年記念企画。クリスタルディスク(ガラスCD)、グリーンレーベルコートCD、アナログ・ディスクの3形態で発売された。ハンク・ジョーンズ(p),デイヴィッド・ウォン(b),リー・ピアソン(ds),レイモンド・マクモーリン(ts)。 『A DAY AT JAZZ SPOT ‘BASIE’ selected by Shoji"Swifty"Sugawara』 ステレオサウンド (2011) マスター自ら選曲した2枚組、全20曲のコンピレーション・アルバム。ステレオサウンド・リファレンス・レコードシリーズ。ハイブリッドSACD、音匠仕様。アナログ・マスター・テープからDSDによるトランスファー、及びリマスタリングが施された。 『カウント・ベイシー・ルーレット・コレクション―全24タイトル』 ワーナー・ミュージック・ジャパン(2015) マスターが監修した、1957年〜1962年のルーレット時代のカウント・ベイシーのアルバムを再発したシリーズ。オリジナル・マスターを取り寄せ、マスター監修のもと、リマスタリングが施された。シリーズ中13タイトルが日本初CD化作品。 書籍 村松友視『ベーシーの客』マガジンハウス、1998年6月 菅原昭二『ジャズ喫茶「ベイシー」の選択』講談社、1993年4月 菅原正二『ジャズ喫茶「ベイシー」の選択:ぼくとジムランの酒とバラの日々』講談社〈講談社+α文庫〉、2001年6月 菅原正二『サウンド・オブ・ジャズ!:JBLとぼくがみた音』新風舎〈新風舎文庫〉、2007年3月 菅原正二『ぼくとジムランの酒とバラの日々』駒草出版、2010年3月 菅原正二『聴く鏡 1994〜2006』ステレオサウンド〈SS選書〉、2006年4月 菅原正二『聴く鏡U 2006〜2014』ステレオサウンド〈SS選書〉、2014年4月 『別冊ステレオサウンドジャズ喫茶ベイシー 読本 BASIE 50th Anniversary』ステレオサウンド、2020年5月 映画 『影裏』大友啓史監督作品、2020年2月公開 この店がロケ地となった。 『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩-Ballad』星野哲也監督作品、2020年9月公開 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%BC
|