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(回答先: NASAが見つけた「ほぼ地球みたいな惑星」 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 19 日 15:41:52)
火星に生命が誕生していた可能性が……?
火星で発見された「小さな石」が世界を沸かせる訳
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https://news.yahoo.co.jp/articles/07e71bd02915bed501fb4223df03ba90ba09d684
火星に生命が誕生していた可能性が……?(写真:Merlin74/PIXTA)
人類は、半世紀以上にわたり、巨額の予算をかけて、火星にたくさんの探査機を送りこんできました。そして2021年9月、アメリカの「パーサヴィアランス」が火星地表の岩石サンプルを採取した、というニュースが世界をかけめぐったのです。
なぜ、手のひらに乗るぐらい小さな「石」が注目を集め、その獲得が歴史的偉業とされるのでしょう? それは、地球以外でいまだ見つかっていない「生命」の痕跡を秘めている可能性があるからです。
【写真】かつての火星の姿とは?
『生き物がいるかもしれない星の図鑑』を著した荒舩良孝氏が、火星と生命をめぐる最新事情をご案内します。
■火星人はいないが、微生物は存在する?
太陽系の第四惑星、火星。地球のすぐ外側に位置する惑星であり、よく観測されている天体の1つです。既に、アメリカを中心として、旧ソ連、ヨーロッパ、インド、中国などの国や地域が火星に探査機を送ってきました。
これらの探査によって、火星は過去、地球のように温暖湿潤で、液体の水が豊富な惑星だったかもしれないということが明らかになってきています。現在の火星は、赤く乾いた大地が広がる惑星で、生命の存在はほぼ感じられません。ときおり吹きあれる砂塵嵐は、生命に対して過酷な環境であることをさらに強く印象づけます。
しかも、火星表面にはほぼ大気がなく、表面はほとんどの場所で0℃以下です。年間を通じて最高気温は20℃程度、最低気温はマイナス140℃以下となり、年間の平均気温はマイナス40℃に届きません。このような惑星が、過去に温暖湿潤だったなんて、にわかには信じられない話かもしれません。
しかし、火星の表面を調べてみると、海や川がないとつくられるはずのない堆積岩が存在すること、液体の水が存在することでできる鉱物などが発見されました。これらの発見は、過去の火星の表面には、地球と同じように、海や川といった液体の水が存在していたことを示しています。
そして、海や川があったということは、生命が誕生していた可能性もあるのです。火星では、まだ生命が発見されていませんが、過去の火星には生命が存在していたかもしれません。現在の火星探査では、微生物そのものを発見するための探査もおこなわれていますが、過去の微生物が残した痕跡も探しています。その痕跡が見つかるだけでも、地球以外の天体に生命がいた証拠になるので、宇宙生命科学にとって大発見となるのです。
■本当に水の豊かな青い星だったのか?
火星が温暖湿潤の気候だったのは、誕生から3億年ほどの間であったと考えられています。それより時間が経つと、火星の大気は急速に失われ、現在のような荒涼とした環境になったといいます。このような環境で生命が暮らしていけるのでしょうか。
生命が存在するためには、「有機物、液体の水、エネルギー」の3つの要素が必要だといわれています。実は、これまでの探査から、火星の地下には氷や水が存在することがわかってきました。
例えば、2007年に打ち上げられ、2008年に火星の大地に降り立ったアメリカの着陸機マーズ・フェニックス・ランダーは、北極地方の地面に深さ7〜8cmほどの溝を掘り、白い物体が存在することを発見しました。この物体は、発見から4日後には消えてしまったので、氷や霜であると考えられています。その後、フェニックスがこの土壌を加熱したところ、水蒸気が発生したことから、白い物体は氷や霜である可能性が高まりました。
また、2005年に打ち上げられ、2006年に観測を始めたアメリカの周回機マーズ・リコネッサンス・オービターは、夏に現れて秋になると消えていく、謎の縞模様を発見しました。この縞模様は、夏になると繰り返し現れます。そのため、「RSL」(Recurring Slope Lineae:繰り返し現れる斜面の筋模様)と呼ばれました。
この模様は、まるで液体の水が流れた後のように見えることや、含水鉱物がたくさん含まれていることなどから、火星の地下に氷や水が存在する証拠の1つと考えられています。
■生命の痕跡を探す旅は続く
もし、火星の地下に氷や水がたくさんあれば、微生物が存在する可能性も高まります。火星の地下に氷や水、そして微生物が存在することを示す直接的な証拠の発見が待たれており、現在、火星にはたくさんの探査機が送りこまれています。
その中で特に注目されているのが、2021年2月に火星に到着したアメリカの探査車、パーサヴィアランスです。
パーサヴィアランスには23台のカメラと7種類の観測装置が搭載されており、火星の大気や地質などを詳しく調査していきます。その中のシャーロックという装置は、アームの先端に取りつけられた、有機物や鉱物を分析できる顕微鏡などの機器で構成されており、過去に存在していたであろう生命の痕跡を探します。
また、インジェニュイティと名づけられたヘリコプター型のドローンも搭載されていて、これまで誰も目にすることのなかった鳥のような視点で、火星の大地を見ることができます。これによって、周回機では見落とされていた新たな地形が見つかる可能性もあります。
さらにパーサヴィアランスは、火星の土壌を地球に持ち帰るサンプルリターン計画の一翼を担っています。まず、パーサヴィアランスは火星の岩石を採取し、チューブ状の容器に密封しました。現在は車体内に保管されていますが、いずれ、火星の表面に置かれる予定です。この容器は、回収用の探査車、帰還ロケット、周回機を利用して地球に送られます。
この探査車、帰還ロケット、周回機はともに2026年に打ち上げられ、2028年頃に火星に到着することになっています(2021年現在の予定)。
■火星と生命の関係を解き明かす
到着した探査車は、パーサヴィアランスが残した容器を拾い集め、カプセルにまとめます。そのカプセルを帰還ロケットに載せ、火星の地表から打ち上げることで、火星上空の周回機へとカプセルが渡るようにするのです。
そして、カプセルを載せた周回機は、火星の軌道を離れ、パーサヴィアランスが採取したサンプルを地球へと送り届けます。今回のサンプルを地球に持ち帰ることができれば、最新鋭の機器で詳しく分析できるので、火星と生命の関係がさらに解き明かされることになるでしょう。
さて、火星以外についてもこの数十年で研究が進み、宇宙には生命が存在できそうな天体がたくさんあることがわかってきました。
宇宙人や地球外生命体はフィクションの中で終わらず、科学の手が届くものになったのです。太陽系内によく目を向ければ、生命存在の可能性が語られる天体がさらにあることに気づくでしょう。
そして地球から遠く離れた、太陽系の外にも、生命の存在が期待される惑星はたくさんあるのです。そう考えると、秋の夜長に見上げる空も、今までと違って見えてきませんか?
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