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(回答先: 20世紀の作曲家 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 27 日 23:28:53)
アルバン・ベルク(Alban Maria Johannes Berg, 1885 - 1935)
シェーベルクよりも「いい曲」であり「また聴きたい」と素直に感じる作品が多い。無調の作曲家ではあるが強く心に訴えるものがある。
ピアノ・ソナタ Op.1
4点
この曲は好きだ。独特のロマン派的感動エネルギーを内包しながらも。無調の世界を時折予感させるような不安定な調性。センス良く多重的に音の積み重ね続けて構築された世界は個性的な精神世界を生み出しており、ピアノの美しさを引き出している。ロマン的な世界など、断片的に一瞬だけ古い音楽を見せるのが効果的。聴後感がよいため、また聴きたくなる。
弦楽四重奏曲 Op.3
3.5点
無調のカオスが渦巻いたり、虚無的な音が鳴り響いて精神的な闇の底を露わにしたり。ピアノソナタ程の美しさと天才性はないと思うが、無調性の音楽の初期の時代の作品としてはよい作品。ピアノソナタと同様に、1曲しか無いのが残念である。
管弦楽の為の3つの小品 Op.6 (1914年 - 1915年/1929年改訂)
3.0点
独自のニュアンスに満ちた曲である。現実的な何かを連想できない前衛的で思弁的な哲学的な曲のため、難解であり聴き方が難しい。とはいえ、骨太のスケール感や、様々なものが強引にごった煮のように混ぜられたカオスや、そのなかに姿を見せるベルク独特の叙情は楽しめる。3曲で20分程度だが、長さ的には密度を保ち聴き手として楽しめる限界と感じた。
歌劇「ヴォツェック」 OP.7 (1925年初演)
4.0点
舞台を見ないで音楽だけ聴いても、相当に優秀な音楽であることがよく分かる。無調らしい不条理の表現が大成功しており、音楽の緊密さも高い。そして、音楽が劇的な物語表現と役者の表現行為への音楽の貢献が素晴らしい。器楽曲だけではなかなか分からないベルクの音楽が持つエモーションの力の強さに驚愕する。音楽の新しい表現世界を切り開いており、これ一曲でもベルクの名前は音楽史に残っただろう。
室内協奏曲 (1923年 - 1925年)
3.8点
音感の良さが感動的なレベルにある。無調であるのに、音があるべき所にあるため、なんとも素晴らしい心地よさである。ベルクらしい見事な表現の力を発揮しており、情熱的な精神と、高雅で高貴でありかつ厳しさを併せ持ったものが表現されている。特殊構成の曲であるが、ここ音のバランスがまた絶妙だ。管楽器が邪魔せずに控えめな柔らかさが対比されてよい雰囲気を作っている。ヴァイオリンとピアノの鋭さをうまく適度に中和している。かなり感心した。
抒情組曲 (1925年 - 1926年)
3.3点
これが抒情的かというと、音楽だけから内容を読み取るのには苦労が伴う。しかし、うまく感じ取ることに成功すると、情熱や甘酸っぱい思い出や悲哀や不条理を感じ取ることは可能だろう。強く感動するほどではないが、無調独特の灰色の世界と、同色の音色である弦楽四重奏で表現される抒情的音楽に、それなりの感慨を感じる。
4つの小品 Op.5
3.8点
クラリネットとピアノの曲。4つの曲だがごく短くて、あっという間に終わる。内容が非常に示唆的であり未来的とも言える。感性を強く刺激することではかなりのインパクトがある。音感の良さとセンスに感服する。空白が活かされており、日本的なわびさびに通じるものある。この曲は個人的には、かなり好みでありツボである。
ヴァイオリン協奏曲 (1935年)
3.3点
自分と曲との相性が悪いのか、聴いた演奏のせいか分からないが、自分にはベルクの代表作とされているほどのものを感じない。ヴァイオリン協奏曲としてのフットワークの良さや協奏の楽しみや、場面の変化による構成の楽しみが足りないからかもしれない。ベルクらしい無調であるが調性的な中心感がある音楽はここでも健在である。無調というよりむしろ、予想を外すことが多い調性曲という趣の場面も多い。無調が持つ独特のはかなさや超常的な透明感と美しさ、緊張感をうまく活かした曲調である。ヴァイオリンが出ずっぱりの活躍である。最後の完成作品として到達した完成度の高さはよく分かる。
ルル組曲 (1928年 - )
3.0点
オペラの一部分を組曲にしたもので、短い時間だけであるが歌も入る。オペラ的、もしくは映画音楽的という印象である。あまり管弦楽曲としての純度は高くない。無調的な映画音楽と考えて聴けば面白いけれども、密度が高くないのはやはり物足りないと感じる。音楽だけを聞く限りは、あまりストーリーも感じられない。
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF
アルバン・マリーア・ヨハネス・ベルク(Alban Maria Johannes Berg, 1885年2月9日 - 1935年12月24日)は、オーストリアの作曲家。 アルノルト・シェーンベルクに師事し、アントン・ヴェーベルンと共に、無調音楽を経て十二音技法による作品を残した。十二音技法の中に調性を織り込んだ作風で知られる。
経歴
ベルクはウィーンで富裕な商家の子供として生まれた。幼い時から音楽や文学に興味を抱き早熟な少年時代を送る。15歳の時、父が没した頃から独学で作曲を試みるようになる。この時の現存する多数の歌曲は1980年まで封印されていた[1]。
1902年にはベルク家の別荘で働いていた女中、マリー・ショイヒルとの間の私生児(娘)の父となり、翌年にはギムナジウムの卒業試験に失敗して自殺を図るなど10代後半の私生活は波瀾に彩られたものだった。
1904年、ベルクの兄が弟の作品をシェーンベルクのもとに持ち込み、シェーンベルクや同門のヴェーベルンとの交友が始まる。ベルクはギムナジウム卒業後、公務員となるが作曲活動に打ち込むためわずか2年で辞職し、ウィーン国立音楽院へ。
1907年、「4つの歌曲」Op.2などの曲で本格的な作曲家デビューを飾る。
1908年7月23日、宿痾の病となる喘息を発病、この時23歳だったベルクは「23」という数字を自己の運命の数と決め、この数は以後の作品の構成を彩る事になる。
1911年、声楽を学んでいたヘレーネ・ナホフスキーと結婚。ヘレーネの母アンナはオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の愛人として知られ、ヘレーネは皇帝の庶子とも言われており、ベルクの周辺では気位の高い女性として知られていた。
1912年、「アルテンベルク歌曲集」Op.4を完成するも師シェーンベルクの反応は色よいものではなく、この歌曲集の完全初演はベルクの死の17年後まで持ち越される。
1914年、ゲオルク・ビューヒナーの戯曲「ヴォイツェック」の上演に接したベルクはこの戯曲を基にした無調音楽のオペラの作曲を始めたが、この年に第一次世界大戦が勃発、翌年から兵役に服する事になり作曲が不可能になったが、1917年になって休暇を与えられ、歌劇「ヴォツェック」 OP.7の作曲再開に踏み切った。「ヴォツェック」の完成はその5年後の事である。
「ヴォツェック」完成後、シェーンベルク50歳の誕生日に献呈するべく、ピアノ・ヴァイオリン・13管楽器のための室内協奏曲に取り組むも50歳の誕生日には間に合わず、1925年に完成する。
その同じ年に歌劇「ヴォツェック」がベルリン国立歌劇場でエーリヒ・クライバーの指揮によって初演された。初演にあたって34回ものオーケストラ練習と14回のアンサンブル練習が行われ、分奏を含めると総計150回の練習が行われたという。ベルクと指揮者は激しい批判に晒されるが、この作品によってベルクの作曲家としての名声は揺るがぬものとなった。この年、プラハ訪問中に知り合ったハンナ・フックス=ローベッティーンとの不倫関係が始まり、この関係から「抒情組曲」という音楽的果実が実る事になった。
1928年、フランク・ヴェーデキントの戯曲「地霊」および「パンドラの箱」に基づく歌劇「ルル」の作曲に取り掛かるも、翌年には「ルル」の作曲を一時中断、演奏会用アリア「ワイン」を作曲した。
「ヴォツェック」の成功によって順調であるかに見えたベルクの作曲家人生は、1933年のナチス・ドイツ政権発足によって暗転する。師シェーンベルクと共に(ベルクはユダヤ人ではないが)ベルクの音楽も「退廃音楽」のレッテルが貼られ、ドイツでの演奏が不可能になる。
1935年、アルマ・マーラーと彼女の2番目の夫ヴァルター・グロピウスとの娘でベルクも可愛がっていた、マノン・グロピウスの訃報に接し、「ルル」作曲の筆を再び置いて、ベルクとしては異例の速筆でヴァイオリン協奏曲(「ある天使の想い出に」)を書き上げる。しかし、協奏曲完成の直前に虫刺されが原因で腫瘍ができ、これが悪化、手術を受けるも敗血症を併発しこの年の12月24日に50年の生涯を閉じた。
未完のまま遺された「ルル」は完成していた2幕までと「ルル組曲」の抜粋という形で初演されたが、未亡人ヘレーネは補筆を禁じ、3幕の形での「ルル」(フリードリヒ・ツェルハ補筆版)初演はヘレーネ没後の1979年にパリのオペラ座にて行われた(パトリス・シェロー演出、ピエール・ブーレーズ指揮)。ヘレーネがここまで頑なになったのは、第二次世界大戦後にショイヒルの子と会ったこと、ベルクとハンナとの不倫を知ったことによる夫への反感から情報をコントロールしようとしたことが原因とされる[2]。
主要作品
7つの初期の歌曲
ピアノ・ソナタ op. 1
弦楽四重奏曲 op. 3
アルテンベルク歌曲集 op. 4
管弦楽の為の3つの小品 op. 6 (1914年 - 1915年/1929年改訂)
歌劇『ヴォツェック』 op. 7 (1925年初演)
室内協奏曲 (1923年 - 1925年)
抒情組曲 (1925年 - 1926年)
ヴァイオリン協奏曲 (1935年)
歌曲集「私の両眼を閉じてください」
管弦楽伴奏歌曲「ワイン」
歌劇『ルル』(1928年 - /未完成)
編曲
フランツ・シュレーカーの歌劇《はるかなる響き》のヴォーカルスコア(1911年)
アルノルト・シェーンベルクの《グレの歌》のヴォーカルスコア(1912年)
シェーンベルクの《弦楽四重奏曲第2番》の後半2楽章(同上)
ヨハン・シュトラウス2世のワルツ《酒、女、歌》(1921年)
- アルバン・ベルク『ヴァイオリン協奏曲 ある天使の思い出に』 中川隆 2021/10/06 14:29:26
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