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ゼレンスキーはウクライナ国民にとって最悪の大統領になるのか 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/307210
2022/06/24 日刊ゲンダイ
仏独伊3カ国の首脳がウクライナ首都キーウを訪問、共同会見をするゼレンスキー大統領(左2)/(C)ロイター
ウクライナ情勢に関する基本構図は明確になった。米国などNATO諸国の武器供与によって、もはやロシア軍がウクライナ全土を支配することはない。他方、米国の提供する武器は防御が主体で、東部で優勢に立ったロシア軍を一掃する武器は与えていない。
西側諸国の武器供与の基本方針は「ロシア軍を勝たせない」「ロシア軍に勝利するだけの兵器は与えない」である。
米国は戦闘の長期化を意図している。長期化させることで、戦争に従事するロシアを疲弊させる。そして、ロシアの脅威を見せつける形をとることで、NATO諸国を米国戦力の下に置く。これで欧州諸国に防衛費拡大をさせる。防衛費拡大をさせれば、その半分は米国兵器を買うことになり、米国軍事産業は潤う。
戦争の長期化で米国軍事産業が潤うことは間違いないが、ウクライナはどうなるのか。
今、800万人以上の人が国外逃亡している。もちろん、十分な居住地や職業はない。底辺の生活を余儀なくされる。
東部での戦闘は激しく、ウクライナ兵は1日100人以上が死んでいる。この数字はベトナム戦争で最も激しい戦闘が行われていた時の米国兵の死者数と同じレベルである。そして戦争の継続でウクライナ国土は疲弊する。世界銀行は今年のウクライナのGDPは40%程度ダウンする、と予測していた。
「ロシア軍を勝たせない」「ロシア軍に勝利するだけの兵器は与えない」という西側の戦略で、ウクライナ国民は徹底的に蹂躙される。
ウクライナがこれから脱する道はあるのかと言えば、ある。@NATOをウクライナに拡大しないA東部をその地の「自決権」に委ねる──。これらは歴史的、国際条理に基づいて決して無理な条件でない。@は1990年にベーカー国務長官がゴルバチョフ氏らに約束したことである。さらに民族の自決権は国連憲章第1条の目的に謳われた原則である。
ゼレンスキーは「ウクライナ東部の最後の1メートルまでとり戻す」と言っている。しかし、武器を全面的に依存している米国は「ウクライナに負けさせず、勝たせない」程度の武器を与え、戦争の長期化を図っているのである。ウクライナ国民の視点に立てば死者は出す、国土は疲弊するのである。ゼレンスキーはウクライナ国民にとって最悪の大統領となるのではないだろうか。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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