ロシアの優勢で一段落しているウクライナ 2月25日の開戦から百日目の6月4日、ウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシ アに領土の2割を奪われた状態にあると表明した。ロシア系住民が多いウクライ ナ東部のドンバス2州(ロシアから見ると、すでにウクライナから分離独立した ドネツクとルガンスクというドンバス2カ国)で、ロシア軍がウクライナ軍を大 体追い出した。ウクライナ戦争はロシアの勝ちで一段落している。ロシア側は余 裕があり、対照的にウクライナ側は軍が疲弊して限界に達している。軍を酷使す るゼレンスキー政権と軍部の間に対立があると、ベラルーシのルカシェンコ大統 領が指摘している。軍や極右民兵団は、ポーランドがウクライナ西部を事実上併 合する件をゼレンスキーが了承していることにも不満だ。 https://www.zerohedge.com/geopolitical/invasion-enters-100th-day-russia-now-holds-20-ukraine-zelensky As Invasion Enters 100th Day, Russia Now Holds 20% Of Ukraine: Zelensky https://www.rt.com/russia/556583-ukraine-zelensky-lukashenko-poland/ Ukrainian military at odds with Zelensky - Belarus
https://tanakanews.com/220505russia.htm 同盟諸国とロシアを戦争させたい米国 ロシア側から見ると、露軍は正義の戦いに勝っている。米国が2014年にウクライ ナの政権を転覆して極右とすげ替え、極右民兵団などがロシア系住民を殺そうと する内戦に入って以来、ロシア政府は、ウクライナ在住の同胞(ロシア系ウクラ イナ人)を守ること(邦人保護)を重視してきた(ソ連時代の名残で、旧ソ連諸 国の各地にロシア系住民がいる)。米国は昨年末から、ゼレンスキー政権を動か してウクライナ東部のロシア系住民への攻撃を強めさせ、ロシア軍がウクライナ に侵攻せざるを得ない状況を作り、2月25日の開戦を誘発した。露軍は百日かけ てドンバスからウクライナ軍をほぼ排除し、首都キエフ周辺のウクライナ側の軍 事施設も緒戦で破壊し、ドンバスのロシア系住民が安心して暮らせる状態をおお むね実現した。 https://tanakanews.com/220429baud.htm ウクライナ戦争で最も悪いのは米英 https://tanakanews.com/220124ukraine.htm ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも 露軍はだいたい予定通り戦争(特殊作戦)を完遂している。露軍は大失敗してい るという、いまだに続いている日本など米国側のマスコミ報道は大幅に間違って いる。2週間ほど前、露軍がハルキウ市街から郊外へ撤退し、それはウクライナ 軍が米国から届いた対戦車砲を使って露軍に反撃し始めたからだと言われた。こ れから露軍の敗退が加速し、ウクライナ軍が建て直して勝っていくとの憶測も流 れたが、結局ウクライナ軍が奪還したのはハルキウ市街だけに終わり、他の場所 は露軍が優勢のままだ。 https://tanakanews.com/220525hybrid.htm 複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ https://tanakanews.com/220326russia.htm ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧 露軍は自国の国境から遠くない地域に展開しており、補給が簡単で敗北や困窮の リスクが少ない。露軍が飢えているという報道はウソだ。露軍港があるので2014年 に併合したクリミアと、ロシア本土との間を陸地でつなぐことも達成した。 あとは、南部の黒海岸のオデッサから、モルドバから分離独立して露軍が駐留し ている沿ドニエストルまでの地域を取るのかどうか、ハルキウやその先の対露国 境に沿った北東部の地域を取るのかどうか、といったところが露軍の今後の展開 の可能性だ。どう展開するにせよ、ロシアは急いでやらない。ロシアなど非米側 と米国側の対立が長引くほど、米国側が自滅して覇権が多極化してロシアに有利 になる。ロシアは今後もゆっくりやる。それを米国側マスコミが、ロシアは失敗 していると勝手に勘違いし続ける。 https://tanakanews.com/220425novorussia.htm ノボロシア建国がウクライナでの露の目標? https://tanakanews.com/220320ukraine.htm ウクライナで妄想し負けていく米欧 米政府は巨額の予算をつけ、ウクライナに大量の兵器を送り込んでいることにな っている。送り込んだ兵器がどこでどう使われているか、本来は米国防総省が追 跡して把握すべきなのだが、追跡はほとんど行われていない。国防総省自身がそ れを認めている。ハルキウでウクライナ軍が米国から送られた対戦車砲を使って 露軍を後退させたのであれば、少なくともハルキウでは米国からの兵器が使われ たことになる。だが、他の場所で露軍が優勢なままなので、ウクライナ全体とし て米国からの対戦車砲はあまり使われていない感じだ。米国が膨大な兵器を送っ ても、一部しかウクライナで使われず、残りは兵器のブラックマーケットに流さ れ、世界の他の場所でテロリストや犯罪組織に使われてしまうとインターポール が警告している。 https://www.rt.com/russia/556532-interpol-weapons-ukraine-hands-criminals/ Weapons sent to Ukraine could get into wrong hands - Interpol https://news.antiwar.com/2022/06/02/pressure-mounts-on-pentagon-over-lack-of-oversight-for-ukraine-military-aid/ Pressure Mounts On Pentagon Over Lack Of Oversight For Ukraine Weapons 米国側が兵器を実際にウクライナに送っているのなら、そこからウクライナ政府 の腐敗した高官によってブラックマーケットに横流しされる懸念になるが、実際 に兵器が送られておらず、国防総省の下請け会社や軍事産業で資金洗浄されて米 国の政界や諜報界の裏金や横領金に化けている可能性もある。最近の記事でその 可能性について書いた。 https://tanakanews.com/220518ukrain.php 米政治家らに横領されるウクライナ支援金 ウクライナ戦争の米国側は、プロパガンダの分野でもインチキが横行している。 ウクライナ政府のデニソバ人権監督官(Lyudmyla Denisova)は、露軍兵士がウ クライナで市民を強姦したり性的に残虐な殺し方をしているといった話を、4月 の2週間に400件、米国側のマスコミに流し、米タイム誌などがさかんに喧伝した。 だがその後、ウクライナのNGOが、露軍兵士に強姦された被害者たちの救援事業 をやって米欧政府などから補助金や支援金を集めるため、デニソバ人権監督官の 強姦話を一つずつ検証して被害者や家族など関係者に会っていこうとしたところ、 具体的に検証していける話がなく、デニソバが話をでっち上げていたことが わかった。 https://www.zerohedge.com/geopolitical/ukraine-fires-human-rights-chief-perpetuating-russian-troop-systematic-rape-stories Ukraine Fires Own Human Rights Chief For Perpetuating Russian Troop 'Systematic Rape' Stories 加えてデニソバは、ウクライナ政府からロシアに行って捕虜交換の話をまとめて こいと言われたのに西欧に行って休養していたことも発覚し、NGOからの抗議を 受けてウクライナ議会が調査し、5月31日にデニソバを罷免した。デニソバは辞 めさせられたが、無根拠なのに無検証のまま報道したタイム誌など米国側マスコ ミは訂正記事も出さず、米欧日の多くの人がインチキな露軍強姦話を軽信したま ま生きている。今回の戦争で米国側のプロパガンダづくりを担当している英諜報 界がデニソバに入れ知恵した可能性があるが、デニソバがなぜ突然に大量の作り 話をでっち上げて流布したのかも不明だ。 https://www.moonofalabama.org/2022/05/rape-allegations-against-russian-troops-in-ukraine-were-fake.html Rape Allegations Against Russian Troops In Ukraine Were Fake https://www.dw.com/en/why-ukraines-human-rights-chief-lyudmila-denisova-was-dismissed/a-62017920 Why Ukraine's human rights chief Lyudmila Denisova was dismissed 開戦以来、ウクライナの優勢と露軍の惨敗という、事実と逆のことばかり報じて きた米国側のマスコミは、最近になってようやくウクライナ側が苦戦している事 実を報じ始めた。NYタイムスは5月10日にウクライナ軍の苦戦ぶりを初めて報じ た。5月26日にはワシントン・ポストが、外国から来た義勇兵と傭兵たちを酷使 しすぎているウクライナ軍を初めて批判的に報道した。5月23日には米外交・諜 報界の重鎮であるキッシンジャー元国務長官が、ウクライナでのロシアの勝利は すでに確定的だから外交交渉で停戦するしかないと指摘した。 https://www.nytimes.com/2022/05/10/world/europe/ukraine-russia-donbas.html Ukraine War's Geographic Reality: Russia Has Seized Much of the East https://www.washingtonpost.com/world/2022/05/26/ukraine-frontline-russia-military-severodonetsk/ Ukrainian volunteer fighters in the east feel abandoned 開戦以来、事態を傍観してきた米諜報界の古株たちが、もうこれではうまくいか ない、もうやめろ、とタオルをリングに投げ込んでいる。しかしおそらく、今の 諜報界やバイデン政権を握っている「民主党左派に移ったネオコン筋」は、古株 からの警告を無視して無茶な戦争やロシア敵視を続ける。ネオコン筋は、外交や 戦争を過激に稚拙にやって米国覇権を自滅させる隠れ多極主義者だから、ここで 自滅策をやめるはずがなく、むしろこれからが本番だ。 https://tanakanews.com/220526elonMusk.php 左派覇権主義と右派ポピュリズムが戦う米国 https://tanakanews.com/220515intel.htm 米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化 対露経済制裁など複合戦争の面でも、ロシアの優勢と米欧の不利が増し、逆転不 能な確定状態になってきている。EUはロシアからの石油ガスの輸入を止める対露 制裁をやると言いつつ、実際はほとんど何もできないことが露呈している。欧州 諸国はロシアの天然ガスを買い続けているし、石油もパイプラインでの輸送分は 制裁しないことを決めた。船積み輸送分は、インドなど非米国がロシアから買っ た石油を転売してもらうことで欧州諸国が買い続けられる。製油所の多くは特定 の油質の原油しか精製できず、欧州にはロシアのウラル原油しか精製できない製 油所が多いので、ロシアからの輸入を止められない。インド勢はロシアに値引き させて原油を大量に買い込み、欧州などに転売して大儲けしている。半面、欧州 は合計で1兆ドルのコスト高になると概算されている。 https://tanakanews.com/220525hybrid.htm 複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/Germany-Expects-Oil-Embargo-Decision-This-Week.html Germany Expects Oil Embargo Decision This Week 米国側の諸国が石油ガスの対露制裁をやるほど、石油もガスも国際価格が高騰し、 ロシアが非米諸国に売ったり、制裁を迂回して米国側に売る石油ガスの値段も 上がり、ロシアの儲けが増え、米国側の損失が増える。米政府内では、財務省な どが、対露制裁をやるほど米国民が使うガソリン代など燃料費が値上がりし、米 経済を痛めつけるのでもう対露制裁しない方が良いと言い出している。米政府内 のネオコンたちはそれに反対で、もっと強く制裁すればロシアが潰れて事態が好 転すると言い続けている。実際のところ、ロシアは潰れず優勢になるばかりで、 米国の事態は好転しない。6月に入って米連銀のQTが始まったので、そのうち金 融崩壊する。 https://www.informationliberation.com/?id=63128 India is Buying Up Cheap Sanctioned Russian Oil and Selling it to the U.S. and E.U. at Huge Profits https://mishtalk.com/economics/russia-uses-chinese-ships-and-indian-refiners-to-stay-ahead-of-oil-sanctions Russia Uses Chinese Ships And Indian Refiners To Stay Ahead of Oil Sanctions 物価高騰で人気が低下するバイデン政権は、OPEC+に頼んで増産してもらうこと にした。OPEC+はロシアとサウジの合議体で、本来は米国の要望など聞かないは ずだが、なぜか快諾して増産を決議した。増産を決めたら原油相場が下がるはず だが、実際にはOPEC+が増産を決めた途端に原油が1バレル110ドルから120ドルへ と高騰した。実はOPEC+が決めた増産は、以前にやると決めたがまだやっていな い分を再決議しただけで新味がなく、高騰要因になってしまった。バイデンは、 今月中にサウジを訪問したいが、サウジの権力者であるMbS皇太子を殺人鬼(カ ショギ殺害犯)と呼んで怒らせてきたので、訪問しても良い話をもらえそうもない。 https://www.zerohedge.com/commodities/oil-soars-markets-realize-what-opec-did Oil Soars As Traders Realize What OPEC+ Did https://www.zerohedge.com/energy/biden-planning-saudi-trip-gas-prices-soar-mbs-still-unpunished-over-khashoggi-murder Biden Planning Saudi Trip As Gas Prices Soar, But MbS Still Unpunished Over Khashoggi Murder 米国がロシアをへこませようとしている話としては、ロシアにドルを使わせず、 露政府のドル建て国債の利払いや償還を不可能にして債務不履行(デフォルト) に追い込もうとする策略もある。だがこれについてもロシア政府は、債権者にロ シアの銀行でルーブル建てとドル建ての口座を作らせ、露政府が利払い金などを ルーブル建ての口座に送金し、銀行がそれをドルに両替してドル建て口座に移す やり方で制裁回避しつつ不履行を防ぐやり方を計画している。これは天然ガスを 欧州に売る時と同じやり方だ。開戦後、時間が経つほどロシア側が優勢に、米国 側が不利になり、ガスも利払いも、露政府提案の方式に米国側が応じるようにな っている。 https://www.theepochtimes.com/russia-plans-bond-payment-system-like-rubles-for-gas-scheme-to-get-around-sanctions_4499637.html Russia Plans Bond Payment System Like 'Rubles-For-Gas' Scheme To Get Around Sanctions https://tanakanews.com/220403rubles.htm ルーブル化で資源国をドル離れに誘導するプーチン このように軍事でも経済でも、ロシアの優勢で事態が一段落している。しかし日 本など米国側のマスコミや大手インターネットではこうした状況が全く報じられ ず、正反対の、ロシアが今にも潰れそうな妄想話ばかりが流布している。だから、 米国側の自滅を加速する対露制裁が今後も続き、ロシアはますます優勢になる。 こういう状態がたぶん来年まで続く。その間に米国の金融システムがQT由来の 大崩壊を引き起こし、米国の覇権が崩れ、ロシアなど非米側が台頭して覇権が多 極型に転換していく。マスコミはその流れを報じず、多くの人が気づかないうち に覇権転換が進む。 https://tanakanews.com/220503ukrain.htm ウソだらけのウクライナ戦争 https://tanakanews.com/220329commodity.php 現物側が金融側を下克上する https://tanakanews.com/220511dollar.php 来年までにドル崩壊 この記事はウェブサイトにも載せました。 https://tanakanews.com/220604ukrain.htm
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