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ロシア正教会トップがウクライナ侵攻に“異議アリ”! プーチン大統領は盟友の苦言に真っ青
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/305995
2022/05/31 日刊ゲンダイ
長くタッグを組んできたが…(ロシア正教トップのキリル1世総司教とプーチン大統領=右) (C)ロイター/Sputnik
「できるだけ賢明に行動すべきだ」──。国民に絶大な影響力を持つロシア正教会トップの「苦言」に衝撃が走っている。ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から3カ月余。プーチン大統領が停戦に向けて舵を切る可能性が出てきた。
◇ ◇ ◇
ロシア正教会トップのキリル1世総主教(75)は、これまでウクライナ侵攻を支持している。信者に「国内外の敵」との戦いに結集するよう呼びかけ、戦争遂行を支えてきた。
それに対して、ロシア正教の傘下にあったウクライナ正教会の一派は反発。キリル氏の戦争を擁護する立場に同意できないとして27日、ロシア正教会からの独立を宣言した。
ウクライナ教会の「独立」に理解
「独立宣言」にカンカンと思いきや、キリル氏の受け止めは意外なものだった。29日、モスクワの救世主ハリストス大聖堂で「ウクライナの教会が今日、苦しんでいることを完全に理解している」と寄り添うような姿勢を示したのだ。
さらに「『悪』がロシアとウクライナの正教徒を分断させようとしているが、その試みは成功しない。信者の暮らしを複雑にしないためにできるだけ賢明に行動すべきだ」とも訴えた。
一気に「反戦機運」が広がる可能性
ロシアの侵攻で、ロシア正教会との断絶を決めたウクライナ正教会(聖パンテレイモン修道院で開催されたシノド〈教会会議〉) (C)ロイター/ Ukrainian Orthodox Church
直接的な表現は避けているが、戦争支持どころか「異議アリ」と受け取れる。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。
「ウクライナ侵攻の失敗を見るに見かねたのでしょう。明らかに戦争を継続しようとするプーチン大統領に距離を置いた発言です。キリル氏はプーチン大統領の盟友です。プーチン大統領はロシア正教会の権威を後ろ盾に権力基盤を固めてきました。ウクライナとの戦いもキリル氏の支持があったから続けられてきた面があります。プーチン大統領は今回のキリル発言を重く受け止めざるを得ないでしょう」
ロシア正教は国民の63%の信徒数を誇る。キリル氏はプーチン氏が所属していた旧ソ連のKGB(国家保安委員会)とのつながりが囁かれている。2009年に総主教に就任。プーチン氏とタッグを組み、長くトップの座にいる。
「政権内の実力者や有力なオリガルヒの発言とはわけが違います。キリル氏の支持を失えば、戦争継続は困難です。ロシア正教会は多くの国民の心をつかんでいます。地方の隅々までネットワークが張り巡らされていて、大統領選ではプーチン大統領の巨大な母体にもなっている。もし、キリル氏がさらに踏み込んで、停戦や和平を求めれば、一気に反戦機運がロシア国内に広がることになるでしょう」(中村逸郎氏)
プーチン大統領はキリル氏の「苦言」に耳を傾けるのか。
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