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国民弾圧が強化されているウクライナに対する支援を米国の政府や議会はアピール
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202205020000/
2022.05.02 櫻井ジャーナル
アメリカ下院のナンシー・ペロシ議長に率いられた下院議員団が4月30日にウクライナを訪問、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの支援継続を誓った。アメリカがウクライナ側に立っているというメッセージを全世界に示すことが議員団訪問の目的だという。
4月29日にはアメリカ国防総省のジョン・カービー報道官が同国はドイツでウクライナ軍の兵士に榴弾砲やレイダーの扱い方を訓練すると発表、リトアニアはNATO加盟国がウクライナへ供給している武器の使い方をウクライナ兵に教える準備をしているという。
その5日前、4月24日にはアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官がウクライナのキエフを極秘訪問、ゼレンスキー大統領と3時間ほど会談したと伝えられている。その会談でアメリカ側はさらなる軍事面や外交面の支援を約束、キエフのアメリカ大使館の再開を睨み、リビウへ外交官を入れるという。
アメリカやその従属国が支援しているウクライナの現体制は2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権の実行したクーデターで誕生した。クーデターの主力はネオ・ナチの右派セクターやスボボダ。
右派セクターは2013年11月、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって編成されているが、ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに参加、その年の5月にウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議で議長を務めている。
その当時、アメリカのNATO大使を務めていた人物がヌランド。ゼレンスキーは昨年11月2日、ヤロシュをバレリー・ザルジニーウクライナ軍最高司令官の顧問に据えた。
スボボダ(自由)は1991年に「ウクライナ社会国家党」としてアンドリー・パルビーらによって設立されたが、これはナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)を連想させるとして改名したという。
クーデタの最中、ユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で市民やベルクト(警官隊)の隊員が狙撃されているが、その責任者がパルビーだったと言われている。任務を終え、建物の外へ出てきたスナイパーをパルビーが出迎えている様子が写真に撮られている。
ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したキエフのクーデターに反対する人は軍、SBU(ウクライナ保安庁)、ベルクトにもいて、ドンバス(ドネツクやルガンスク)の反クーデター派に参加した人は少なくないという。こうした事情があるため、当初、クーデター政権がドンバスへ送り込んだ部隊よりドンバスの反クーデター派は強かった。
そこでオバマ政権はテコ入れのためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させたとも伝えられている。またCIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練しているという。
ウクライナ軍を信頼できなかったのか、クーデター政権は2014年3月に親衛隊を創設、5月には右派セクターを中心にアゾフ大隊(現在の正式名称はアゾフ特殊作戦分遣隊)を組織する。現在、アゾフ大隊が親衛隊の主力だ。
このアゾフ大隊が拠点にしていた場所がマリウポリ。2014年5月9日にクーデター軍はマリウポリの市内へ戦車を突入させ、住民を殺傷している。その様子も携帯電話で撮影され、世界へ流された。
デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にクーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その様子を撮影した映像もインターネット上にアップロードされていた。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めている。
それ以降、マリウポリを含むドンバスの一部はネオ・ナチに占領されることになり、住民は厳しい状況に陥った。フランス人ジャーナリストのアンヌ-ロール・ボネルは2015年1月に現地へ入り、住民にインタビュー、その映像は「ドンバス」というタイトルで2016年公開されている。そこには住民がペトロ・ポロシェンコ政権によって悲惨な状況に陥っていることが記録されている。
最近では、ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノがドンバスを取材している。ウクライナでの取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えたが、そのSASはキエフやリビフで地元の兵士を軍事訓練しているともいう。
ロシア軍は3月13日に8機の巡航ミサイル「カリブル」でポーランドとの国境から約10キロメートルの場所にあるヤボリウ基地を攻撃しているが、ここはNATOが兵站の集積場所として、また戦闘員を訓練施設として利用していた。当時、1000名程度の戦闘員が訓練を受けていたという。
ウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事は4月21日、「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と語った。住民を脅しているのだろう。
そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。キムにとって「裏切り者」とはウォロディミル・ゼレンスキーの政策に同意しない人びとだという。
ミコライフ州はビクトル・ヤヌコビッチの地盤だった地域で、ロシア語を話し、ロシアに親近感を持つ住民が多い。ゼレンスキー政権やその黒幕は住民の反乱を恐れているだろう。アメリカがゼレンスキー政権支援をアピールしているのは、ウクライナ国内の動揺を抑えたいからなのかもしれない。
バイデン政権へウクライナについてアドバイスしている退役軍人のひとり、フィリップ・ブリードラブ大将は核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと主張している。
ブリードラブは2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務めていた軍人で、ネオコン/シオニストと強く結びつき、軍事的な緊張を高めるために偽情報を発信してきた。ブリードラブの発言は危機感の表れだとも言えるだろう。
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