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米政府の命令に従い、露国からの天然ガス購入を断たれたポーランドとブルガリア
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202204280000/
2022.04.28 櫻井ジャーナル
ロシアのガスプロムは4月27日、ポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止すると発表した。ロシア政府は「非友好国」が同国の天然ガスを購入する場合、決済は4月1日からロシアの通貨ルーブルに限ると発表していたが、ポーランドとブルガリアはそれを拒否、ロシアは通告通りに供給を停止したわけだ。ポーランドは国内消費の約5割、ブルガリアは約7割をロシア産の天然ガスに頼ってきたという。
ガスプロムの供給停止はアメリカが始めた「経済制裁」、つまり経済戦争に対する反撃だが、ロシアが求めた決済の仕組みは1970年代にアメリカが始めた「ペトロダラー」と基本的に同じである。ロシアの天然ガスを購入するためにはルーブルをかき集めなければならない。それは必然的にペトロダラーの仕組みを揺さぶることになる。
アメリカの攻撃に対するロシア政府の対応は穏健なものだが、反撃があることは予想されていた。アメリカやEUもそうした展開になることを予想していただろう。その反撃で最もダメージを受けるのがEUだということも理解していたはずだ。アメリカはロシア制圧を目論んでいるだけでなく、EUの弱体化も狙っているはずだ。
ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバス(ドネツクとルガンスク)の独立を承認し、2月24日にロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を始めた。その攻撃はウォロディミル・ゼレンスキー政権によるドンバス攻撃が不可避という判断から先手を打ったとみられている。
ドンバスではバラク・オバマ政権がウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した2014年2月から始まっている。
クーデターの目的のひとつはロシアの隣国をアメリカ/NATOの支配地にし、いつでもロシアを攻撃、破壊できる体制を築くことにあった。これは第2次世界大戦前のインターマリウム構想にもつながる。
ソ連が消滅した直後、1992年2月にアメリカでは国防総省のDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成された。このドクトリンではヨーロッパや東アジアを潜在的なライバルと認識、叩くべきターゲットだとされた。また支配力の基盤になるエネルギー資源を抑えるため、中東で従属度の足りない体制は破壊の対象になった。
21世紀に入るとロシアはウラジミル・プーチンを中心とする勢力が曲がりなりにも再独立に成功、EUとの関係を深めていく。両者を結合させる役割を果たしたのが天然ガスだ。その天然ガスの取り引きを潰すことも2014年にオバマ政権がクーデターを仕掛けた理由だ。
しかし、ウクライナを通らないパイプラインも存在する。そのひとつがロシアのビボルグからグライフスバルトへ天然ガスを運ぶ「ノードストリーム1」。これは2011年11月に開通した。
それと同時に「ノードストリーム2」の建設が始まり、アメリカの妨害を乗り越えて21年9月には完成したが、それでもアメリカの圧力は弱まらない。プーチン大統領がドンバスの独立を承認した翌日、つまり2月22日にドイツ政府は「ノードストリーム2」の承認手続きを中止すると発表した。この決定により、EUがアメリカから自立する道は断たれたと言えるだろう。
宣伝戦では圧倒しているアメリカだが、軍事的にも経済的にも予想されたように厳しい状況に陥った。そうした中、米英には核戦争を恐れるなと叫ぶジョー・バイデン大統領の顧問がいる一方、イギリスでは軍担当の国務次官がロシア領への攻撃を支持している。
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