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二つのオリンピック・ボイコット:帝国主義ギャング行為に奉仕する人権
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2021年12月27日 マスコミに載らない海外記事
ピーター・サイモンズ
@Symonds
WSWS
2021年12月22日
12月6日、中国新彊地域におけるイスラム教ウイグル族の人権への懸念という口実で、バイデン政権が発表した2月の北京冬季オリンピックのアメリカ外交的ボイコットは衝撃的な偽善行為だ。
大量虐殺や人類に対する犯罪の非難は、イラクとアフガニスタンを含め、社会全体に壊滅的打撃を与えた新植民地戦争や、800,000人以上のアメリカ人の不必要な死に責任がある犯罪的コロナ対策のかどで、アメリカ帝国主義に浴びせられてこそ、ふさわしい。
北京オリンピックに標的を定める決定は、1979年12月ソ連のアフガニスタン侵攻に対し、1980年、アメリカがカーター大統領政権が率いたモスクワ・オリンピック・ボイコットを思い出させる。ワシントンが常にその権益を推進するため「人権」を利用し、広範囲な反中国キャンペーンの狙いを強調する間違いようのない類似は身勝手さを超越している。
アフガンの人々に対する懸念は、モスクワ・ゲームのボイコットとは全く無関係だった。バイデン政権が現在中国にしようと努めているのと同様、オリンピック・ボイコットは、旧ソ連を弱体化し、ばらばらにするという遙かに広範なアメリカの計略と堅く結びついていた。
カーター政権が、ソ連邦封じ込めという、これまでの政策から、ソビエト社会主義共和国連邦の断片化を狙うものに移行したことを示す豊富な証拠が今はパブリックドメインにある。カーターのズビグニェフ・ブレジンスキー国家安全保障担当補佐官が先頭に立って、ホワイトハウスは、ソ連と提携する政府が1978年3月に権力の座についていたアフガニスタンに、ソ連邦をベトナムのような沼地に引きずり込む手段として食いついたのだ。
冷酷な反共産主義者で冷戦戦略家のブレジンスキーは、イスラム教原理主義を、特にソ連の中央アジア共和国やコーカサスで、ソ連に敵対させることが可能な政治勢力と見なしたアメリカの安全保障と諜報機関の右翼イデオローグの一人だった。彼はソ連邦内で、イスラム主義者による不穏状態を醸成するために、カーターの安全保障会議の当局者、CIA、国防総省や国務省を含め、Nationalities作業部会の設置を承認した。
ブレジンスキーは、ソ連に後援されるカブールのアフガニスタン人民民主党(PDPA)に対するイスラム原理主義武装反政府勢力のアフガニスタン内での出現を彼の戦略計略を推進する機会と見なした。カーター下、次にレーガン下で、CIAがアフガニスタンで汚い「秘密戦争」でムジャーヒディーン民兵に資金供給し、訓練し、武装させたことは良く知られている。
アフガニスタンでのアメリカの戦争が1979年にソビエト侵略の前に始まり、介入を引き起こすために国を不安定にする上で極めて重要な要因だったことはそれほど知られていない。1998年、ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥールのインタビューで、ブレジンスキーは率直にムジャーヒディーンへのCIA支援が1980年に始まったというのはウソだったことを認めた。カーターは親ソ連政府の対抗者に密かに援助を提供する指令に、1979年7月に署名していた。ブレジンスキーもカーターに「私の意見ではこの支援金はソ連の軍事介入を引き起こすだろう」と説明する手紙を書いていた。
「人権」を提唱しながら、カーター・ホワイトハウスは、アフガニスタン内で、イスラム教反政府派養成に深く関与しているジア=ウル=ハク大将のパキスタン独裁政権や、1979年のイラン革命の影響に対処する手段として、アフガンの聖戦に資金供給していた独裁的なサウジアラビア王室と協力するのに良心の呵責はなかった。1979年4月、カーターはパキスタンのズルフィカー・アリ・ブット前首相暗殺でまずくなっていたジア=ウル=ハクとのアメリカ関係を改善するよう命じた。
カーターが、アフガニスタン侵攻のかどで、反ソ連プロパガンダを強化し、特に中央アジアでのCIA聖戦のため、イスラム世界全体で政治的支援を促進する取り組みで、1980年1月のモスクワオリンピック・ボイコットを始めたのはこの文脈だった。CIAに30億ドルにものぼる資金を供給された8年の残忍な戦争が、アフガニスタンの多くに壊滅的打撃を与え、1989年2月に完了したソ連撤退をもたらした。
これは1991年12月、東ヨーロッパでのスターリン主義政権の破たん、続くソ連邦崩壊の直前だった。アフガニスタンでのCIAの秘密戦争は、生産のグローバリゼーションが進行する中、自立的国家経済の不適合が原因だったスターリン主義の危機の主要因ではなかったが、モスクワの内部的な経済的、政治的危機を悪化させる上で重要要因だった。
CIAとパキスタンとサウジアラビアの諜報機関と協力して、アフガニスタンに世界中からイスラム教狂信者を注ぎこんだアルカイダを含め、アフガニスタンは、反動的イスラム教集団の温床でもあった。
1998年、ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥールが、イスラム原理主義の台頭を促進したことを彼が残念に思ったかどうか尋ねられた際のブレジンスキーの回答は悪名が高い。「世界の歴史に何がより重要ですか?タリバンか、ソ連帝国の破たんか?一部の興奮したイスラム教徒、あるいは中欧の解放と冷戦終結ですか?」
わずか3年後、アフガニスタンとイラクで「対テロ戦争」と犯罪戦争を開始するためにブッシュ政権に利用されたアメリカに対するテロ攻撃をアルカイダは実行した。
北京オリンピック・ボイコットの背景
カーターのモスクワ・オリンピック・ボイコットから40年後、アメリカ帝国主義は、アメリカの世界覇権に対する最も重大な脅威と見なす中国に標的を定めている。アルカイダの出現が、アフガニスタンにおけるCIA秘密戦争のブローバックと呼ぶことができるなら、中国の驚異的勃興は、1972年、反ソ連同盟のため、ニクソンの毛沢東との和睦の経済的ブローバックとみなせるだろう。それはグローバル企業のための巨大な安い労働力の場として、中国の資本主義修復と変換への道を開いたのだ。
中国共産党政権との協力から対立へのアメリカの移行は、しっかり進行中だ。副大統領としてバイデンが徹底的に支持し、トランプ下で加速されたオバマ政権の「アジア基軸」から始まった、中国に対する全ての積極的な外交的、経済的、軍事的措置をバイデン政権はさらに強めている。
COVID-19流行はワシントンでの政治的、経済的問題と、時間がなくなっているというアメリカ支配層の恐れを大いに強化した。中国からの脅威を破壊し、国内の巨大な社会的圧力を外敵に向けるため、アメリカは益々あからさまに戦争の準備している。台湾とアメリカの結びつき強化は、ワシントン・北京間の外交関係の基礎に悪影響を及ぼし、アメリカが戦争態勢を整えているという明確な表示だ。
北京オリンピック・ボイコットは広範囲な反中国戦略の一要素に過ぎないが、それには過去の犯罪行動の痕跡がある。新しいオリンピック・ボイコットの非難の叫び声が、中国のイスラム教ウイグル族少数派の「人権」に関するものなのは偶然ではない。CIAを通して、アメリカは中国内で不穏状態を醸成するため、様々なウイグル組織と手を組んで陰謀を企てているのは確実だ。
1979年にカーターがアフガンのムジャーヒディーンを援助する指令に署名したと同様、アメリカ関与の全貌は厳重に守られている秘密だ。分かっているのは、世界ウイグル会議やアメリカ・ウイグル協会が、ボイス・オブ・アメリカや、ラジオ・フリー・アジアなどのアメリカのプロパガンダ・メディアと長く続くつながりを持っており、CIA公然の隠れみの全米民主主義基金に資金を供給されていることだ。
新彊内での抑圧的措置は「テロ」と戦うために必要だという中国の弁明を、ワシントンは頻繁に非難している。だが、新彊内や中国の他の場所で、漢民族系中国人に対するウイグル族による散発的な猛烈な攻撃があったのだ。ごく最近まで、アメリカ国務省は、ウイグル族組織、東トルキスタンイスラム運動/トルキスタン・イスラム党(ETIM/TIP)をテロ集団としてリストに掲載し続けていた。元来、アメリカの「対テロ戦争」に対する中国の支持へのブッシュ政権による見返りとして。
CIAと好戦的ウイグル族イスラム主義者のつながりは、中東で、特に、バッシャール・アル・アサド大統領のシリア政権に対する内戦で、「対テロ戦争」が、アメリカが、アルカイダやISISとつながる民兵を支持する障壁ではなかったシリアでは、一層うさんくさい。それら民兵の中には少なからぬウイグル族戦士がおり、一部は、アメリカのアフガニスタン占領に反対して戦うイスラム教徒集団に関与していた。チュルク語を話すウイグル族が、特に極右から多少の政治的支援を得ているトルコで、海外移住ウイグル族から採用されて、シリア内のトルキスタン・イスラム党戦士の人数は何千人もいるという様々な見積もりがある。
ウイグル族分離主義者へのアメリカ関与の程度は知られていないかもしれないが、アフガニスタンでのCIA秘密戦争の実績は、ワシントンがどんな可能性も排除しないことを明らかにしている。新彊には大量エネルギー資源もあり、中国最西端地域として戦略上も重要だ。新彊は石油とガスパイプラインと、中央アジアを通る輸送経路で、アジアをヨーロッパと結び、アメリカによる中国包囲に対抗する中国の巨大インフラ構想、一帯一路構想の一部だ。ワシントンは確実に、新彊の不安定化は北京に対する強烈な打撃だと計算しているのだ。
現在のオリンピック・ボイコットは、1980年のモスクワ・オリンピック・ボイコット、比較してどうなのだろう?モスクワ・オリンピックに参加しなかった約65の国と比較して、ひと握りのワシントン友好国、特にイギリス、オーストラリアとカナダが、今まで様々な理由で北京ボイコットに参加した。この差異は、アメリカ帝国主義の地位が歴史的に凋落した広範な目安であり、増大する地政学的緊張の中で、アメリカが率いる冷戦ブロックがどれほど壊れたかという度合いだ。
だが、アメリカの相対的弱体化で、アメリカがそれほど危険でなくなると想定するのは間違いだろう。むしろ、その凋落で、アメリカ帝国主義は、益々、深刻で無謀な措置に訴える準備ができているのだ。北京オリンピック・ボイコットと、ウイグル族大量虐殺に関するウソは、軍事的手段を含め、脅威としての中国を不安定化し、排除するため、ホワイトハウス、国防総省とCIAの強烈な秘密策謀の表向きの顔にすぎない。
記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2021/12/22/olym-d22.html
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